小米は新規参入したEV事業に注目が集まっているが、祖業のスマートフォン事業も好調だ。写真は同社のハイエンドスマホ「Xiaomi 14 Pro」(小米のウェブサイトより)

中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)の業績回復が一段と鮮明になってきた。

同社が5月23日に発表した2024年1〜3月期の決算によれば、売上高は755億700万元(約1兆6347億円)と前年同期比27%増加。一時損益などを除いた調整後純利益は64億9100万元(約1405億円)と前年同期比で倍増し、アナリストの事前予想を上回る増収増益を達成した。

なお、市場情報サービス会社のファクトセットのデータによれば、アナリストの事前予想の平均値は売上高が742億7000万元(約1兆6079億円)、調整後純利益が55億1000万元(約1193億円)だった。

海外の需要回復が追い風に

シャオミの四半期売上高は2023年4〜6月期を底に増加に転じていたが、2024年1〜3月期は増収幅が大きく拡大した。その原動力になったのは、売上高の6割以上を占めるスマホ事業の好調だ。

決算報告書によれば、シャオミの1〜3月期のスマホ出荷台数は前年同期比33.7%増の4060万台に上った。その結果、スマホ事業の売上高は465億元(約1兆67億円)と、同32.9%増加した。

ここ数年、シャオミはハイエンドスマホの販売拡大による利益率の引き上げに注力してきた。だが、1〜3月期のスマホ1台当たりの平均単価は1144.7元(約2万4782円)と、前年同期の1151.6元(約2万4931円)からわずかながら低下した。

その理由についてシャオミは、平均販売単価が(中国市場より)低い海外市場での出荷台数が伸びたためと説明している。

シャオミのスマートフォン事業の好調は、グローバル市場の需要回復のタイミングを(競合他社よりも機敏に)つかんだ結果だ。市場調査会社のカナリスのデータによれば、2024年1〜3月期の全世界のスマホ出荷台数は2億9600万台と、前年同期比10%増加。伸び率が直前の2023年10〜12月期の8%から2ポイント上昇した。

そんな中、シャオミは1〜3月期のグローバル市場で前年同期より3ポイント高い14%のシェアを獲得。メーカー別ではサムスン電子、アップルに次ぐ世界第3位のポジションを維持した。

スマホ事業は収益性も改善している。決算報告書によれば、1〜3月期のスマホ事業の粗利益率は14.8%と、前年同期より3.6ポイント上昇。シャオミの説明によれば、スマホ用のストレージなど中核部品の調達コスト低下が寄与したという。


第1号モデル「SU7」を3月下旬に発売したEV事業は、小米の4〜6月期以降の業績に寄与する見通しだ(写真は同社ウェブサイトより)

シャオミはスマホ事業のさらなる成長を図るとともに、新規参入したEV(電気自動車)事業との相乗効果の発揮を目指している。

「2024年から2026年にかけて、中国で新たに1万店の実店舗をオープンし、既存店舗と合わせて2万店体制を築く。さらに既存店のスペース拡張やアップグレードを進め、EVの展示ニーズにも対応していく」

同社総裁の(社長に相当)盧偉冰氏は、決算説明会でそう述べた。

EVの販売目標を引き上げ

シャオミは3月28日、EV(電気自動車)の第1号モデル「SU7」を発売し、価格性能比の高さで大きな注目を集めた。同社によれば、SU7は4月24日までの約1カ月で5781台を納車し、その時点の(キャンセルを受け付けない)確定受注残が7万5700台に達したという。


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SU7の発売時点では、シャオミは最初の1年間の販売目標を10万台に定めていた。しかし盧氏は、この目標を12万台に引き上げたことを決算説明会で明らかにし、次のように述べた。

「現時点のEV事業の課題は、顧客の納車待ち期間が長すぎることだ。しかし6月からは、工場で2交代制の生産体制をとる。それにより生産能力が倍増し、月間1万台を突破できる見通しだ」

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は5月24日

(財新 Biz&Tech)