「海外投資家」が5年間で買い増した50社ランキング
海外機関投資家の厳しい投資基準を満たし、外国人持ち株比率が上昇した企業をランキングした(イメージ写真:taa/PIXTA)
バブル景気時の1989年に記録した高値を超えて、今年2月、約34年ぶりに史上最高値を更新した日経平均株価。その後に高値4万1087円をつけた後は利益確定売りなどに押されて、足元では上値が重い展開となっている。
ここからまた相場が上昇力を取り戻すかどうかは、国内株式市場で最大の投資主体である海外投資家の動向が大きなカギを握る。
そこで今回は、6月17日(月)に発売される『会社四季報』2024年3集(夏号)の特集「巻頭ランキング」から、「外国人持ち株比率5年前比向上度ランキング」の一部を紹介する。東洋経済が半期ごとに集計している各社の株主データを基に、5年前と直近を比べて、外国人投資家が株式を買い増した企業をランキングにまとめた。
ランキング1、2位は半導体関連企業
この5年間を振り返ると、2020年前半から本格的に感染が広がった新型コロナウイルスによって、世界的に経済・社会が大混乱し、企業経営も深刻な打撃を受けた。そうした大混乱の中で、多くの企業が合理化や経営の効率化に取り組んだ。
またテレワークやクラウド化によるDX(デジタル・トランスフォーメーション)などの対策が、コロナ収束後においても企業業績の改善につながっている。国内株式市場の状況を左右する影響力を持つ海外投資家にとって、継続的な投資対象となり得る国内企業が増えていることは、今後の全体相場にとってもプラス材料と言える。
個別株への投資判断に際して海外投資家は、企業の成長性や収益性、株主還元の姿勢を厳しく問う傾向が強い。そのため、海外投資家が資金を投入する企業は、個人投資家にとっても比較的に安心感が高い投資先と言える。多くの上場企業がある中で、今後の「外国人買い」が期待できそうな企業を探すのに役立ててほしい。
1位は、半導体関連銘柄の一角であるSUMCO。シリコンウェハーの製造大手として信越化学工業と双璧で世界トップクラスの同社は、2023年初めごろから半導体関連銘柄への資金流入が本格化したこともあり外国人持ち株比率が5年前の25.9%から直近は19.6ポイント増の45.5%に向上している。
今2024年12月期は顧客の在庫調整が響いて連続営業減益となる見通し。ただ、今期の下期にはAIサーバーに使うロジック向けの最先端ウェハー需要拡大などで業績が急回復に向かい、来2025年12月期には営業増益に転換する見込みだ。
2位にはパワー半導体大手のサンケン電気がランクインし、半導体関連企業が続く形となった。外国人持ち株比率は54.8%と、5年前から19.3ポイント向上している。
同社は1月の能登半島地震で石川県の3工場が被災。その影響もあって、今2025年3月期は前半の業績が非常に厳しいが、下期から急激に回復する見込み。EV(電気自動車)用途や家電の省エネ対策でパワー半導体需要は中長期的な拡大が確実視されている。
海外投資家が注目する世界で戦える企業
3位はリクルートホールディングス。外国人持ち株比率は直近で43.6%と5年前から17.2ポイント上昇した。2012年に買収した世界60カ国以上で展開する求人検索サービス「インディード」が近年の成長の原動力となっており、グローバル経営が軌道に乗っている。
昨年11月にアメリカの投資ファンドでアクティビスト(物言う株主)のバリューアクト・キャピタルによる株取得が報じられたこともあって、株価は上昇基調で推移、6月4日には取引時間中に8343円をつけて上場来高値を更新している。
そのほか上位には4位に製薬大手で乳がん薬など、がん領域の「エンハーツ」の売り上げ拡大を狙う第一三共、5位には保管・搬送システムで世界首位級のダイフクと、グローバルでの競争力が高い企業が並んだ。
なお、ランキングは海外勢の資金流入が期待できそうな時価総額500億円以上の企業を対象とし、さらに株主構成で流動性が低い特定株比率が50%を超える企業や前期・今期ともに最終赤字の企業は除外している。
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(山田 泰弘 : 東洋経済 記者)