【スラムダンク】三井をグレさせず「競技復帰」させるための導きを医師が提言!?
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バスケットボール漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)の中で神奈川県屈指のシューターとして描かれている湘北高校の三井寿は、練習中(高校1年生)に膝の怪我に見舞われ、競技復帰せずに非行に走ることになりました。時間が限られた学生時代に長期離脱を伴う怪我との向き合い方、周囲のサポートの大切さについて、整形外科医の告野英利先生に話を聞きます。※本記事は一部ネタバレを含みます。ここで述べる疾患名などは、SLAM DUNKにおける描写を基に医師が見解を述べているだけであり、作中における事実ではありません。
部活動での怪我と復帰までのアプローチの大切さとは
編集部
三井寿をグレさせることなく競技に復帰させるためには、整形外科医はどういう導きができたでしょうか? 無理して復帰をさせないためにはどういうアプローチが必要でしたか?
告野先生
非常に難しい問題ですね。アマチュアスポーツ選手からプロアスリートまで、スポーツの強度が上がっていけば、それに付随して怪我や故障はつきものです。特に復帰に時間がかかる場合は、精神的にもつらいでしょう。そこで、復帰までのプロセスを可視化し、今できることを焦らず積み上げていく、道のりを適宜伝え、鼓舞するというサポートができたかもしれません。また、無理して復帰させないためには、正しい診断と正しい治療に基づいて、適切な見通しを伝え、そこから外れた場合のリスクをしっかりと伝えておくことが大切だったと思います。なぜ時間をかけてリハビリをするのか、その意味を理解することも助けになると思います。
編集部
精神的にも未熟な学生選手には特に必要そうですね。
告野先生
また、もし医療機関と学校が連携、情報共有を行い、そうした中で顧問の安西先生によるお見舞いなどで「いまでも君のこともチームプランに入れている。見捨てていませんよ」などと声をかけ、サポートをしていたとしたら、三井が道を踏み外さずに済んだ可能性もあったと思います。
編集部
3年生になって復帰した三井寿のパフォーマンスや体の状態に、怪我前と比較して、制限や影響は残っていると考えられますか?
告野先生
再発に対する不安やそれを本能的にかばおうとする反射的な行動などはあってもおかしくはありません。しかし、物語終盤での三井はそれを感じさせないプレーでチームの勝利に貢献しています。安西先生のセリフにも「今の君はもう十分あの頃を越えているよ」とありました。しっかり回復し、怪我前と比較しても悪い影響はないと見て良いでしょう。個人的に、安西先生と三井が無言のガッツポーズで心を通わす場面は良いシーンだと思います。
編集部
三井と同様の怪我に苦しんでいる人などへ、アドバイスやエールを送るメッセージはありますか?
告野先生
怪我をして戦線離脱を余儀なくされる場合、選手は非常に不安な気持ちになると思います。たとえ順調な経過であっても、元の体力や感覚を取り戻すことは簡単ではありません。ましてや、なかなか見通しが立たない場合や経過が長い場合はなおさら。しかし、そのなかでも自分にできることを見つけ、強い気持ちを持ち続けることが最も大切だと思います。悩みがあれば、信頼できる相談相手に相談するも良いですし、怪我や病気の見通しは信頼できる整形外科医やトレーナーに聞いてみると良いでしょう。強い気持ちを持ち続けるということは、言うのは簡単ですが、実際はかなりハードなことだと思います。それでも諦めない気持ちが大切だと思います。つらいときは安西先生の言葉を思い出しましょう。「諦めたら、そこで試合終了ですよ。」と。
編集部まとめ
中学校や高校での部活動はプレーできる期間が限られており、そうした中で治療やリハビリに長期間を要してしまうことが、本人にとって大きな不安、苦痛を伴うことは想像に難しくありません。治療の意味や復帰後の姿を具体的にイメージさせてあげたり、精神的なサポートを行ってあげたりすることは、現実世界においても重要なことだと思います。引用:井上雄彦『SLAMDUNK』新装再編版(集英社)
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