従って、今のインテルであれば、長友のように、とにかく１対１のところで止める、なるべく前へ前へと出て守備をする、そういう守備を全体的にもする必要があり、昨季、ラニエリの時に好調だった時期がありましたが、その理由の１つが、そういうアグレッシブな守備ができていたから、という事でした。やがてそれが、ベテランの選手が多い、という事もあって、途中で燃料切れを起こしてしまい、そこから失速、という事ですね。

スナイデルが復帰して、システムを「４−２−３−１」から「４−３−１−２」へ変えた。そして、その復帰したスナイデルのパフォーマンスが低調だった。という事も、失速した原因ではありましたが、それと同時に、チアゴ・モッタがチームを去った事、アグレッシブな守備が途中からできなくなった事、それも大きな原因でした。守備方法として、カテナチオか、ハイプレスか、それをきちんと決めた上で、それに適した選手を揃える。それが今のインテルというチームに必要な事かなと思います。

という事で、チームとしてはこんな感じだったのですが、その中での長友のパフォーマンスはどうだったのかと言うと、デストロとの１対１では、ほぼ勝っていて、デストロをラメラと交代させましたし、そのラメラにもやられてはいませんでしたから、長友個人としての守備面でのパフォーマンスは良かったと思います。左サイドを崩されての失点というのはありませんでした。但し、長友が１人だけ良くても、という、よくあるインテルの守備の状態でした。

そして、攻撃面については、前にいたアルバロ・ペレイラがサイドにポジショニングしている事が多く、それが蓋になっていて、長友の攻撃参加は少なくなってしまっていました。そこがカンビアッソであった場合には、カンビアッソは長友を前に上げて、自分が左ＳＢの位置をカバーする、という事をやり、左に流れてプレーする事が多いスナイデルやＦＷの選手と長友で攻撃、というのがインテルでは良いパターンなのですが、それができていませんでした。

３ボランチのサイドの選手が、大きくサイドへポジショニングしてしまいがち、というのは、守備面でも大きなマイナスになりますし、攻撃面では、ＳＢがオーバーラップするスペースを潰してしまう、という事にもなるので、そこはきちんと修正しておく必要があると思います。そしてここが、冒頭のところに書いたような事を思う、その理由ですね。長友にとって、アルバロ・ペレイラの加入が吉と出るのか凶と出るのか、それは、当然の事ですが、監督であるストラマッチョーニの手腕に託されている、という事になるかなと思います。