スムージーを毎日飲むのは危険? 健康的に飲む方法を管理栄養士が解説
ヘルシーな印象の強い「スムージー」。毎日、朝食代わりに飲んでいる方も多いのでは無いでしょうか。健康を意識して飲んでいる方が多いであろうスムージーですが、「毎日飲むと危険」という情報も出回っています。一体、スムージーは本当に健康に良いのか。スムージーをどのように飲めば健康効果が得られるのかも気になります。今回は、スムージーを飲むことによる健康への影響について、管理栄養士の成松由佳さんに教えてもらいました。
編集部
「スムージーを毎日飲むと健康に悪い」という情報を聞いたことがあるのですが本当でしょうか?
成松さん
材料や飲み方にもよりますが、よくダイエット法で見かける「食事をスムージーに置き換える」方法はおすすめできませんね。栄養が偏っているので、健康に悪いといえるでしょう。
編集部
スムージーだけですと、どんな栄養が足りないのでしょうか?
成松さん
スムージーだけでは、たんぱく質と脂質が不足します。たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚などの組織や、体の働きを調整するホルモンや抗体を作る大切な栄養素です。たんぱく質が不足すると、筋力の低下や、免疫力など体の働きの低下につながります。また、脂質も体の細胞や、体の働きを整える栄養素です。丈夫な体を作るためには適度に摂取することが必要です。
編集部
反対に、スムージーで摂り過ぎてしまう栄養素はありますか?
成松さん
糖分の摂り過ぎが心配ですね。スムージーには野菜を入れるためヘルシーな印象がありますが、味を調節するために野菜より果物を多く入れる場合もあるでしょう。果物からはビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養がとれますが、食べ過ぎると果糖など、糖分の過剰摂取につながります。果物の摂取量の目安は、1日にみかんなどの小さい果物なら2個、りんごなどの大きい果物なら1個です。普通はなかなかこれ以上食べられませんが、スムージーにすることで簡単に多く摂取できてしまうため、注意が必要です。※参照:農林水産省「実践食育ナビ 食事バランスガイド早分かり」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/division.html
編集部
スムージーを飲むことで得られる健康効果にはどのようなものがありますか?
成松さん
スムージーに使用する食材で異なる部分もありますが、主に考えられている健康効果は「ダイエット」「腸活」「美肌効果」「抗炎症作用」の4点ですね。
編集部
それぞれの効果について詳しく教えてください。まずはダイエットからお願いします。
成松さん
スムージーはカロリーが低いため、摂取カロリーが減り、体重減少につながります。ただし、先述したように食事をスムージーだけにした場合、たんぱく質が不足してしまいます。1日3食のうち1食でもたんぱく質が不足すると、筋肉が減りやすくなることが知られています。健康的にダイエットするなら、スムージーだけでなく、たんぱく質を合わせて摂るようにしたいですね。
編集部
腸活についてはいかがでしょう?
成松さん
食物繊維の多い野菜や果物をスムージーに入れて摂取することで、腸内環境を改善し、便通をよくするのに役立ちます。ただし、スムージーは噛まずに飲み込めてしまいますよね。これが、実は腸活に逆効果なのです。噛むことで胃の運動や消化酵素の分泌が促進され、消化が促進されます。噛まずに飲み込む食事は、かえって胃腸に負担をかけることもあります。スムージーだけでなく、よく噛むものと一緒に食べるのがおすすめです。
編集部
美肌効果についても教えてください。
成松さん
β-カロテンやビタミンC、ビタミンEなどが含まれる野菜や果物を材料にすると、肌を健康に保つのに役立つでしょう。これらの栄養素は抗酸化作用があり、活性酸素によるダメージから肌を守る働きがあります。また、ビタミンCは肌のハリを保つコラーゲンの合成に関わっています。β-カロテンは体内でビタミンAに変わり、肌のターンオーバーを助けてくれます。ただし、ここでもたんぱく質の不足が気になりますね。たんぱく質は肌を作るためにも必要な栄養素です。また、肌の潤いを保つ成分もたんぱく質が分解されたアミノ酸から作られます。美肌を目指すなら、たんぱく質も合わせて摂りましょう。※参照:厚生労働省「e-ヘルスネット 抗酸化物質」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
編集部
最後は抗炎症作用についてお願いします。
成松さん
葉物野菜やにんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜を多く摂取すると、炎症を抑えるのに役立つといわれています。慢性炎症は、生活習慣病や心臓病、認知症などの病気の発症や進行に影響していると考えられています。緑黄色野菜を取り入れたスムージーを飲むことで、病気を予防するのに役立つといえるでしょう。
スムージーを健康的に飲む方法を管理栄養士に聞く おすすめの食材、飲む時間帯を解説編集部
飲む時間帯として一番おすすめなのはいつですか?
成松さん
おすすめは、「昼食と夕食の間に、間食と置き換えて摂ること」です。カロリーの高い間食をスムージーに置き換えて摂取カロリーを減らせるだけでなく、美容や腸活に役立つ栄養も補給できます。活発に動いておりエネルギーを使う時間帯なので、スムージーによる糖分の摂り過ぎの影響も、ほかの時間帯より少ないでしょう。
編集部
食事にスムージーを取り入れる場合、一緒に食べるのは何が良いですか?
成松さん
肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質源を一緒に摂りましょう。噛みごたえがあるものだとさらに良いですね。サラダチキンや大豆バー、魚肉ソーセージなどがおすすめです。
編集部
スムージーにおすすめの食材があれば教えてください。
成松さん
パプリカやかぼちゃ、にんじん、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜が適しています。β-カロテンやビタミンC、ビタミンEが多く含まれています。また、食物繊維やビタミンCの多いキウイやイチゴ、バナナなどの果物も良いですね。さらに、牛乳やヨーグルトを入れるとカルシウムも同時に摂取できます。
編集部
スムージーに向かない組み合わせはありますか?
成松さん
葉物野菜ばかりを組み合わせると、苦みが強くなり飲みにくくなってしまいます。ただし、葉物野菜は食物繊維やビタミン類、カルシウムが多いため、材料としてはおすすめではあります。1種類だけ選んで入れ、ほかの野菜や果物と合わせると良いでしょう。また、フルーツジュースを入れるのも避けていただきたいですね。量が増えて飲みにくくなるだけでなく、糖分の摂り過ぎにもつながります。ジュースではなく、果物を加えましょう。
編集部
スムージーは1日何杯までが良いですか?
成松さん
1日1杯を目安にするのがおすすめです。1日何杯も飲むと、果物からの糖分の摂り過ぎが心配です。また、スムージーの飲み過ぎでほかの食事量が減るのも避けたいところです。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
成松さん
スムージーは決して危険な飲み物ではありません。ただし、飲み方次第で健康に良い影響も悪い影響も与えます。ぜひ賢く取り入れましょう。
編集部まとめ
スムージーはダイエットや美容、腸活などに役立ちますが、飲み方によっては栄養不足で逆効果になる可能性もあることが分かりました。たんぱく質を補う、よく噛めるものと一緒に食べるなど工夫して、上手にスムージーを役立てたいですね。
近くの内科を探す