女子ボクシング「性別問題」渦中のケリフ、なぜパリ五輪で騒動に? 「東京五輪出場時には論争なかった」海外メディア
パリ五輪ボクシング女子66キロ級準決勝が2024年8月6日に行われ、「性別問題」の渦中にいるイマネ・ケリフ(アルジェリア)が、チャンチェーム・スワンナーペン(タイ)に判定勝ちし、決勝進出を決めた。
「ケリフは大きな論争に巻き込まれている」
試合は開始からケリフが優位に立ち、攻撃的なボクシングを展開。3回には強烈なパンチを打ち込み、スタンディングダウンを奪い、勝利を決定付けた。
「性別問題」が世界的に波紋を広げる中、銀メダル以上を確定させたケリフ。「性別問題」をめぐり、世界中のメディアがそれぞれ独自の見解を示し、賛否が分かれている。
カタールメディア「アルジャジーラ」(ウェブ版)は、「ケリフは性別に基づく出場資格に関する大きな論争に巻き込まれ、見出しを独占し、ソーシャルメディア・プラットフォームで多くの議論の対象となっている」とし、次のように指摘した。
「ケリフは3年前の東京オリンピックに出場しているが、その時、論争はなく、メダルを獲得していない」
ケリフは21年東京五輪ボクシング女子60キロ級に出場し、準々決勝で敗退。当時ケリフは何の問題もなく五輪に出場し、性別に関する騒動は起こらなかった。
今回、騒動の発端となったのは、8月1日に行われた女子66キロ級2回戦だ。ケリフが、アンジェラ・カリニ(イタリア)を開始から圧倒し、カリニがわずか46秒で棄権したことが世界的に波紋を広げた。
IOC「すべての人は差別なくスポーツをする権利がある」
ケリフの力強いボクシングスタイルに加え、23年に行われた世界選手権のDNA検査で、XY染色体を持っていることが判明し、出場権をはく奪された過去が騒動に拍車をかけた。
通常大会と異なる競技運営も、騒動の要因のひとつとなった。
本来ならば、国際ボクシング協会(IBA)がボクシング競技を運営するはずだったが、同協会の組織内でのスキャンダルなどで運営から外された。このような経緯で、今大会のボクシング競技はIOCが運営している。
今回の騒動を受け、国際オリンピック委員会(IOC)は8月1日に「すべての人は差別なくスポーツをする権利がある」「これまでのオリンピックボクシング競技と同様に、選手の性別と年齢はパスポートに基づいている」などの声明を発表した。
今大会では、ボクシング女子57キロ級代表の林郁婷(台湾)も「性別問題」の対象になっており、林は7日の準決勝に出場する。
ケリフは金メダルをかけ、9日の決勝に出場する。