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50代になり、老後の生活資金や過ごし方が気になっているのに、<忙しさ>を理由に見て見ぬふりをしてしまう方もいるのではないでしょうか。そのようななか、著述家やブロガーとして活躍する中道あんさんは「不安を埋めるためには、自分自身の<棚卸し>を行い、内側の問題に向き合わなくてはいけない」と話していて――。今回は、中道さんの著書『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』から、充実したシニアライフを送るための考え方を一部ご紹介します。

【書影】実り多き人生後半戦を迎えるための、ライフシフトアドバイス。中道あん『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』

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自分と対話する“ひとり時間”を意識的につくろう

日々のあれこれに忙殺されていたら、ものごとを深く考える余裕なんてないですよね。

目の前の現実を、今どうするかが優先で、これからのことを考えている時間なんてない。私も、そうでした。

でも私たちは「時間がない」と言いつつ、じつはたっぷり“ひとり時間”を持っています。

それはスマホを触っている時間。ここ15年ほどで急激にSNSが盛んになり、スマホを見る時間が増えました。

実際、「食後の一服に、スマホを見始めたらあっという間に1時間たってしまいました……」といった嘆きをよく耳にしますし、私自身、電車の乗車中にスマホでブログを書いていて、うっかり乗り過ごしてしまった……なんていうことがちょくちょくありました。

今では反省して、電車の中では意識的に見ないようにしているのですが、このような経験は誰にもあるのではないでしょうか。

「歩くこと」を日課にする

スマホで欲しい情報をいつでも簡単に収集できるようになって、生活はたしかに便利になりました。

そのいっぽう、SNSに投稿される他人の幸せそうな日常を見て、落ち込んだり、他人と自分を比べたりしてしまうことも増えました。

というのも、スマホを触っている時間はひとりだけれど、それを見ている時間は、“世間との対話”であることも多いんですよね。

そこでおすすめなのが、歩くこと。

ちょっとした息抜きのつもりで、近所を散歩するようになったら、自然と“自分との対話”が日課になりました。

初めのうちは、歩きながら今日あったできごとを振り返っては、腹を立てたり、落ち込んだり。

ところが動くことで、思考も前向きになるからか、そのうち“こうなったらいいな”“ああなったらおもしろそう!”というような未来を空想できるようになりました。

デジタルよりアナログ

そして、この“ひとり時間”を持つことで、自分に正直になれました。

自分との対話でふわりふわりと浮かんでくる願望は、自分の素直な思い。


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“こうしたい”という思いを否定することなく、“なぜ”そう思うのかの対話を、とことん続けた結果、私は54歳にして、“起業”という目標を誰に否定されることなく、持つことができたのです。

現在は、この“ひとり時間”を維持するために、外出するときはなるべく家から駅まで25分ほどかけて歩いています。

野鳥のさえずりに耳を澄ませたり、草木の匂いを楽しんだりして五感を満たすと、ふとアイディアが思い浮かんでくるのです。

東洋思想に“人も自然の一部”という考え方がありますが、私の実感としても、自分の感覚を研ぎ澄ませるのに効果的なのは、デジタルよりアナログ。

スマホの情報で脳を刺激するより、音や匂いといった心身への刺激が、いいアイディアを呼び起こしてくれます。

自分の中にしか答えはない

今の時代、困ったことがあれば、AIに質問すれば瞬時に答えてはくれますが、あなたのことまでは知りません。

どんなに精度が上がったとしても、一人ひとりの心までは読み解けないはずです。

結局のところ、自分のことは自分にしかわからず、自分の中にしか答えはありません。

余計な情報を検索する時間を手放して、ぜひ、1日15分でいいので、自分と対話する“ひとり時間”をつくることから始めてみましょう。

※本稿は、『先細らない老後のために、50代のうちにすべきこと』(扶桑社)の一部を再編集したものです。