三笘薫も“安泰ではない” ポジション争い激化…逸材19歳に新監督「非常に良かった」
鹿島戦でサルミエント、アヤリ、コジアー=デュベリーなど2列目が躍動
イングランド1部ブライトンは7月24日に「ジャパンツアー2024」の初戦でJ1の鹿島アントラーズと対戦し、5-1で勝利を収めた。
ファビアン・ヒュルツェラー新監督の初陣で見えてきたのは、日本代表FW三笘薫もプレーする2列目の充実ぶりだった。
国立競技場で行われた一戦でブライトンは前半15分、MFジェームズ・ミルナーのロングパスに抜け出したガンビア代表FWヤンクバ・ミンテがエリア内に持ち込み、そのまま先制点につなげた。
さらに後半5分にエクアドル代表MFジェレミー・サルミエントがコーナーキックから追加点をゲット。その4分後にはスウェーデン代表MFヤシン・アヤリが強烈な右足シュートで3点目を奪った。そして、U-19イングランド代表FWアマリオ・コジアー=デュベリーがさらに2点を加え、現在J1リーグ3位の鹿島を粉砕した。
腰の負傷から復帰した三笘は左サイドで先発出場するも、前半45分のみのプレーでベンチに下がった。試合後の記者会見で三笘は「全然問題なくできましたし、そこに対する違和感もなくできてる」としたうえで、「ここからは本当にシーズン戦っていける、毎試合90分戦っていける能力をつけていかないといけないフェーズになってくるかなと思います」と語った。
そんな三笘が本格復帰に向けた調整段階にあるなか、同じ2列目のアタッカー陣がレギュラー奪取に向けて猛烈にアピールをしていた。特にサイドは新加入や復帰組の台頭でポジション争い激化の予感が漂っていた。
今夏新加入した20歳のガンビア代表ミンテは、昨季イングランド1部ニューカッスルからオランダ1部フェイエノールトへ期限付き移籍し、37試合出場で11ゴール6アシストと結果を残した。この日も先制点でしっかりと存在感を示した。
一挙4得点を奪った後半に一際大きな輝きを放っていたのは、アーセナルから新加入した19歳のコジアー=デュベリーだ。アーセナルの中心選手であるイングランド代表FWブカヨ・サカを彷彿とさせるレフティーは右サイドからのカットインで鹿島ゴールを2度打ち破った。試合後の記者会見でヒュルツェラー監督はこの右ウイングについて「非常に良かった。聞く耳を持っている、自分を伸ばしたいという強い気持ちを持っている選手。今のところ、彼のパフォーマンスには満足している」とそのポテンシャルの大きさに太鼓判を押していた。ミンテとともにMFソリー・マーチへの依存度が高かった右ウイングの新たなオプションとして期待される。
後半、三笘に代わって出場したサルミエントも精力的な働きでチャンスに絡みつつ、巧みな身のこなしからゴールネットを揺らした。昨季は英2部ウェストブロムとイプスウィッチ・タウンへ期限付き移籍して経験を積んだ22歳は、エクアドル代表としてコパ・アメリカにも参戦していたこともあり、コンディションの良さを示していた。この日は4-3-3のインサイドハーフとしてプレーしたが、左右両サイドでもプレーできる万能性を持っている。
この日ゴールを決めた選手以外にも、昨季プレミアリーグ31試合出場で6得点を決めた22歳のコートジボワール代表FWシモン・アディングラ、U-23パラグアイ代表としてパリ五輪に参戦中のMFフリオ・エンシソなどブライトンの2列目は多士済済。すでにプレミアリーグで実績十分の三笘とはいえど、レギュラーポジションが安泰というわけでは決してないだろう。プレミアリーグ開幕までおよそ1か月。プレシーズン期間の選手たちのアピール合戦に注目だ。(石川 遼 / Ryo Ishikawa)