「3DMark Steel Nomad」を試す - UL Benchmarksが3DMark新テスト公開
●新テスト追加で、3DMarkの現状を整理する
米UL Benchmarksは米国時間の5月21日、同社の3DMarkに新しく3DMark SteelNomadを追加する。これに先駆け、Press向けPreviewを試用する機会に恵まれたので、ご紹介したいと思う。
Positioning
3DMarkはこれまでもたびたびベンチマークを追加してきており、もうかなりの量になる。中には廃止というか、まだ残っており利用も可能だが、ベンチマークとして使う事が非推奨扱いになったもの(Ice Storm/Cloud Gate/Sky Diver)もある。現状普通に利用できるものとしては
Speed Way
Port Royal
Solar Bay
Time Spy
Fire Strike
Wild Life
Night Raid
があり、これ以外にCPU ProfileとStorage Benchmark、それと特定機能を確認できるFeature Testsとして
DirectX Raytracing feature test
Mesh Shader feature test
PCI Express feature test
Sample Feedback feature test
VRS feature test
AMD FSR feature test
Intel XeSS feature test
NVIDIA DLSS feature test
が用意されている。今回はここにSteel NomadとSteel Nomad Light、それとSteel Nomad Light Unlimitedが追加された格好だ。ここまで機能が増えれば当然容量もデカくなる。ダウンロードサイズで言えば、v1.00が969MBに過ぎなかったのに、今回のバージョン(v2.29.8242)では10.1GBに達している。ダウンロードには相応の時間を要するだろう。
さてそんなSteel Nomadであるが、UL Benchmarksにおける位置づけはこんな感じ(Photo01)。現在UL Benchmarkは自身の提供するベンチマークのクロスプラットフォーム化を進めており、Steel NomadはRay Tracingを使わない「比較的重めのゲーム〜それほど重くないゲーム」のカテゴリに利用する事を想定している。実際Steel NomadもレンダリングAPIにDirectX 12の他にVulkanも利用可能になっており、こちらでの比較も可能である。今回は一応比較を行ったが、それそろFire StrikeとかNight Raid、Time Spyなどは利用せずに、Speed WayやSteel Nomad、Solar Bay、Wild Life Extremeなどを中心にベンチマークを行ってほしい、という事かと思われる。
Photo01: ただ現状Steel NomadとSteel Nomad Lightの負荷が極端に異なるのが問題な気はする。詳しくはベンチマークで。
Steel Nomadの動作環境としては
OS : 64bitのWindows 11 or Windows 10(Version 21H2以降)
CPU : 1.8GHz駆動のDual Core以上、SSSE3サポートがあること
Memory : 8GB以上
GPU : DirectX 12 feature level 12.0に対応し、Shader model 6.0をサポートしている事
GPU Memory : Steel Nomadは6GB以上、Steel Nomad Lightは4GB以上
Storage : 1.5GB
であり、今回(スコアはともかくとして)Core i9-13900Kの内蔵GPUでも動作した。基本DirectX 12が動作するGPUならばSteel Nomadは利用できると考えて良いだろう。
使い方
Steel Nomadは単体で提供されるわけではないので、最新版の3DMarkを入手する事で利用できる。
余談であるが、今年は3DMarkがリリースされて25年になる。FutureMark時代のFinal Realityが1997年のリリースだが、これに続きMadOnion時代の1998年に3DMark99をリリースしており、ここから数えると25年になる計算だ。それもあってか、最新版の3DMarkにはイースターエッグとかReferenceが幾つか隠されているらしい。この辺は入手後に、確認していただければと思う(Photo02)。
Photo02: Press Review版だからだろうか? Splash Screenにスタッフ一覧が。最後にはOfficedogまで。
話を最新版の3DMarkに戻すが、まず、起動するとSteel Nomadが一番左上手前に出てくるので、ここで"RUN"を押せばすぐスタートする(Photo03)。もう少し細かい設定を行いたければ、ベンチマーク一覧(Photo04)からSteel Nomadを選ぶ(Photo05)事で、APIの変更とか複数GPU搭載時の切り替え、あるいはStress Test/Explorer Mode/VS Modeでの実行が可能である。
Photo03: Steel Nomad Lightはベンチマーク一覧から。
Photo04: ちなみにSteel Nomad Light Unlimitedモードはここの一覧には出てこない。
Photo05: "ADD URL"とか"Browse File"はVSモードで利用する。
