ドジャースから地位“奪還” マリナーズ再び「日本人が憧れる球団」へ、編成本部長「我々が物語を変える」
再び、日本人選手に選ばれる球団へ。米国での成功を夢見て海を渡る才能から、もう一度選ばれる存在になることを目指すマリナーズ。ジェリー・ディポト編成本部長(58)が“復権”への思いと、その道筋を語った。
かつてマリナーズは日本選手から選ばれる存在だった。メジャー挑戦を志す日本選手が新天地として選び、2000年から佐々木主浩、翌01年からはイチローが在籍。城島健司、岩隈久志、川崎宗則、菊池雄星もシアトルをメジャー挑戦の舞台に選んだ。しかし、現在は状況が大きく変わり、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希が所属するドジャースが中心的な役割を担うようになった。
本部長はドジャースについて「彼らは野球界で最高のチームだと思います。ここ5、6年は最高のチームであり続けていますし、球団組織全体として見れば、おそらくこの15年間で最も安定して成功している組織でしょう」と成功と存在感を認め「彼らは賢いことをやっています。素晴らしい選手がいます。そして球団を運営している人たちも非常に優秀で、創造性がありながら、一貫性も保っていると思います。今のドジャース以上にうまくやる方法を想像するのは難しいですね」と球団運営、強化方針の一貫性を認めた。
今季からメジャーに活躍の場を移した岡本和真、村上宗隆については、現有戦力のバランスなどを考慮し、本格的な獲得への動きは見せなかった。ただ、2人の活躍を受け、日本選手のイメージは確実に変わった。「日本人選手の中でパワーという要素が、これまで以上に目立つようになってきました」と言う。「日本には昔から素晴らしい打者がいました。ただ、以前は今とは違ったやり方で結果を出していたということです。今、日本から来ている選手たちのパワーは非常に興味深い。岡本については、我々は実際にはほとんど獲得に動きませんでしたが、今となっては岡本のような選手がいてくれれば良かったですけどね」と笑顔を見せた。
今オフ以降も、海を渡る日本選手は増加することが予想される。「日本には毎日、実際に現地で活動しているスタッフがいます。われわれは常に日本に人を置いています」とスカウティングにも注力。「2週間ほどのサイクルで視察することもありますし、国際スカウト部門のスタッフが5、6週間に一度くらい日本を訪れることもあります。そして担当者は毎日、日本のどこかでNPBの試合を見ています」と明かす。18年オフに西武からポスティングシステムを利用した菊池雄星と契約を結んだが、日本から直接選手を獲得したことは、それが最後となっている。「努力していないからではありません。基本的に我々は日本人選手の獲得には関わってきましたし、日本を非常に重点的にスカウティングしています」と話した。
多くの日本選手達が残したマリナーズの好印象は今でも財産となっている。日本選手から好イメージを持たれているかと問われ「もちろんです。今でもそう見られていると思います」と断言し「佐々木朗希の獲得交渉でも、大谷翔平の獲得交渉でも、我々はかなり最後の段階まで残りました。そういうケースで、何度も最終候補の一つになってきたと思います」と胸を張った。
“ブランド力”を取り戻すために、現状で最大のライバルとなるのがドジャースだ。「今のドジャースは非常にいい例ですよね。こういう流れが始まったとき、まずチームにはダルビッシュ有がいた。その後に大谷翔平を獲得し、さらに山本由伸を獲得する。そうすると、それが次の選手の加入につながっていくんです」と“連鎖”の重要性を口にする。
「今、日本からアメリカに来ている選手たちを見ると、MLBにやって来る日本選手のフィジカルな才能は、これまでで最も高いレベルにあると思います。彼らは明らかに際立っています。山本由伸はリーグ最高の投手の一人です。調子のいい夜には、ほとんど打つことができません。大谷翔平は、もしかすると史上最高の野球選手かもしれない。その結果、次の世代の日本選手たちは、おそらく20年前の若い日本人選手たちがマリナーズを見ていたのと同じような目で、今のドジャースを見ているのでしょう」と分析する。
かつてマリナーズに所属する選手達に憧れ、尊敬の念を抱いた若者たちが、球団の運営力、育成力、経済力などに秀でるドジャースに次々と入団した。今のドジャースに憧れを抱いた若者たちを20年後、もしくは近い将来にマリナーズへと導くことが目標となる。「今度は、我々がその物語を変え、日本選手の獲得で再び成功を収める番です。まあ、そのためにはドジャースにちょっとどいてもらわないといけませんけどね」とジョークも交えて、球団の方針を語った編成本部長。数々の日本人メジャーが活躍したマリナーズが“復権”に向けて、本格的に動き出す。

