パンとエスプレッソと「800円朝食」の正直な感想

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直営店、のれん分けを合わせて29店舗ある、「パンとエスプレッソと」をご紹介します(筆者撮影)

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。

そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第79回となる今回、訪れたのは「パンとエスプレッソと」です。

ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。カフェやハンバーガーショップ、おそば屋さんなどはもちろんのこと、最近では焼肉店やラーメン店など多種多様な店舗が独自の朝限定メニューを展開しています。

今回ご紹介するのは、「パンとエスプレッソと」のモーニングメニューです。「パンとエスプレッソと」は、2009年に表参道に1号店をオープンしたベーカリーカフェです。2024年現在直営店とのれん分けを合わせて29店舗を展開しています。

渋谷駅徒歩5分の新名所でモーニング

「パンとエスプレッソと」は、店舗ごとにたたずまいもメニューもそれぞれですが、共通しているのは絶好の立地と、乙女心くすぐるかわいい内装インテリア。カジュアルな雰囲気ながら、ちょっと特別な雰囲気があります。

【画像】最安700円から、「クロックマダム」のセットは1200円…「パンとエスプレッソと」モーニングの様子を見る(11枚)


リズミカルで店名を読むだけで心躍る、パンとエスプレッソとまちあわせ(筆者撮影)​

店名も個性的で「パンとエスプレッソと湘南と」「パンとエスプレッソと嵐山庭園」のように、地名を取り入れているお店もあれば、「 パンとエスプレッソと花束を」「パンとエスプレッソと樹の下で」のように、業態やコンセプトをあらわしているお店もありますが、どれも長いけれどリズミカルで、店名だけですでに心惹かれます。

今回筆者が利用したのは渋谷駅から徒歩5分ほど、新名所ミヤシタパーク(宮下公園)2階にある「パンとエスプレッソとまちあわせ」。ミヤシタパーク正面入り口にある、エスカレーターを昇ってすぐの場所に位置する店舗はその名の如く待ち合わせにぴったりです。


ミヤシタパークの入り口からエスカレーターを上がってすぐ(筆者撮影)​

店内は広くはないものの、席数は30ほどあり。一角ではテイクアウトのパンも販売していました。こげ茶色の木目と、白とグレーの店内には、効果的に黄色の差し色が使われ、若々しくてポップな内装です。フローリングだと思っていた床は、細かな凹凸があり小技が効いています。

モーニングセットはスマホでオーダー

「パンとエスプレッソとまちあわせ」の朝限定メニューは6種類。全てドリンクがセットになっています。販売時間は開店(朝8時)から10時まです。


パンとエスプレッソとまちあわせのモーニングメニュー(筆者撮影)​

・まちあわせのクロックマダム 税込1,200円
・クワトロチーズのクロックムッシュ 税込1,000円
・クロックマダムとジェノベーゼ 税込1,000円
・ムーのクロックマダム 税込900円
・ムーと鉄板ベーコンエッグ 税込800円
・ムーとあんバター 税込700円

スタバやタリーズのようなカフェチェーンでおなじみのオーダーカウンターに並ぶシステムではなく、空席に着席して、テーブルの上に置いてあるQRコードを自分のスマホで読み込んで注文します。


QRコードでスマホ注文。オーダーカウンターに並ばなくていいので、ラクチンです(筆者撮影)​

私はものぐさで混雑するオーダーカウンターに並びながら「長時間立ってるのって疲れるなぁ」「やっと注文できたと思ったら、出来上がりまでカウンターのはじっこで立って待たされるのつらい」と、心の中でいつも文句タラタラだったので、入店するやいなや座れるというのはありがたい限り。

モーニングのセットドリンクは、コーヒーや紅茶、ジュースなど10種類以上から選べます(一部150円アップのドリンクあり)。店名にエスプレッソとあるのに、なぜかエスプレッソはセットドリンクに記載がありませんでした。

