「平成女児チョコ」心が躍る"懐かしいレシピ本"
平成女児チョコ(写真:筆者撮影)
色とりどりのミックスチョコがまぶしてある、どこか懐かしさを感じるチョコレート。百貨店で売っているような高級チョコレートとは異なり、素朴な見た目ではあるが、つい作ってみたくなるようなかわいらしさがある。
小学生で初めて作ったチョコをイメージ
こうしたレトロなチョコレートは「平成女児チョコ」と呼ばれ、Xでも時折トレンド入りすることがある。平成女児チョコの名前の由来は、小学生の頃に初めて作ったチョコレートを彷彿とさせるから、といった意味から来ているようだ。
令和ではインスタグラムやXを使えば、ポップで可愛いチョコレートのレシピを簡単に手に入れることができるが、平成初期〜中期の頃は当然SNSも今ほど発達していない。
当時の女子、特に小学生がこぞって購入し、チョコレートや、そのほかのお菓子作りの参考にしていたのが、本やファッション雑誌だ。
平成初期から中期に小学生だった、現在30代後半から40代前半の読者だと、小学館から発行されていた『ミニレディー百科』にピンと来る人も多いかもしれない。
『ミニレディー百科』(写真:筆者撮影)
『ミニレディー百科』は、おしゃれや料理、占いなど、趣味に関する情報がたくさん詰まった、少女向けの百科事典シリーズだ。
中でもクッキングは、マカロニサラダやカスタードプリンなどの当時の小学生にとっては、オシャレなレシピが載っており、人気のテーマだった。
少女漫画にはクッキングレシピの付録も
また『なかよし』や『りぼん』などの少女漫画には、付録としてクッキンングレシピが付くこともあった。
当時の付録をパラパラとめくると、バレンタインはもちろん、夏休みには冷たいスイーツなどと、季節ごとのイベントに向けて、気軽にチャレンジできそうな内容のレシピが豊富に載っている。
少女漫画に付いてくるお菓子レシピの付録(写真:筆者撮影)
このほか、クッキングをテーマとした少女漫画の連載や、『nicola』や『melon』などのジュニア雑誌でも、シーズンごとにクッキングの特集が組まれていた。
平成の女子に大人気だった、ジュニア雑誌(写真:筆者撮影)
この当時は学校でも、家庭科の授業で調理実習の時間があったが、そうではない「自分の好きなものを、友達や誰かに向けて料理をする」ということが、当時の小学生には何よりも楽しかったのかもしれない。
また料理が上達するというよりも、友達とシェアすることの楽しさも、お菓子作りが流行った理由の1つだろう。平成後期の小学生が作っていたお菓子のレシピは、友達と分けるために大量生産できる簡単な内容だった。
簡単レシピ、大量生産で定番のクッキー(写真:筆者撮影)
さて、令和の今に話を移そう。
平成後期になると「友チョコ」が流行り、恋人や好きな異性だけではなく、友人同士でチョコを渡すのも当たり前になった。また、チョコレートだけではなく、チョコレートを包むラッピングなど、それぞれこだわって楽しんでいた。
しかし現在では、友チョコや義理チョコは、食品アレルギーの問題や、経済面、チョコレートをもらう・もらわない子の差別が生まれるといった理由で、学校で問題視されるケースもあるようだ。
令和では「ちいかわ」などキャラ本も人気
さまざまな事情がありながらも、平成女児チョコがバズったように、小学生、そしてあの頃小学生だった大人たちも、チョコレートなどのお菓子作りを個々人で楽しんでいる。
平成では雑誌の付録が人気だったが、いまでは「ミラクルシリーズ」(西東社)の中の小学生向けのクッキング本や、ちいかわなどキャラクターのレシピ本も人気を集めている。
『ミラクルハッピー はじめてのお料理レシピDX』、『ときめき お菓子レッスン』など、令和にも子供が楽しめるクッキング本がある(写真:筆者撮影)
「平成女児チョコ」は、「映える」とは少し違うかもしれない。けれども、あのどこか初々しい手作り感は、やはり心に響くものがある。
ただチョコを溶かして固めただけの、簡単な「平成女児チョコ」。改めて、当時を思い出して作ってみるのもいいかもしれない。
(Tajimax : ライター・コレクター)