石丸氏の演説を聞きに多くの人が。“石丸ガールズ”も訪れるという(写真・梅基展央)

 立候補者は過去最多の56人。ついに終盤を迎えた東京都知事選では、3選を目指す現職・小池百合子知事の“圧勝ムード”が漂い始めた。しかし、“2位争い”では異変が起きているようでーー。

「選挙戦が始まるまでは、多数の識者が基本的には小池都知事と、前参院議員の蓮舫氏の“一騎打ち”という構図だと考えていました。逆に言えば、それ意外は実質“泡沫候補”。しかし、ここにきて広島県安芸高田市前市長の石丸伸二氏が伸びてきているんです」(政治部記者)

 実際、共同通信社が29、30日に実施した電話調査を元にした産経新聞の報道によると、小池都知事が「一歩リード」し、蓮舫氏が続き、石丸氏は「激しく追い上げている」と表現している。

「場合によっては、石丸氏が蓮舫氏に追いつき、2位になるのではないかという見方すら出てきています。石丸氏は、市長時代に議会と対立する様子を収めたYouTube動画で人気を博しました。ネット上には“石丸ファン”とでも言えるような熱烈な支持者が生まれ、他の候補者を否定するような書き込みも多数見受けられます。こうしたネット上での知名度というものを、政治部記者や政治評論家は軽視しすぎていたのかもしれません」(同前)

 選挙運動にかかわる人は原則として無報酬。一部はボランティアとして選挙運動に参加してくれる、こうした“熱心なファン”が“追い上げ”の要因の一つであるのには間違いない。だが、石丸氏は41歳の独身。鋭い弁舌と爽やかなルックスで知られる同氏に、“政治家”以上の想いを抱く女性も多いようだ。都内のIT企業に勤める20代女性のA子さんはこう語る。

「私は、石丸さんの“ガチ恋”ですね。最初は、市長の時にSNSの切り抜き動画で知りました。最初はシンプルに顔がタイプだったんですけど、歯に衣着せぬ物言いがクセになって、気付いたら議会の様子をYouTubeでチェックするようになりました。

 そんな石丸さんが都知事選に立候補すると知った時は、『推しが東京に来る!』というだけでテンションが上がりましたね(笑)。あまり政治に関心がなかった私ですが、石丸さんが掲げる政策を聞くために、週に2、3回ほど仕事の前後に演説を聴きに行っています。そこでツーショットで撮ってもらった写真は、スマホの待ち受け画面にしています」

 具体的にどんなところに惹かれるのか。

「いちばんは親近感ですかね。ネットでよく見ていたので、自分たちと遠く離れた存在である“政治家”というよりは、インフルエンサーに近いような感覚です。私たちと価値観の似ている人が都政を変えてくれると思うと応援したくなりますよ」(同前)

 ほかにも熱心な石丸ガールズが演説を聞きに来ているという。

「聴衆の男女比は半々くらいですが、特に中高年女性は元気ですよ(笑)。石丸さんのテーマカラーである紫色のものを身につけて、応援するんです。アイドルグループを応援している時に、好きなメンバーのテーマカラーを身に着けてライブに行くことってよくありますよね。まさにそんな感じで、私と同じようにアイドル視している人も多いですよ」(同前)

 ほかにもX上では、石丸氏をアイドル視して応援する声も多数見受けられる。

《石丸さん、最強ファンサービス アイドルならセンター間違いなし》

《もう石丸伸二さんアイドルみたいやな。ハイタッチ会あったりうちわあったり》

 前出の政治部記者はこう分析する。

「アイドルっぽく振る舞うことは、石丸氏の戦略のひとつでしょうね。やはり実績という点では小池都知事にかないませんし、立憲民主党や共産党が応援する蓮舫氏には組織力でも勝てない。ただ、アイドルとして無党派層を誘引する力は抜群にあるはず。7月7日の開票日が楽しみですね」

 これも新しい選挙の形なのかも……。