学校

写真拡大

 大阪市立中学校1年(当時)の外国籍の男子生徒がいじめを受け、不登校になったとする報告書を同市の第三者委員会が8日、公表した。

 同級生の男子が、男子生徒を装ったインスタグラムのアカウントを作り、同じ学校の女子生徒にわいせつな写真を送ったという。第三者委は報告書で「(男子生徒は)『死にたい』と思うまで精神的に追い込まれた」とした。

 第三者委の部会(部会長=曽我智史弁護士)がまとめた報告書などによると、男子生徒がなりすまし被害を受けたのは、2022年12月〜翌年1月ごろ。被害を知った男子生徒は泣きながら母親に連絡。「死んでくる」と言って、一時連絡が取れなくなった。男子生徒を装ったアカウントからはセクハラに当たるダイレクトメッセージも同校の女子生徒に送信されていたという。男子生徒はその後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの診断を受けて不登校になったという。

 第三者委は、SNSのなりすまし被害に加え、男子生徒が別の複数の同級生に「はよ走れや」と命令口調で言われたり、グループLINEでからかわれたりするなどした計12件をいじめに認定。男子生徒が当時、日本語が堪能でなく、適切な形で反論するすべもなかったとして、「外国籍の子に対する差別にも該当する」とも報告書で指摘した。

 報告書は学校側の対応について「男子生徒とその家族がつらい思いやショック、混乱、恥、怒りにさいなまれていたことをおもんぱかり、共感することが重要だった」とし、十分な心のケアができていなかったと指摘。学校でのネットリテラシーの啓発の必要性も提言した。

 市教委の多田勝哉教育長は「学校の対応が、(男子)生徒に苦痛を生じさせたことは事実であり、調査報告書の内容を重く受けとめている。今後、提言をいかせるよう努めたい」とのコメントを出した。(稲垣大志郎)