モーニングセット、ムーと鉄板ベーコンエッグ800円


モーニングセット、ムーと鉄板ベーコンエッグ800円(筆者撮影)​​

注文したのは、店頭ポップにドーンと張り出されていた「ムーと鉄板ベーコンエッグ」。ドリンクはアイスコーヒーを選びました。まずアイスコーヒーから到着。

コロンとしたダブルウォールグラスの内側に店名がプリントされていていました。グラスは小さめサイズなのですが、それすら愛しい。ストローなしで、グラスに直接口をつけて飲みます。


コロンとかわいいダブルウォールグラスはオリジナルプリントつき(筆者撮影)

ダブルウォールグラスは、二重ガラスで空気層を作った保温性・保冷性に優れていて、手に熱が伝わりにくいのが特徴です。機能性も素晴らしいのでしょうが、それはさておき見た目がかわいい。これぞ「インスタ映え」というやつです。

コースターもオリジナルで、店名の「まちあわせ」をもじったあいうえお作文が書いてありました。茶目っ気たっぷりな演出が楽しい。

見た目も名前もかわいい食パン、ムー


フランス語で柔らかいという意味を持つ食パン、ムー(筆者撮影)​

「パンとエスプレッソと」の名物は、「ムー」と呼ばれるキューブ型の食パンです。小さめサイズでバターたっぷり。しっかり甘くて、しっとりふわふわな生地は、口どけも良い贅沢な味わいです。

食べごたえ十分の「ムーと鉄板ベーコンエッグ」

このムーを厚切りにして、上にバターとベーコンと目玉焼きを載せて焼いたのが「ムーと鉄板ベーコンエッグ」。ムーは柔らかいのでナイフがスッと入りました。

デニッシュ食パンのようなバターたっぷりの甘い生地に、さらにバターを載せるという、バターの波状攻撃となっています。


パンのサイズは小さいけれど厚切りなので食べごたえは十分(筆者撮影)​​

目玉焼きの黄身はかなりゆるめの半熟。特にソースなどはかかっておらず、塩こしょうとパセリだけのシンプルな味付けです。

ベーコンは柔らかくほどよい塩気。全部まとめて口に放り込むと、ムーが口の中でほどけ、バターの香りがふわり、黄身がとろりで、凝ったことしてないけどめちゃくちゃおいしい。


ムーを黄身にからめて食べれば、まろやかさもアップ(筆者撮影)​

スーパーで買う安い食パンだっておいしいし好きだけど、ムーは段違いで贅沢です。小さめサイズなので「おいしいおいしい」と、パクパク食べているとあっという間に食べ終わってしまいました。アイスコーヒーもグビグビっと飲み干し、サクッと店を後にしました。

アリスの気分が味わえる憩いの公園

筆者が利用した日は、あいにく朝から雨模様でした。開店時間の5分ほど前に到着したら、その時点でインバウンドの旅行者と思しき家族連れが開店を待っていました。

開店直後にも1組の外国人カップルが入店し、私以外のお客は全員異邦人という、ニュースで声高に繰り返される訪日外国人旅行者数の増加を目の当たりにしながらの朝食となりました。

渋谷の再開発の象徴として、悪し様に言われることも多いミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)。さして期待せずに行ったのですが、渋谷駅から徒歩数分でこんな面白い場所があるのかと。


ビルの谷間に広がる開放区(筆者撮影)​

徒歩と自転車しか通れないラクガキだらけの、細くて汚いトンネルを抜けると、緑あふれる近未来的な建物が現れた瞬間の、摩訶不思議な感覚ときたら! まるでうさぎを追いかけて穴に飛び込み、不思議の国に迷いこんだアリスの気分です。

SNSでは「渋谷には若者の居場所がなくなった」とか「公園なのに憩いの場じゃなくなった」などと声の大きい人たちが騒いでいますが、ミヤシタパークの屋上には、芝生が広がりベンチもあり、スケート場やボルダリング設備もあり、どうみても若者が集うことを想定した憩いの場であり「百聞は一見にしかずとはこのことだなぁ」と、いろいろ考えさせられる朝でした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。


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(大木奈 ハル子 : ブロガー・ライター)