独自の地位を持つYOGA/LEGIONで成長機会を狙う

レノボ・ジャパンは2023年12月6日、Lenovo Legion および Yoga コンシューマ製品発表会を開催し、Yoga Book 9i Gen 8/Legion Goの二製品を発表しました。価格はYoga Book 9i Gen 8が382,800円前後より、Legion Goが134,800円前後よりで、どちらも12月8日に発売されます。

詳しいスペックは別記事を見て欲しいのですが、従来MultimodeだったYOGAシリーズはデュアルELディスプレイでさらに使い方を広げるMultimode+へ進化。そして日本でも一部のメーカーが販売していたハンドヘルドPCゲーム製品の発売となります。

Lenovo Yoga Book 9i Gen8。ThinkPad X1 Foldとは異なり二画面構成です。下の物理キーボードとペンも付属

ラップトップモードでも二画面として使えるほか、下をタッチキーボードとしても利用可能です

平たくした状態でソフトキーボードを表示させてみました

ラップトップモードで物理キーボードを乗せたところ。奥にキーボードを配置すると自動的にタッチパッドが表示されます

Lenovo LEGION Go。どこでもPCゲーム環境を持ち出せるハンドヘルドタイプの製品はいくつか販売されていますが、その中でも一つ抜き出た力量が感じられます

キックスタンドが付いているので、このように立てることもできます。ゲームは専用ユーティリティからも起動できます

実際にゲームを行っているところ。画面も広く輝度も十分です(Xbox Game Pass)

自室に帰り、外部ディスプレイとキーボード、マウスを接続すれば普通に遊べます(Xbox Game Pass)

コントローラーは外せるだけでなく、付属のベースに差し込んでマウスのように使うFPSモードもあります

各社SDG's対応で梱包材もプラスチックを排する傾向にあります。「最近になって段ボールパッケージの手提げパーツを脱プラスチックにした(櫛田氏談)」

Yoga Book 9i Gen8の分解状態。下のディスプレイパーツが両面テープで固定されているので分解難易度は高めです。SSDも一般的な2280ではないのも厳しい

Legion Goの分解状態。この大きさで定格25Wを冷やすということで、フルパワー時はかなりの風量が感じられました。小型機なのでこちらもSSDが小さめです

発表会は冒頭コンシューマー事業部 営業戦略部 本部長の柳沼綾氏が、コンシューマーPCの現状と将来を紹介。レノボのコンシューマーパソコンとしては2008年にIDEAPADで市場に参入し、その後ノート、タブレット、テント、スタンドの4つのモードを備えたYOGAを2012年に投入と紹介しました。YOGAブランドは独自の地位を確立しています。

その後2017年にゲーミングパソコンのLEGIONを投入、こちらも高いコスパに加え日本独自の施策としてゲーミニケーションを提唱した社会人向けのeスポーツ部の設立と他社の設立支援、と若年層だけに留まらない施策や、サブスクリプション等でゲームの愉しさを伝える活動を行っています。

コンシューマー事業部 営業戦略部 本部長の柳沼綾氏


現在コンシューマーは三ブランド。なぜか右から登場順

前社長が力を入れていたのがLEGIONのプロモーション。TGSでプレイヤーとして参加した事もありました

これからの新しいパソコンに求められる機能としてAI、フォームファクターとエコシステムを挙げました。いうまでもなくAIはここ数年のホットワードで、今年になって生成AIが社会現象となっています。レノボは従来クライアント内にAI機能を搭載していましたが、今後はクラウドと一体となったAIを開発しているそう。(差別化要素のある)YOGAやLEGIONを成長機会にしたいと期待を込めていました。

という事で、今回新しい体験を実現するYoga Book 9i gen8/Legion Goをリリース。Yoga Book 9i Gen8はCES 2023で52のアワード、Legion GoはIFA 2023で32のアワードを取得した製品という事で、日本ではやや遅れた投入となりますが柳沼氏は「特殊な部材に対応するのに時間がかかった」と回答していました。

満を持して(?)日本市場にYoga Book 9i Gen8とLEGION Goが投入されます

二画面でMultimode+に進化したYoga Book 9i Gen8

製品そのものの説明はコンシューマー製品事業部 部長の櫛田弘之氏が行いました。

Yoga Book 9i Gen8には「The Book of Limitless Possibilities」と無限の可能性をキーワードとしており、中心となるディスプレイは13.3インチ。2,880×1,800の解像度を持つ有機ELをデュアルで採用。またタッチキーボードもあるためゴリラガラスで保護しています。

YOGA Book 9i Gen8を持つコンシューマー製品事業部 部長の櫛田弘之氏


櫛田氏は(2012年に最初のYogaが出た際に)4-in-1として紹介していましたが、新製品は二画面を活用することでスクロール、ブック、ラップトップ、デュアルタブレット、テントと少なくても6つのモードに進化し「さらなる使い方をユーザーが開発して欲しい」と革新性をアピール。

