【西武】柘植世那選手インタビュー 登場曲、WANIMAの『りんどう』を胸に「自分は強いぞとは思わず、淡々とやっていきたい」
9月15日放送のライオンズエクスプレスでは、埼玉西武ライオンズの柘植世那選手にインタビューした模様を放送した(インタビューしたのは9月14日)。開幕戦でスタメンマスクを被ったものの、右肘の故障もあり二軍落ちも経験した柘植選手。8月22日の復帰後はスタメン出場8試合で5試合を勝利に導いた(9月14日試合前現在)。ライオンズ投手陣をリードする柘植選手に、今シーズンここまでの振り返りやキャッチャーとしての心構えについて訊いた。
――先週はビジター5連戦のうち3試合でマスクを被って勝利に導きました(5日、西武-オリックス21回戦、8日、日本ハム-西武21回戦、10日、日本ハム-西武23回戦)。どの勝利が一番嬉しかったでしょうか?
柘植「どれというのはないですけど、どの試合も点を取られなかったのでそれが一番嬉しいです」
――5月には右肘を痛めて二軍落ちし、2週間で復帰しました。その1か月後に再び抹消となってしまいましたが、右肘の状態が万全ではなかったのですか?
柘植「いや、そういうわけではないですね。実力で」
――その後約2か月間イースタンリーグで出場していましたが、当時の心境はいかがだったでしょうか?
柘植「やっぱり走攻守全部でレベルが足りていないので、そこは全部レベルアップという意識と、どのピッチャーでもしっかりとリードできるように、どんな展開、どんな調子でも試合を作ることは本当に意識してやっていました」
――全部見直すのは相当大変ですよね?
柘植「そうですね。一個一個見つめなおしてという感じです」
――その2か月間で新たに気づいたことはありますか?
柘植「リード面で本当にいろんな話を聞いた。相手打者の心理だったり、このピッチャーはこのボールを投げた後にこうなりやすいだったりとか。その時々の判断は変わったなというのがあります」
――お話を伺った相手はどなたですか?
柘植「中田(祥多)ファームバッテリーコーチだったり、西口(文也、ファーム監督)さんだったり、いろんな方ですね」
――一軍で経験を積まれている柘植選手でもまだ気づくことがあるんですね?
柘植「一軍にいたら自分では気づけなかったところをファームで気づかせてくれたりとかは全然ある。一軍にいたからとかはあまり関係ないかなと思います」
――むしろ毎日試合に追われて他のことへの考えが流されたことで、新たに気づいたことがあったのですか?
柘植「そうですね」
――逆に変えずに貫いたことはなんですか?
柘植「直感というか、(配球で)自分の『これでいく』というようなものは大切にしました。自分の考えは消さずに、新たなことを頭の中に入れながら、考えながらという感じでやっていました」
――8月22日、2か月振りに一軍昇格を果たした際はどのような気持ちでしたか?
柘植「やっぱりチームに貢献できていませんし、なんとかここから挽回できるようにという思いでプレーするぞという気持ちでやっていました」
――3試合の途中出場を経て、8月25日の西武-日本ハム18回戦でスタメンマスクを被りました。前回ソフトバンク戦で打たれていた(4回7失点)平良海馬投手をリードして勝利に導きましたが、どのようなことに気をつけて配球したのですか?
柘植「平良自身すごく良い球を投げられるので何かの球種に偏りすぎずにいろいろ混ぜながら、前のホークス戦の動画も結構見たりして、同じような傾向にならないようにリードしました」
――我々もなんとなくわかってはいましたが、キャッチャーは1試合にかける準備が本当に膨大なんですね?
柘植「(カード)初戦とかは結構見ますね。自分が被った次の試合はある程度のイメージと、その試合の状況だったり相手打者のその日の反応で判断するんですけど、やっぱり1試合目、カード頭というのはぶっつけでという感じ。そこはしっかりデータを入れてです」
――その準備は睡眠時間を削ってということなのでしょうか?
柘植「いや削っているとまではいかないです(笑)。ある程度頭に入れるくらいで」
――だいたい何時間くらい寝られているんですか?
柘植「僕は8時間くらい寝ないといけないので……。寝ないと持たないのでちゃんと寝ています」
――平良投手とのバッテリーでは3戦全勝です。結果を見た限りでは馬が合うと言えますがどうでしょうか?
柘植「平良がすごいっす(笑)」
――どのピッチャーも素晴らしいとは思いますが、平良投手の球の感触はやはり違いますか?
柘植「痛いですね。指痛いっす」
――でもこちらから見ていて全然わかりませんね。
柘植「試合中はアドレナリンで、終わった後に『痛……』みたいな(笑)」
――痛いのはどこなのですか?
柘植「(人差し指の下部を指しながら)ちょうどこの捕るところなんですけど」
――手のひらとのちょうど付け根、ポケットの部分ですね?
柘植「はい。痛いっすね」
――3週間前に一軍に戻ってこられてから、柘植選手のスタメンマスクの試合は8試合で5勝3敗です。勝っている試合での打率は.313、逆に勝てなかった試合はノーヒットなのですが、とてもわかりやすく分かれていますね?
柘植「(うなだれながら)そうなんですね……。チャンスですごく回ってくるので、チャンスで打たないとチームは勝てないと思う。そこでなんとか打ちたいという思いです」
――ですが8月25日の試合ではチャンスメイクをして、2本のヒットが得点に結びついていますね?
柘植「ああいうこともあります(笑)」
――8月27日の日本ハム戦も敗戦ムード漂う中、途中出場ながら9回に田中正義投手からタイムリーツーベースを放ちました。良いヒットでしたね?
柘植「ああいう打席(途中出場での1打席)は本当に大事です」
――自主トレで中村剛也選手からバッティングのアドバイスをもらったそうですが、改めてどのようなことを教わったか伺えますか?
柘植「しっかりとトップを作って打ちにいくというのが一番ですね」
――トップの位置に入るタイミングについて言われていたそうですね?
柘植「そうですね。シンプルに先に作って、そこからボールを打ちにいくという感じです」
――即答されたということは今もその教えを守っているということですか?
柘植「はい。今もその意識でやっています」
――バッティングを語る時はおおむね苦笑いですね?(笑)
柘植「そうなんですよ(笑)。もっと頑張りたいっす!」
――打席に向かう際の登場曲はWANIMAの『りんどう』、いい歌ですね。
柘植「なにかで聞いて、その時に歌詞に惹きつけられて」
――その歌詞は打席に入る際に切り取られている部分ですね?(『弱いままで強くなれ この想いと引き換えに 目の前の扉をくぐって 生きて生きて生き抜いてやれ 汚れたのはどっち?見上げた星空』)
柘植「はい」
――どこに一番惹かれたのですか?
柘植「『弱いままで強くなれ』というのは(心を)打たれる感じはありますね」
――ご自身の人生に重なるんですか?
柘植「強かったという感じはないので、自分は強いぞとは思わず、淡々とやっていきたいというか」
――キャッチャーは心に波がなく、謙虚な気持ちが大切なんですね?
柘植「そうだと思います。いい時はいいかもしれないですけど、悪い時にガタってくると思うので、常に一定でという感じです」
――最後に文化放送ライオンズナイターをお聴きの方へ一言いただけますか?
柘植「いつも応援ありがとうございます。これからもどんどん活躍できるように頑張っていきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします!」
※インタビュアー:文化放送・斉藤一美アナウンサー