キッシー逆ギレに立憲・泉代表はうろたえた?そして維新・馬場代表が喜んでいたのが面白かった

写真拡大

馬場さんがなぜか大喜び

国会は内閣不信任案が否決されたが、岸田文雄首相は解散にも踏み切らず、今日(6月21日)で事実上閉会する。19日には3年ぶりとなる党首討論が行われたのだが、これがなかなか面白かった。

立憲民主党泉健太代表が政治資金規正法改正について「自民党が抵抗勢力だ」と批判したのに対し、岸田氏は「禁止、禁止、禁止というのは大変気持ちがいいかもしれない。しかし政治資金は民主主義を支える大変重要な要素だ。現実的に考える責任ある姿勢が必要だ」と逆襲した。

驚いたのは、岸田氏が「御党は禁止を言いながらパーティを開いているとか、労働組合から献金を受けているとあげつらう気はないが」と述べて、立憲のことを思いっきり「あげつらった」ことだ。

泉氏は首相の意外な逆襲をポカンとした顔で聞いていたが、翌日の産経新聞は「泉氏がうろたえていたことは明らかだった」と指摘。これに対し泉氏はX(旧Twitter)への投稿で、「うろたえとか、後味の悪いものだったろうとか、こんなにも創作できるのならば、記者さんとしては楽しく書いているはず」と皮肉った。

筆者はそれよりも以前から立憲の政治資金についての「ダブルスタンダード」を批判してきた維新の馬場伸幸代表が大笑いしていたのが面白かった。

維新は今回自民と「ニギって」、衆院では法案に賛成したのに、参院では自民の旧文通費への対応が遅いということで反対に回り、執行部の対応のまずさに党内外から批判の声が上がっていた。自民とは「喧嘩中」のはずだったが、やはり体質的に立憲より自民の方が合うのかもしれない。

泉さんはキッシー逆ギレにうろたえたのか?

政治資金規正法改正の話では守勢に立っていた岸田氏だが、憲法改正の話に移ると興奮し始めた。「(立憲からは)国会を全て止めるというような発言もあったと記憶している。極めて無責任な対応だ」「憲法改正で責任のある対応をお願いしたい」と立憲を激しく非難した。

泉氏はここまで首相が攻めてくるとは想定しなかったのだろう。「今のようなお話の仕方で外交をやられているんですか?不安になりましたよ」と切り返したが、キッシーの逆ギレに「うろたえた」かどうかは別にして、勢いに押されていたのは事実だ。

岸田氏の憲法改正への強い思いは、最近自民党から離れているとされる保守派をもう一度自民に戻す力になるのかもしれない。ただ現実には岸田氏が言ってきた「任期中に憲法を改正する」という「約束」は果たされそうにない。

それに政治資金規正法にしても憲法改正にしても、筆者は個人的に「キッシーよく言った」と思ったが、多くの国民に響いたかというとそれはなかなか難しいだろう。泉氏は防戦一方にも見えたが、実は政治資金で相当自民を追い込んでいるので、ここはあえて深追いは避けたのかもしれない。

キッシー以上の迫力を見せろ

こうして国会は終わり、次のイベントは7月7日の都知事選、そして9月30日に任期が切れる自民党総裁選である。

先日「月刊正論」の連載で、加藤勝信元官房長官(7月号)、小林鷹之前経済安保相(8月号予定)と続けてインタビューしたのだが、加藤氏は菅義偉前首相が推すのではないか、また小林氏は「若手枠」で出るのではないか、との見方がある。

2人とも素晴らしい人材で、ぜひ首相になってもらいたいと思った。この2人に以前から名前の挙がる茂木敏充、高市早苗、河野太郎氏らが加わって政策論議を深めるのを楽しみにしていたのだが、18日の党首討論での岸田氏の「迫力」に接して考えがちょっと変わった。

彼らに岸田氏ほどの迫力はあるのか。党首討論でも「もう辞めろ」という声は挙がったし、党内でも岸田おろしは既定路線のようにも見えるが筆者にはまだ他の候補は頼りなく見える。もし岸田氏を「おろす」なら彼以上の迫力を見せなければいけない。でないと日本のリーダーは務まらないと思うのだ。