デュアルスクリーンになった事で従来のMultimodeからMultimode+に進化

ジェスチャー関係では3本指タップでタッチパッドが登場、8本指タップでソフトウェアキーボードが出るが、手前にも8本指スワイプで移動し、この場合はタッチパッドがメモ帳代わりにもなります。タッチキーボードは押した感覚に乏しいと言われていますが、「押すとキーボードが凹む」画面アニメーションと振動でキータッチを再現するハプティックスで対応しています。ハードウェアキーボードも付属しており、これも画面の上に置く位置でタッチパッドの位置が変わるとかなりの芸の細かさになっていました。

ThinkPad Foldとは異なり基本は独立二画面ですが、5本指で全画面ブラウズに素早く切り替わったり、ジェスチャーやボタンで上下左右のウィンドウ位置を切り替えるのはなかなか便利そうでした。これらのUIは付属しているYoga Book 9i User Centerで管理可能。

また筆圧感知のペンも付属しており、これを使って簡単にメモを取る。画面キャプチャの一部をメモに移す、手書きのメモをテキスト化するとディスカッションをしながらのメモをあとで清書するにも向いているように思えました。

スピーカーは最近のYogaで採用しているヒンジ内に入れており、今回はDolby AtomsとDolby Visionにも対応します。

サステナビリティに関してはレノボ全体で対応中(先日、Thikpad X1 Foldの説明と共にサステナビリティに関する説明会も行われています)。Yoga Book 9i gen8では天板のアルミニウムが100%リサイクル素材、ACアダプタの外装を90%リサイクルプラスチック、梱包材もすべてFSCマーク付きの素材とそこそこ進んでいるように思えますが、ThinkPadが最近対応している「製品を購入して剥がすだけの(保護)フィルムがコンシューマー製品には残っている」との事。

ちなみにレノボは2021年に「今後5年以内にすべてのPCパッケージを100%リサイクル素材を使う」と目標を設定しています。

外資系PCメーカーはSDG'sアピールはお約束ですが、リサイクル素材を増やしつつあります

製品重量は1.34kgで「劇的に軽い製品ではないが、PCとモバイルディスプレイを持つと考えれば軽いのでは?」と説明していました。

Yoga Book 9i Gen8まとめ。ちなみにカラーはタイダルティールの一色展開です

分離コントローラーはマウス代わりのFPSモードにも

引き続き柳田氏はLegion Goを紹介。「ハンドヘルドとしても(ディスプレイやキーボード類を接続して)パソコンとしても、コンソールとしても使える」と多機能性をアピール。

性能に関してはRyzen Z1 Extremeを搭載していることに加え、ファンの設計を重視して通常でも25Wでの動作、カスタムモードでは30W設定もできると見た目以上の性能があると紹介。通常使用時は25db未満と非常に静かですが、ゲームでフルパワーを出すためのパフォーマンスモードで動作させてみると思ったよりも風量のあるファンを使用しているのがわかります。

LEGION Go。売れてるポータブルコンソール機よりも大きな画面が魅力です

ハンドヘルド、PC、コンソールの一台三役をアピール。CPUはAMDのRyzen Z1 Extremeを採用ですが……

冷却性能が優れている分、性能は他社同等製品を凌駕するようです。通常はTDP25W動作までですが、ツールで30W設定も可能

ディスプレイは8.8インチのWQXGA(2,560×1,600)、500nitt、144Hzとゲーム用としてはかなりの解像度で明るいものです。

左右のコントローラーはかなりのボタンを備えています。これは様々なモードで使う事を想定しており、コントローラーを本体から分離して使用する場合にそのまま握って使えるほか、右側コントローラーを添付するベースに取り付けることで「左手でWASDでの移動、右手はマウス」の操作となるFPSモードとなります。

さらにコントローラーが本体と分離する構造を採用。単に分離して両手で持って使うほか……

右コントローラーを専用ベースに差し込み、モードをFPSモードにするとマウス風に動かしてのオペレーションができます

ジョイスティックもドリフト減少が起こりにくいホール素子を使いタッチパッドも搭載しており、本体だけでもマウス操作ができるのは面白いところ。

ジョイスティックはドリフト減少が起きにくいホール効果センサーを使用している他、右コントローラーにはタッチパッドスペースもあります

ゲームの起動もプリインストールされているLegion Spaceから簡単にゲームにアクセスできます。

ゲームの管理はLegion Spaceで対応

LEGION Goまとめ。単なる小型PCとしてもなかなかの性能ですが、本領を発揮するのはやはりゲームプレイ時でしょうか