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 俳優の西田敏行(にしだ・としゆき)さんが死去したことが17日、分かった。76歳だった。俳優として数々の名作に出演し、そのアドリブの才能は脚本家や共演俳優陣をうならせ、唯一無二の存在感を放っていた。

 西田さんは67年、TBS「渥美清の泣いてたまるか」でデビュー。1977年にはテレビ朝日「特捜最前線」、1978年には日本テレビ「西遊記」にレギュラー出演。1980年には日本テレビ「池中玄太80キロ」テレビ朝日「サンキュー先生」で主演を務め、翌1981年にNHK大河ドラマ「おんな太閤記」で準主役を務めるなど、次々と各局の連続ドラマに出演。NHK大河ドラマでは2024年10月時点で、大河ドラマ歴代最多主演俳優となっている。

 西田さんは凄みのある役柄からコメディータッチまで硬軟問わずさまざまな役を演じてきたが、特出するのはそのアドリブ力。数多くの作品でタッグを組んだ脚本家・宮藤官九郎は、雑誌の対談で「西田さんのアドリブって、自分で書いたセリフかどうかわかんなくなるんですよね」と称えている。

 03年放送のTBS系「白い巨塔」で、西田さんと義父子役で出演した俳優の唐沢寿明は、「西田さんはすごいですよ。突然やるんでね。2人のシーンで、しゃべりながらカツラを直すんですよ。それも本番の時だけやるんですよ」と、いたずらのようなアドリブを突然ぶっ込まれたといい「NGでもう1回やり直すのも嫌だから、すっごい集中して、笑わないように爪とかこうギュッとやって…」と苦労を語っていた。

 テレビ朝日系の人気シリーズ「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」では、女優の内田有紀が西田さんのアドリブについて「西田敏行さんは治外法権です」と告白。「(誰も何も)言えないわけじゃないんです。監督もそうしないようにしていくんですけど、どうしてもそうなっちゃうんです」と、ナチュラルなアドリブに驚いていた。

 さらに15年放送のテレビ朝日系「家政婦は見た!」で共演した米倉涼子も、劇中で西田が米倉の頬にキスをするシーンについて「アドリブ」と明かしている。西田さんは会見で、「顔を近くにして話していたんですけど、気が付いたら彼女の頬に唇を寄せていました」と説明。一方、された側の米倉は「私はカツラをかぶって信子を演じていたので、うれしいという感覚はなかったんですけど、別の役だったらやり返しちゃうかもしれないけど」と当時の心境を語り、「ただ面白かったです。OKって思いました」と笑顔で返答していた。