Stress Testは連続してベンチマークを実行させることでGPUにストレスを掛けるテストで、単体での起動というよりは温度変化とか消費電力測定などで多く利用されるかと思う。勿論GPUそのものがちゃんと連続動作に耐えるかの確認が本来の目的である。Explorer Mode(Photo06)では自由に視点を変えたり、描画オプションを変更して、Steel Nomadの世界をウォークスルーできる。ちなみに上にふれたイースターエッグとかReferenceは、このExplorer Modeで確認可能である。VS Modeというのは、例えばネットワーク経由で2つのマシンで同時にSteel Nomad/Steel Nomad Lightを実行したり、あるいは過去に取ったデータを読み込ませることで、現在のマシンと参照するマシンでの性能を比較できるというものだ。またCustom Runの設定も当然用意される(Photo07)し、Image quality toolも用意されているが、この辺りは従来のベンチマークと変わらない。
Photo06: これはUL Benchmarksから提供された説明用ビデオからのキャプチャ。
Photo07: といっても解像度の変更が有効になる程度で、ほぼDetailsの場合と変わらないが。
ちなみにSteel Nomad Lightの方も設定そのものは変わらない(Photo08)。Unlimited Modeも同じだが、こちらは細かい設定は一切なく、実行するだけである。ちなみに説明によれば、Steel Nomad Light Unlimitedは、AndroidやiOSデバイスとの性能比較のために用意された、Offscreen Renderingを行うモードなので、PC環境での比較には適さないとの事だった。またベンチマーク実行後に表示される結果(Photo09)はこれまでの3DMarkの各種ベンチと共通である。
Photo08: "Show Unlimited Mode Test"をクリックすると、ここからUnlimitedの実行が可能である。
Photo09: 現時点ではEstimated game performanceは未表示である。この辺はリリース時には改善されていると思われる。
●Steel NomadとSteel Nomad Lightを実際にテストしてみる
ベンチマーク結果
ということで実際にSteel NomadとSteel Nomad Lightを動かしてみた。ただこれ単体で動かしても判りにくいので、既存の3DMark系ベンチマークも同時に行ってみた。今回のテスト環境は表1の通りで、
Ryzen 7 7800X3D+X670(ASUS Prime X670E PRO-WIFI)
Core i9-13900K+Z690(ASUS Prime Z690-A)
という2つのCPU環境と
Radeon RX 6600(ASRoCK RadeonRX 6600 Challenger D 8GB)
GeForce RTX 3060(ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC)
の2種類のGPUを順列組み合わせで実施してみた。まぁ性能比較そのものが目的ではないので、傾向だけ判れば良いかという判断である。
まずグラフ1が3DMark Scoreをまとめたものである。NightRaidで差が出るのは主にCPU性能であるが、それ以外はRadeon RX 6600とGeForce RTX 3060の素の性能差というべきか。まぁローエンドのGPUだからこんなもんだろう。肝心のSteel Nomadであるが、Steel Nomadそのものは激重というか、Ray Tracingを使っていないのにSpeed Wayよりもスコアが悪い。理由の一つは解像度が4Kだから、という事もあるだろう。逆にSteel Nomad Lightの方はいきなりスコアが跳ね上がっているのが判る。こちらは解像度が2.5Kに落とされている他にも色々違いがある(説明には"removing or reducing the most demanding graphical techniques used in Steel Nomad."とあるが、具体的にどんなテクニックを省いたのかに関しての説明はない)関係で、軽めとは言えないもののかなり負荷が減った事は間違いない。
グラフ1
グラフ2はGraphics Testの結果をまとめたものだ。NightRaidでの性能差が無くなった以外はおおむね同じ傾向だが、このGraphics Testは基本フレームレートに係数を掛けてるだけであり、Steel NomadとSteel Nomad Lightはどちらも係数は100倍である。要するにフレームレートの差が4倍位ある、ということになる。
グラフ2
グラフ3が実際のフレームレートである。Steel Nomadは明らかにSpeed Wayよりも重い。FireStrike UltraのTest 2と同程度以上の激重である。一方Steel Nomad LightはTimeSpyよりも軽く、FireStrikeよりも重い程度。もう最近FireStrikeは負荷が軽すぎてあまり比較に使えない(DX12未対応なのも痛い)ので、その意味では軽めのテストの基準としては手頃かもしれない。ただPhoto01にもあるが、Ray Tracingを使わない、やや重めのゲームが存在しないのが比較基準としてはちょっと使いにくいところである。
グラフ1
ということで
今後はFireStrikeとかNight Raid、TimeSpyは引退させて、Steel NomadやSolar Bay、Speed Wayあたりをメインにするのが良いかもしれない(Port Royalはちょっと微妙)。ただ、Steel NomadとSteel Nomad Lightの間を埋める何かが早急に欲しいところではある。
