成立学園vs日大鶴ヶ丘 成立学園の木寺が完封！3対0で日大鶴ヶ丘を破る
9回を完封した木寺凌世（成立学園）
東京都大会準決勝第2試合は、成立学園の左腕木寺 凌世が日大鶴ヶ丘打線をわずか2安打に抑え完封。身長165センチの小柄なエースの奮闘で、成立学園が決勝進出、そして初の関東大会出場を決めた。
準々決勝の二松学舎大附戦では、コーナーを丁寧に突く投球で2失点完投勝利を収めた木寺。「前の試合に比べて調子が良くなかった」というこの日の準決勝。不調は立ち上がりに表れた。
2回、日大鶴ヶ丘の先頭、4番金井に四球を与えると、金井は犠打と内野ゴロで三塁へ。2死で打席に立った7番西ヶ谷をセンターフライに打ち取り、事なきを得たが、3回にも先頭の8番幾島、そして一死二塁から1番石崎にも四球で出塁を許してしまう。失点にこそつながらなかったが、「低めへの変化球でストライクが取れなかった」と木寺。ただ、4回以降はその反省から、直球中心の組み立てに変更、テンポの良い投球で、7回まで被安打ゼロと、凡打の山を築いた。
8回一死から日大鶴ヶ丘の代打西田にレフト前安打を許した木寺は、「7回ごろに仲間に『ノーヒットノーランを狙えるぞ』って言われて、少し意識しちゃいました」と苦笑いだったが、後続を抑え、この回も無失点。最終回も3番栗田にセンター越えの二塁打を打たれたものの、危なげない投球で後続を断った。
木寺の投球に終盤、打線も応えた。7回、先頭の山��が中越え安打で出塁すると、一死から1番岩成が四球を選ぶ。二死一、二塁から3番小山のライト前適時打で二塁の山��が還り1点を先制する。
9回裏、本塁打を放った4番サード藤谷耕平（成立学園）
9回には先頭の岩成が死球で出塁。岩成が牽制でタッチアウト、2番布施がレフトフライに倒れたものの、3番小山が四球を選び二死一塁とする。
ここで、打席には背番号16の4番藤谷 耕平。「ブロック予選ではメンバーに入っていなかったが、攻撃面を考え起用した」（菅沢 剛監督）と、都大会で抜擢された主砲が、その期待に応える左越えの2点本塁打。その前の4打席は無安打に終わっていた藤谷は、この本塁打が高校通算1号といい、「守備が下手なので、9回裏に交代するのがわかっていた。9回は『この打席が最後。やってやろう』という気持ちだった」と笑顔を見せた。
対する日大鶴ヶ丘は、先発の山岸、2番手の秋山が粘りの投球で成立学園打線を6回まで無得点に抑えたものの、打線が成立学園の木寺を打ちあぐね、投手陣を援護できず。結局、終盤に得点を許し、決勝進出を逃した。
投手力、守備力を武器に、ロースコアで勝つ―。そんなチームの持ち味通りの展開となったこの日の試合を成立学園の菅沢監督は、「粘って勝った感じです」と振り返った。
勝利の立役者となった木寺は、完封勝利にも「今日の投球は65点ぐらい。変化球でもっとカウントを取れればよかった」とやや辛口の自己評価。身長165センチと投手にしては小柄だが、「小さくても体全体を使って投げればいいので、身長は関係ないと思っている」と木寺。昨秋、ブロック予選で敗退。冬の間、毎日10〜20キロの走り込みを続けてきた。その結果、「下半身がしっかりと使えるようになって、球にのびやキレが出てきたと思う」と自身の成長を実感している。
「スタミナに自信がある。明日の決勝も投げたい」と言い切る左腕は、翌日の決勝、関東大会に向けて、「決勝進出はあんまり実感がわかない。でも関東一は強いので、低めを意識して投げられたら。関東大会は初出場なので、緊張するかもしれないが、楽しみたい」と抱負を語った。
（文＝木村 明日香）
