年収400万円の40代会社員、独身なので生活費以外のお金をすべて推し活とゲームに使っています。趣味のお金、私は平均より使いすぎでしょうか?

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40代会社員のAさんは独身で、年収は400万円ほどです。趣味は推し活とゲームで、生活費以外のお金はすべて趣味に使っています。趣味に使うお金は平均でいくらなのか、将来に向けて考えておくべきことはあるのか、本記事でFPがお答えします。

40代はどのくらい推し活にハマっている?

消費者庁の「令和4年版 消費者白書」では、若者に特徴的な消費形態として「推し活」に注目し、調査を行いました。調査は、推し活を表す行動を「有名人やキャラクター等を応援する活動にお金を使う」として、さまざまな世代に聞いています(※1)。
10代後半では「とても当てはまる」が22.5%、「ある程度当てはまる」が19.6%と、4割以上が意識して推し活にお金を使っていると回答しています(「どちらともいえない」は除きました)。20代になるとあわせて31.8%、30代は17.5%と低くなり、40代ではあわせて9.8%でした。それでも40代で10人に1人の割合ですから、Aさんが推し活にハマっていても、さほど珍しいこととはいえないでしょう。
 

平均的な家計収支と比較する

次に、趣味や娯楽に使う金額についてです。総務省の「家計調査」から、400万円台の収入がある独身者の、毎月の収支を調べてみました(※2)。
図表1


趣味への支出は「教養娯楽」に該当するので、平均的には毎月2万8000円ほどであることが分かります。Aさんの場合、「その他」の支出分も趣味に使っているとすれば、あわせて6万4000円程度を趣味に充てているといえます。食費や衣服などその他の項目も、少しずつ削っているかもしれません。といっても限界はあるので、最大で収入の20%程度、7万円前後を推し活とゲームに費やしていると考えられます。平均の2.5倍なので、かなり多いといえるでしょう。
夢中になれる趣味がある一方、自己投資あるいは社会人としての身だしなみや周囲との付き合いなどに、支障が出ていないか心配になるお金の使い方といえます。
 

今後のライフイベントへの備え

Aさんには、「今しかできないことだから」といった考えがあるのかもしれません。
お金の使い道が偏っていても、ある時期に限定される場合や平均的な支出バランスを十分理解しているのであれば、今後計画的に軌道修正していくことが可能です。
手遅れにならないよう気を付けたいのは、将来まとまった資金が必要になるライフイベントへの備えです。
Aさんは40代。今後考えられるものとして、持ち家の取得、親あるいは自分の介護費用、健康不安へのリスク対策、そして何より老後資金が挙げられます。また、趣味のご縁から結婚するかもしれません。これらのライフイベントに向けて、すでに十分な金融資産を保有していれば、趣味に収入をつぎ込むのもよいでしょう。もし資金が足りなければ、貯蓄に回すお金を増やすなど、具体的な行動に移す必要があります。
 

みんなは貯蓄できているの?

前出の図表1を見ると、毎月8万6000円ほど貯蓄できています。十分な額に見えますが、実は、この表に含まれないキャッシュフローとして、保険料支払いやカードの引き落とし(実支出以外の支出)があります。
また、住居費が3万円台ですが、この資料では年齢層が40代に限定されていないため、住宅ローンを完済した年配者や実家暮らしの若年層も混在し、平均額が低くなっているのです。賃貸であれば倍以上の家賃が発生していると考えたほうが無難です。これらを加味すると、平均的な単身世帯でも、実は預貯金がほとんど残らない場合もあるのです。
Aさんが貯蓄に回す分を十分確保するには、趣味のお金の管理に加え、支出全体に相当なやりくりが求められるでしょう。
 

最後に

単身者の場合、人生の3大支出といわれる「住居費用」「教育費用」「老後費用」のうち、教育費用がかからないという特徴があります。それでも、貯蓄に余裕で回せる支出には見えませんでした。
何にお金をかけるかは自由ですが、目標をもった資産形成が土台となっていてほしいものです。そのための貯蓄を、支出に使う前に確実に積み立てる、仕掛けと意思が何より大切になります。
Aさんには「推し活」と「ゲーム」を、今より一歩引いても長く楽しめるような、程よい距離感を見つけてもらえればと思います。
 

出典

(※1)消費者庁 令和4年版消費者白書 第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動
(※2)総務省 家計調査 家計収支編 2023年度 単身世帯 表番号5
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員