米UL Benchmarksは米国時間の5月21日、同社の3DMarkに新しく3DMark SteelNomadを追加する。これに先駆け、Press向けPreviewを試用する機会に恵まれたので、ご紹介したいと思う。
Positioning
3DMarkはこれまでもたびたびベンチマークを追加してきており、もうかなりの量になる。中には廃止というか、まだ残っており利用も可能だが、ベンチマークとして使う事が非推奨扱いになったもの(Ice Storm/Cloud Gate/Sky Diver)もある。現状普通に利用できるものとしては
Port Royal
Solar Bay
Time Spy
Fire Strike
Wild Life
Night Raid
があり、これ以外にCPU ProfileとStorage Benchmark、それと特定機能を確認できるFeature Testsとして
DirectX Raytracing feature test
Mesh Shader feature test
PCI Express feature test
Sample Feedback feature test
VRS feature test
AMD FSR feature test
Intel XeSS feature test
NVIDIA DLSS feature test
が用意されている。今回はここにSteel NomadとSteel Nomad Light、それとSteel Nomad Light Unlimitedが追加された格好だ。ここまで機能が増えれば当然容量もデカくなる。ダウンロードサイズで言えば、v1.00が969MBに過ぎなかったのに、今回のバージョン(v2.29.8242)では10.1GBに達している。ダウンロードには相応の時間を要するだろう。
さてそんなSteel Nomadであるが、UL Benchmarksにおける位置づけはこんな感じ(Photo01)。現在UL Benchmarkは自身の提供するベンチマークのクロスプラットフォーム化を進めており、Steel NomadはRay Tracingを使わない「比較的重めのゲーム〜それほど重くないゲーム」のカテゴリに利用する事を想定している。実際Steel NomadもレンダリングAPIにDirectX 12の他にVulkanも利用可能になっており、こちらでの比較も可能である。今回は一応比較を行ったが、それそろFire StrikeとかNight Raid、Time Spyなどは利用せずに、Speed WayやSteel Nomad、Solar Bay、Wild Life Extremeなどを中心にベンチマークを行ってほしい、という事かと思われる。
Photo01: ただ現状Steel NomadとSteel Nomad Lightの負荷が極端に異なるのが問題な気はする。詳しくはベンチマークで。
Steel Nomadの動作環境としては
OS : 64bitのWindows 11 or Windows 10(Version 21H2以降)
CPU : 1.8GHz駆動のDual Core以上、SSSE3サポートがあること
Memory : 8GB以上
GPU : DirectX 12 feature level 12.0に対応し、Shader model 6.0をサポートしている事
GPU Memory : Steel Nomadは6GB以上、Steel Nomad Lightは4GB以上
Storage : 1.5GB
であり、今回(スコアはともかくとして)Core i9-13900Kの内蔵GPUでも動作した。基本DirectX 12が動作するGPUならばSteel Nomadは利用できると考えて良いだろう。
使い方
Steel Nomadは単体で提供されるわけではないので、最新版の3DMarkを入手する事で利用できる。
余談であるが、今年は3DMarkがリリースされて25年になる。FutureMark時代のFinal Realityが1997年のリリースだが、これに続きMadOnion時代の1998年に3DMark99をリリースしており、ここから数えると25年になる計算だ。それもあってか、最新版の3DMarkにはイースターエッグとかReferenceが幾つか隠されているらしい。この辺は入手後に、確認していただければと思う(Photo02)。
Photo02: Press Review版だからだろうか? Splash Screenにスタッフ一覧が。最後にはOfficedogまで。
話を最新版の3DMarkに戻すが、まず、起動するとSteel Nomadが一番左上手前に出てくるので、ここで"RUN"を押せばすぐスタートする(Photo03)。もう少し細かい設定を行いたければ、ベンチマーク一覧(Photo04)からSteel Nomadを選ぶ(Photo05)事で、APIの変更とか複数GPU搭載時の切り替え、あるいはStress Test/Explorer Mode/VS Modeでの実行が可能である。
Photo03: Steel Nomad Lightはベンチマーク一覧から。
Photo04: ちなみにSteel Nomad Light Unlimitedモードはここの一覧には出てこない。
Photo05: "ADD URL"とか"Browse File"はVSモードで利用する。
