「多大なるご不安・ご心配をおかけした」と謝罪

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東京都内の首都高速・山手トンネル内で、小湊鉄道(千葉県市原市)の高速バスがエンジンから煙が出る車両故障を起こしたが、運転手の対応について、一部の乗客からX上で批判が出ている。

消火を優先したため、抗議してやっと脱出し、車外でも避難誘導がなかったという。小湊鉄道では、「安全のため、トンネル出入り口付近の広い場所まで車を移動するなどした」と取材に説明したが、運転手の誘導については、「問題がないとは言えない」との見方を示した。

「安全のため、広い場所まで車を移動するなどした」

高速バスの車両故障については、小湊鉄道が2024年7月17日、「小湊鉄道バス」ウェブサイトで発表した。

それによると、7月14日の21時30分ごろ、首都高速中央環状線(外回り)・山手トンネル内を走行していた木更津駅西口発で三井アウトレットパーク木更津経由のバスタ新宿行きバスで突然、故障が起きた。

小湊鉄道バス部の木更津営業所が18日に取材に答えたところでは、山手トンネル内に入って、車両異常が発生し、運転手がミラーで後方を見ると、車体から煙が出ているのが見えた。

S字カーブが続く走りづらい場所で、暗闇の中でバスを停車させると、追突などの2次災害が起こりかねなかった。そこで、運転手は、バスを左端に寄せながら、五反田出入り口付近の広い場所まで移動させた。

バスを停めて、車体の横にあるエンジンルームのフタを開けて確認すると、ターボ部分の上から火が出て、煙が上がっていた。運転手は、関係先に通報するとともに、バスに備え付けの消火器を使って火を消したという。この故障事故で、品川消防署の消防車のほか、品川署のパトカーも出動した。トンネル内の非常電話から通報する乗客もいた。木更津営業所では、運転手よりも、この乗客による通報の方が早かったとみている。

この事故について、X上では、14日の当日のうちに一部の乗客から報告があり、運転手の対応について非難の声が出た。

「安全に誘導し、適切な声かけができていなかった点はある」

この投稿によると、バスの車内がパニック気味になって、乗客から「降ろしてよ!」と声が上がると、運転手は、「消火器で消火するから座席に戻ってください」と初めて説明したという。車内にも煙が立ち込めたため、乗客らが通路に出て「いいから開けろ!」などと抗議すると、ようやく運転手が乗降ドアを開けて脱出したとした。

降りても、バスのすぐ前で路肩のくぼみ部分に待機し、避難誘導はなかったという。そのときとされる動画が投稿されており、バスがトンネル内の左側に停車し、その前の路肩で乗客数人が待つ様子が映っていた。

トンネル内では、車がバスを次々に追い越していくため、避難口を探すのも難しかったという。乗客の一部は、後続のバスに救助され、乗り換えて新宿まで向かったとしている。動画など投稿の一部は、その後に削除された。

運転手の対応について、木更津営業所の所長は7月18日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように話した。

「非常時には、人命が最優先になると日ごろから指導しています。あの状況で完璧な避難誘導は難しかったと思いますが、問題がないとは言えないと考えています。皆が慌てていたとしても、お客様を安全に誘導し、適切な声かけができていなかった点はあると思っています。車内外にあるドライブレコーダーでも、確認できました。ケガや健康を害する報告はありませんでしたが、お客様にはご迷惑をおかけしました」

公式サイトのお知らせでも、「ご乗車いただいておりましたお客様に対し、多大なるご不安・ご心配をおかけいたしましたことにつきまして、深くお詫びを申し上げます」などと謝罪した。

故障の原因については、これから検分して調査するという。お知らせでも、「車両につきましては、メーカー工場へ移送されており、関係機関による故障原因の調査中であります。当社といたしましては調査に協力するとともに原因の特定と再発防止に努めてまいります」などとしている。

なお、国交省の千葉運輸支局とも連絡を取って、事故について報告するための作業をしているとした。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)