40代前後は誰でも人生の迷いが生じる時期です(写真:mits/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

現代は過剰なほど「ネガティブな感情」になりやすい環境と言えます。

「長く社会人経験を経てきたのに、仕事の成果が上がらず焦りを感じる」「自分よりも部下の方が結果を出していて、このままでは居場所がなくなりそう」「転職するとしても、年齢がネックになり、選択範囲が限られてしまいそう」。そんなふうに思ったことはないでしょうか?

拙著『ネガティブな自分のゆるし方』より、ネガティブ感情を変える方法を一部抜粋、再構成してお届けします。

「迷い」が生まれやすい年齢を迎えたとき

長く社会人経験を経てきたのに、仕事の成果が上がらず焦りを感じる。自分よりも部下の方が結果を出していて、このままでは居場所がなくなりそう。転職するとしても、年齢がネックになり、選択範囲が限られてしまいそう。

人生の転換期を迎えるのが40歳前後と言われ、この時期に起きる心の葛藤を「ゴーギャンコンプレックス」と呼びます。

これは、元々実業家だったフランス画家・ゴーギャンが、40代になってから妻子を母国に残し、リゾート地のタヒチに渡ったエピソードから生まれました。

「今まで歩んできた人生は正しかったのか」

「このまま同じ仕事を続けていいのだろうか」

「この先自分はどう生きるべきなのか」

このように、個人差はあるものの40代前後は誰でも人生の迷いが生じる時期です。長いライフステージの中で、これまでの道のりを振り返って後悔したり反省したりと、自分を捉え直す人が多いのです。

そこで現状維持を選ぶか、チャレンジを試みるかは、本人の捉え方次第です。

カウンセリングをする中で、「今までうまくいかなかったから、きっとこれからもダメだ」といって挑戦を諦める人もいれば、反対に今までの経験を糧にして、起業や独立、転職、Uターン、Iターンなど思い切って人生のステップアップを試みる人もたくさん見てきました。

「歳を重ねたからこそ、メリットがある」と考えてみよう

特に転職について、「年齢による選択肢は限られる」と感じているということは、「加齢=老化」と思われている節があります。

「年齢が上がることで、自由が奪われる」とネガティブに捉えている証拠です。


(イラスト:『ネガティブな自分のゆるし方』より)

こうした価値観を持ち続けていると、今から年齢を重ねていくたびにマイナス思考を生み、何を決断するにも自分が苦しくなります。

そうではなくて、「歳を取ることはメリット」と捉えられると、知識や知恵、経験のすべてを武器にしようと視点が変わります。このように視点を変えることができれば、仕事はもちろん、人生がうまく回り出すでしょう。

40代を目前に、どの方向に進みたいかを悩むタイミングで、「キャリアの棚卸し」をしてみるのも1つの方法です。

先の目標を定めるにしても「現在地」がわかっていなければ、適切な目標設定ができません。地図がなければ、目的地にたどり着けないのと一緒です。

「自分はこれまで何ができるようになったのか」

「何をしているときが一番楽しいか」

このように自分に問いかけて、これまで進んできた道を振り返りまとめてみましょう。「キャリアの棚卸し」で現在地が把握できると、自然と「目的地=目標」が見えてくるはずです。

先ほどの「中年期の迷い」とは対照的に、「仕事は充実し、収入にも満足しているけれど、特に趣味などなく、休日の過ごし方がわからない」という状況に耐えられず、ネガティブ感情を抱く人もたくさん見てきました。

当然、心と体を回復させるために休みを取ることは大切ですが、やることがなさすぎるのもネガティブになる原因になります。

脳の興奮を抑えて心身をリラックスさせる「セロトニン」というホルモンがあります。これは別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、セロトニンを生成するには、ある程度の活動が必要になります。例えば、適度な運動や食事、日の光を浴びるなど、何かしらのアクションが必要です。

その反対に、何もせずに家でダラダラしている、ボーッとして時間が過ぎてしまうといった週末を繰り返していると、セロトニン不足に陥り、幸せを感じにくくなってしまうのです。

「人との関わり」が幸せにつながる

休むことはもちろん大切ですが、身体を休める「静」の休養だけでなく、どこかに出かけてみたり、今までやったことのない新しい体験をしてみたりなど、積極的な「動」の休みが人生の満足度を高めてくれます。


家の中でじっと待っていても、新しい交友関係は生まれません。まずは勇気を出して自分から動き、人と関わりを持っていくことから意識してみてください。

ほかにも、SNSで知り合いに「いいね」やコメントをしてみる、学生時代の友人に久しぶりに連絡をしてみるなど、最初は人に対して何かしらの小さなアクションを起こすだけでもかまいません。

人との関係性を築くには、一定の時間と、多少の努力は必要になります。

誰かとつながりを感じられることで、今感じているネガティブ感情は少しずつ小さくなっていくでしょう。人との関係には、もちろん多少の軋轢は生じますが、面倒がらずに身近な人と関わることも心の平安には必要な要件です。

(大野 萌子 : 日本メンタルアップ支援機構 代表理事)