少子化対策はいいけど“効果を国民に知らせる”のが絶対条件では?
2月27日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、加藤鮎子大臣が発表した少子化対策の試算について意見を交わした。
高齢者に偏った社会保障の仕組みを見直して若い世帯へ!
加藤鮎子大臣は衆院予算委員会で、少子化対策の財源に充てる支援金制度を巡り、児童手当の拡充や妊娠・出産時の10万円給付などにより、子ども1人当たりの給付拡充額が「平均で約146万円になる」と明らかにした。
支援金制度は、企業や個人が支払う公的医療保険に上乗せして徴収する仕組みで、加藤大臣は「年間の給付総額を対象となる子どもの数で割って算出した。子育て世帯にとっては、拠出額を上回る確かな支援拡充になる」と強調した。
政府は少子化対策の財源に充てる支援金制度を巡り、一人当たりの負担額が平均で2026年度は月300円弱、2027年度は月400円弱、2028年度は月500円弱になると試算を示してる。
「この加藤大臣の主張、田中さんはどう受け止めますか?」(寺島アナ)
「こういった政府側の負担増になる試算は、毎回過少計算になりやすいのはどんな国民も分かっていることだと思います。負担額が10倍とかになったらかなり重たいですけど、まだ2倍3倍であればこれから稼ぐ人たちの賃金上昇や年収アップでまかなえる範囲で許容できるかなと。むしろ若い人たちへの支援を厚くするのは、経済を安定的にまわしていく上ではありだと思ってます」(田中氏)
田中氏は、若者に向けた社会保障を厚くすることに意味があると指摘。
「これまでの日本の社会保障は、年金など高齢者向けに大きくお金がまわっちゃっているわけですから、それを若い人たちの方にまわすのは重要であると思います。それならば月の負担額が2~3倍になっても困らないように日本経済全体を安定化させていく、こういった計算も多少はありかと思います」(田中氏)
「“恒常的に賃金がアップしていけば”ってことですよね」(寺島アナ)
「今くらいの賃金アップ率が毎年続けば、無理なく吸収できると思うんですよ。“稼いでない人にお金出せ”って話じゃないですから」(田中氏)
支援金の使い道は「児童手当や育児休業給付を拡充」「親の就労に関係なく保育を利用できる『こども誰でも通園制度』創設」「妊産婦に計10万円相当を給付」「子どもが1歳になるまで自営業者らの国民年金保険料を免除」に限定した。
「岸田政権が掲げる“異次元の少子化対策”ですけど、改めて田中さんどうお感じですか?」(寺島アナ)
「本当に少子化対策に効果があるのか?ってのは、やってみないと分からないところですが、今のあまりにも高齢者に偏っている社会保障の仕組みを見直す点では良いと思います。ですが、効果を国民にちゃんと知らせないといけないと思うんです。異次元じゃなくても今までに少子化対策を何度もやってますが、政府はその効果があったかどうか全然示さないんです。だから我々も渋っちゃうんですよ」(田中氏)
「検証しないと、“どうせこれ、あまり効いてないんじゃないの?”って思っちゃいますよね」(寺島アナ)
「“負担だけ増えるんじゃないか?”という不満があるので、効果を示すのが絶対条件ですよ」(田中氏)
「これまで示してこなかったのは、あまり効果が芳しくなかったんですかね?」(寺島アナ)
「無かったんでしょうね。一番効果があったのは、景気が良くなって安倍政権下で出生率の減少に歯止めがかかったと。厳密にいえば、それ以前の民主党政権の後期から少子化対策をある程度やったので歯止めはかかったんですけど、目に見えて増える形になってないわけですよ。民主党政権の時は今回のような少子化対策、安倍政権は景気を良くして失業率を改善しましたた。それでも少子化にあまり改善が見られなかったので、今回もどこまで効き目があるのか? ということですよね」(田中氏)