イクイノックスの母となったシャトーブランシュ(15年6月撮影、ユーザー提供:kasshiyさん)

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 今年で29回目と歴史は浅いマーメイドSだが、実は名馬の母を多く送り出しているレースでもある。そこで今回は競走馬として一流、さらに繁殖牝馬としても一流だった名牝を紹介したい。

 96年から05年までは別定戦だったマーメイドS。ハンデ戦の現在と違い、実績馬が出走しやすかったので、いわゆる大物も多く勝利している。代表格は97年のエアグルーヴ。前年のオークス馬だが、秋華賞(10着)の後に骨折が判明したため、これが8カ月ぶりの実戦だった。単勝1.9倍の1番人気に支持されて、直線では2番人気のシングライクトークと一騎打ち。ライバルを3/4馬身抑え、後の飛躍へとつながる勝利を手にした。エアグルーヴは繁殖牝馬としても大成功。産駒のアドマイヤグルーヴとルーラーシップがGI馬となるなど、その一族は大きく発展している。

 その後も「後の名繁殖牝馬」の勝利は相次ぎ、00年のフサイチエアデールはフサイチリシャール、03年のローズバドはローズキングダム、04年のアドマイヤグルーヴはドゥラメンテの母となっている。この頃のマーメイドSは、まさに「名繁殖牝馬の登竜門」といった雰囲気だった。

 ハンデ戦となって以降、実績馬の出走が減った。それでも13年のマルセリーナはラストドラフト、ヒートオンビートと2頭の重賞勝ち馬を輩出。そして15年のシャトーブランシュはイクイノックスの母となった。

 今年も良血牝馬が数多くエントリーしてきたマーメイドS。どの馬が勝ち、そして名馬の母となるのか。そういった視点でも注目したい一戦となる。