パラグアイ戦の出来に英記者が見解【写真:ロイター】

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U-23日本代表の五輪初戦で圧勝、パラグアイ戦の出来に英記者が見解

 大岩剛監督率いるU-23日本代表は、現地時間7月24日のパリ五輪グループリーグ初戦でパラグアイ代表と対戦し、5-0で圧勝スタートを切った。

 かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を7大会連続で現地取材中の英国人記者マイケル・チャーチ氏は、「ほかのチームが無視できないほどの強烈な印象を与えた」と完勝劇を称えた。

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 日本がこのパリ五輪でこれほど力強いスタートを切るとは、ほとんどの人が予想していなかっただろう。大岩監督の率いるチームは圧倒的な勝利を収め、若きサムライたちはすでにグループDから次のフェーズへ向かう有利な位置に立った。

 ボルドーでの試合内容は、オーバーエイジや久保建英、松木玖生といった選手たちを招集できなかった懸念を払拭するものだった。

 数的不利になったパラグアイに対し、日本はプロフェッショナリズムと格の違いを示し、必要なゴールを奪い、試合をうまくマネジメントした。巧みで活気に満ちたパフォーマンスだった。

 前半25分にウィデル・ビエラが退場した時点で、日本はすでに三戸舜介のゴール隅へのフィニッシュでリードを奪っていた。南米チームはハーフタイム後に反撃に出たものの、大岩ジャパンは冷静にアドバンテージを生かして戦った。

 このパフォーマンスの中心にいたのはキャプテンの藤田譲瑠チマだった。彼は気品と冷静さを備えた選手へと成長し続けている。完璧な技術によってピッチの中央で時間を作り、パスで相手のディフェンスを容易に突破する。

 しかし、東京ヴェルディのアカデミー出身の彼1人が際立っていたというわけではない。三戸の2つのフィニッシュはどちらも見事なものだったし、フルバックの大畑歩夢と関根大輝が見せたエネルギーは、ビエラが退場する前からパラグアイを手こずらせた。

 斉藤光毅はクリエイティビティーの面で別次元で、攻撃陣の連係によってパラグアイを困惑させ、何度も日本が相手を突破するシーンを作り出した。

 小久保玲央ブライアンはパラグアイが数少ない決定機を確実に防いだだけでなく、試合の刺激を抑えるためにうまくボールを保持して相手を苛立たせていた。

 大岩監督は大会の初戦でこれ以上のスタートを求めることはできなかっただろう。この試合はグループリーグの残りの試合のトーンを設定するものだった。先発メンバーだけでなく、ベンチに座る選手たちも質が高いことを証明した。

 唯一の不安材料といえば平河悠の負傷だが、今夏にイングランドへ渡ったこのウインガーはグループリーグで再びプレーできるように回復することを願っている。代わって出場した佐藤恵允はしっかりとその代役を務めていた。

 この完勝により日本はほかのチームが無視できないほどの強烈な印象を与えた。土曜日のマリ戦でも同等のパフォーマンスを見せれば、本格的に話題を呼ぶことになるだろう。(マイケル・チャーチ/Michael Church)