Stress Testは連続してベンチマークを実行させることでGPUにストレスを掛けるテストで、単体での起動というよりは温度変化とか消費電力測定などで多く利用されるかと思う。勿論GPUそのものがちゃんと連続動作に耐えるかの確認が本来の目的である。Explorer Mode(Photo06)では自由に視点を変えたり、描画オプションを変更して、Steel Nomadの世界をウォークスルーできる。ちなみに上にふれたイースターエッグとかReferenceは、このExplorer Modeで確認可能である。VS Modeというのは、例えばネットワーク経由で2つのマシンで同時にSteel Nomad/Steel Nomad Lightを実行したり、あるいは過去に取ったデータを読み込ませることで、現在のマシンと参照するマシンでの性能を比較できるというものだ。またCustom Runの設定も当然用意される(Photo07)し、Image quality toolも用意されているが、この辺りは従来のベンチマークと変わらない。
Photo06: これはUL Benchmarksから提供された説明用ビデオからのキャプチャ。
Photo07: といっても解像度の変更が有効になる程度で、ほぼDetailsの場合と変わらないが。
ちなみにSteel Nomad Lightの方も設定そのものは変わらない(Photo08)。Unlimited Modeも同じだが、こちらは細かい設定は一切なく、実行するだけである。ちなみに説明によれば、Steel Nomad Light Unlimitedは、AndroidやiOSデバイスとの性能比較のために用意された、Offscreen Renderingを行うモードなので、PC環境での比較には適さないとの事だった。またベンチマーク実行後に表示される結果(Photo09)はこれまでの3DMarkの各種ベンチと共通である。
Photo08: "Show Unlimited Mode Test"をクリックすると、ここからUnlimitedの実行が可能である。
Photo09: 現時点ではEstimated game performanceは未表示である。この辺はリリース時には改善されていると思われる。
●Steel NomadとSteel Nomad Lightを実際にテストしてみる
ベンチマーク結果
ということで実際にSteel NomadとSteel Nomad Lightを動かしてみた。ただこれ単体で動かしても判りにくいので、既存の3DMark系ベンチマークも同時に行ってみた。今回のテスト環境は表1の通りで、
Ryzen 7 7800X3D+X670(ASUS Prime X670E PRO-WIFI)
Core i9-13900K+Z690(ASUS Prime Z690-A)
という2つのCPU環境と
Radeon RX 6600(ASRoCK RadeonRX 6600 Challenger D 8GB)
GeForce RTX 3060(ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC)
の2種類のGPUを順列組み合わせで実施してみた。まぁ性能比較そのものが目的ではないので、傾向だけ判れば良いかという判断である。
まずグラフ1が3DMark Scoreをまとめたものである。NightRaidで差が出るのは主にCPU性能であるが、それ以外はRadeon RX 6600とGeForce RTX 3060の素の性能差というべきか。まぁローエンドのGPUだからこんなもんだろう。肝心のSteel Nomadであるが、Steel Nomadそのものは激重というか、Ray Tracingを使っていないのにSpeed Wayよりもスコアが悪い。理由の一つは解像度が4Kだから、という事もあるだろう。逆にSteel Nomad Lightの方はいきなりスコアが跳ね上がっているのが判る。こちらは解像度が2.5Kに落とされている他にも色々違いがある(説明には"removing or reducing the most demanding graphical techniques used in Steel Nomad."とあるが、具体的にどんなテクニックを省いたのかに関しての説明はない)関係で、軽めとは言えないもののかなり負荷が減った事は間違いない。
グラフ1
グラフ2はGraphics Testの結果をまとめたものだ。NightRaidでの性能差が無くなった以外はおおむね同じ傾向だが、このGraphics Testは基本フレームレートに係数を掛けてるだけであり、Steel NomadとSteel Nomad Lightはどちらも係数は100倍である。要するにフレームレートの差が4倍位ある、ということになる。
グラフ2
グラフ3が実際のフレームレートである。Steel Nomadは明らかにSpeed Wayよりも重い。FireStrike UltraのTest 2と同程度以上の激重である。一方Steel Nomad LightはTimeSpyよりも軽く、FireStrikeよりも重い程度。もう最近FireStrikeは負荷が軽すぎてあまり比較に使えない(DX12未対応なのも痛い)ので、その意味では軽めのテストの基準としては手頃かもしれない。ただPhoto01にもあるが、Ray Tracingを使わない、やや重めのゲームが存在しないのが比較基準としてはちょっと使いにくいところである。
グラフ1
ということで
今後はFireStrikeとかNight Raid、TimeSpyは引退させて、Steel NomadやSolar Bay、Speed Wayあたりをメインにするのが良いかもしれない(Port Royalはちょっと微妙)。ただ、Steel NomadとSteel Nomad Lightの間を埋める何かが早急に欲しいところではある。