MicrosoftがIntelに依頼したカスタム版プロセッサーはエッジ版Copilotの布石か - 阿久津良和のWindows Weekly Report
Windows Insider、ここのところベータおよびRelease Previewチャネルの更新が活発だ。前者は現地時間2024年2月9日にビルド226335、16日にビルド22631、後者は現地時間17日にビルド22635をWindows Insider Program参加者に配信している。Windows 11 バージョン24H2の気配を感じる動向だが、今週の注目は現地時間2024年2月21日にIntelが行った発表だ。
Intelが提示したロードマップ
次世代の半導体製造部門となるIntel Foundryが、Intel 14Aを2025年以降に実現するといった内容だが、注目すべきはMicrosoftとの関係。Microsoftは2024年中に登場するIntel 18Aの自社カスタム版をIntelに依頼したという。Microsoft Chairman and CEOのSatya Nadella氏は「我々はすべての組織と業界全体の生産性を根本的に変えるプラットフォームシフトの中にいる。このビジョンを達成するためには、高性能で高品質な最先端の半導体を安定的に供給しなければならない」と、Intelのプレスリリースにコメントを寄せている。
筆者は半導体周りを語るほど精通していないが、Intelが外部から半導体製造を請け負う事業を「Intel Foundry(インテル・ファウンドリー)」に改称し、製造工程もリブランディングした形となる。他方でMicrosoftはMicrosoft Azureの大規模言語モデルトレーニングおよび推論強化のため、自社製プロセッサーのCobalt 100とMaria 100をIgnite 2023で発表しているが、いずれもビジネス用途。これに対して、MicrosoftオリジナルのIntel 18Aはおそらく消費者向けPCに用いられるだろう。過去にも何度か取り上げてきた「AI PC」を実現するための重要なパーツと思われる。
MicrosoftのCobalt 100とMaria 100
AI PCは、AI処理をエッジ(ローカル)側で実行するPCデザインだ。ワークステーションPCではなく、一般的なPCでの処理実現を可能とする、Intelが提唱した概念である。すでにIntel Core UltraでNPU(Neural Processing Unit)を実現しているが、2024年3月に発表される予定の新Surfaceシリーズで搭載するのは、製造期間の問題からMicrosoftオリジナルのIntel 18Aではなく、おそらくIntel Core Ultraだろう。
Microsoftはあらゆる製品とサービスでMicrosoft Copilotを展開している。消費者向けでは無償版のWindows in Copilotと有償版のCopilot Pro、ビジネス向けではMicrosoft Copilot for Microsoft 365などが利用可能だ。確かにAIチャットから得られる情報は有益で、Microsoft 365 Apps(特にMicrosoft Word)経由の利便性も高い。
PCがNPU対応プロセッサーを搭載しても、それを活用する機能が欠かせないのは当然の話。Copilotシリーズが利用するのか、それともエッジ用Copilotが登場するのか見当もつかないが、当然Microsoftは何らかの施策を講じてくるだろう。
現段階でプレビュー版のWindows in Copilotは、Windows 11 Insider Preview ビルド26058でサポートするWindowsの設定変更や操作に対応している(公式ブログ)。Windowsの操作をAIで完結できるのは便利そうだが、非業務の観点では「知りたい情報を得られる」「煩雑な操作を介さずに事務処理などを完了」させたほうが本当の有益性を示せるはずだ。いずれにせよ我々が判断するにはMicrosoftの公式発表が待たれるところ。2024年3月予定の発表会が楽しみだ。
著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら
次世代の半導体製造部門となるIntel Foundryが、Intel 14Aを2025年以降に実現するといった内容だが、注目すべきはMicrosoftとの関係。Microsoftは2024年中に登場するIntel 18Aの自社カスタム版をIntelに依頼したという。Microsoft Chairman and CEOのSatya Nadella氏は「我々はすべての組織と業界全体の生産性を根本的に変えるプラットフォームシフトの中にいる。このビジョンを達成するためには、高性能で高品質な最先端の半導体を安定的に供給しなければならない」と、Intelのプレスリリースにコメントを寄せている。
筆者は半導体周りを語るほど精通していないが、Intelが外部から半導体製造を請け負う事業を「Intel Foundry(インテル・ファウンドリー)」に改称し、製造工程もリブランディングした形となる。他方でMicrosoftはMicrosoft Azureの大規模言語モデルトレーニングおよび推論強化のため、自社製プロセッサーのCobalt 100とMaria 100をIgnite 2023で発表しているが、いずれもビジネス用途。これに対して、MicrosoftオリジナルのIntel 18Aはおそらく消費者向けPCに用いられるだろう。過去にも何度か取り上げてきた「AI PC」を実現するための重要なパーツと思われる。
MicrosoftのCobalt 100とMaria 100
AI PCは、AI処理をエッジ(ローカル)側で実行するPCデザインだ。ワークステーションPCではなく、一般的なPCでの処理実現を可能とする、Intelが提唱した概念である。すでにIntel Core UltraでNPU(Neural Processing Unit)を実現しているが、2024年3月に発表される予定の新Surfaceシリーズで搭載するのは、製造期間の問題からMicrosoftオリジナルのIntel 18Aではなく、おそらくIntel Core Ultraだろう。
Microsoftはあらゆる製品とサービスでMicrosoft Copilotを展開している。消費者向けでは無償版のWindows in Copilotと有償版のCopilot Pro、ビジネス向けではMicrosoft Copilot for Microsoft 365などが利用可能だ。確かにAIチャットから得られる情報は有益で、Microsoft 365 Apps(特にMicrosoft Word)経由の利便性も高い。
PCがNPU対応プロセッサーを搭載しても、それを活用する機能が欠かせないのは当然の話。Copilotシリーズが利用するのか、それともエッジ用Copilotが登場するのか見当もつかないが、当然Microsoftは何らかの施策を講じてくるだろう。
現段階でプレビュー版のWindows in Copilotは、Windows 11 Insider Preview ビルド26058でサポートするWindowsの設定変更や操作に対応している(公式ブログ)。Windowsの操作をAIで完結できるのは便利そうだが、非業務の観点では「知りたい情報を得られる」「煩雑な操作を介さずに事務処理などを完了」させたほうが本当の有益性を示せるはずだ。いずれにせよ我々が判断するにはMicrosoftの公式発表が待たれるところ。2024年3月予定の発表会が楽しみだ。
著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。 この著者の記事一覧はこちら