錆や汚れといったウェザリングが映える!使い込まれたジープを再現【達人のプラモ術<ジープ ウィリスMB>】

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【達人のプラモ術】
イタレリ
「1/4トン 4WDオフロードトラック」
01/04

前回のポルシェに続き今回もカーモデルを製作します。とは言ってもちょっと趣を変えて、軍用のソフトスキン(火器で武装をしていても装甲がなされていない軍用車両のこと)をピックアップしました。そう今回は、1941年にアメリカで作られたU.SジープウイリスMBを製作します! ミリタリーモデルのソフトと言えば1/35がスタンダードスケールなんですが、今回はちょっと珍しい1/24スケールです。(全4回の1回目)

イタレリ
「1/24スケール 1/4トン4WDオフロードトラック」(5800円)
ホビコレ扱い

長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」でもレビューを配信中。

 

■U.SジープウイリスMBとは

ヨーロッパでのドイツ電撃戦で登場した“キューベルワーゲン”の、戦場での走破性や偵察から輸送までマルチにこなす汎用性の高さに注目したアメリカ陸軍が、1940年に、国内の135社の自動車メーカーに「軽量偵察車」の開発を依頼。その中にあってわずか49日で試作車を作り上げたのがアメリカン・バンタム社でした。

しかし同社は規模が小さく大量生産に不安があったため、アメリカ陸軍はフォードとウイリスにも参加を依頼、3社による試作競争が進められました。

そして1941年、ウイリス社のMAを基本に、フォードのフロントデザイン(特徴的な8本のグリル)を組み合わせたものをウイリスMB、フォードGPWとして、それぞれ正式採用されましした。その後、第二次大戦の激化に伴い、1945年までにフォード、ウイリス社併せて、実に64万台が生産されました。

タフで使い勝手に優れたウイリスMBは、陸軍兵の足となり、地形を選ばない偵察任務、兵員や資材の輸送、連絡、戦場での負傷兵を運ぶアンビュランスなどなど、多岐にわたる活躍で連合軍に多大な貢献をした軍用4輪駆動車でした。

戦後になると世界中の自動車メーカーがMB/GPWを参考に亜流モデルを製作。現在の小型4×4の基礎に作り上げました。

MB/GPWは現在でも世界中でマニアの手によりレストアされ、走行可能な車両が数多く現存しています。

 

■キットはイタレリ製

イタリアの老舗の模型メーカーで、カーモデルのみならず幅広いジャンルでスケールモデルを製作販売しています。国内ではタミヤと提携していることもあって、模型店では必ず見ることのできる模型ブランドです。

今回製作するキットは、イタレリがリリースしている「1/4トン4WDオフロードトラック(WILLS JEEPMB 80th ANNIVERTSARY)」にサーフボードが追加されたホビコレ版キットです。

オリジナルのキットは、1941年の量産開始から80周年の節目にあたる2021年発売で、アメリカ陸軍仕様のウイリスMBを忠実に再現したものです。ラダーフレームにリーフスプリングを装備したシャーシに前後アクスルなど、四輪駆動のメカニズムを再現。直列4気筒のエンジンも精密再現されておりボンネットは開閉可能です。また幌を展開した状態のパーツも付属しているのも違った表情を楽しめてポイント高いです。スケールが1/24なので完成後のサイズは138ミリになります。

そして、ホビコレ版のキットでは、1/24スケールのサーフボードが付属しています。

さてなんで軍用車にサーフボードが?となるのですが、終戦後、駐留していた兵隊が休日にクルマにサーフボードを積んで、日本の海岸でサーフィンを楽しんでいたそうで、それが日本にサーフィンが広がるきっかけとなったという話なんですね。

キットは日本のサーフィン文化を運んで来たクルマが出来るというワケです。ミリタリーとサーフィンの意外な接点ではありますが、そう言えばF・コッポラ監督の映画『地獄の黙示録』(1980年日本公開)の劇中でもサーフィンやっているシーンがありましたねぇ(懐かしい)。

 

■Jeepの名称の由来

4×4の代名詞ともいえるジープの名称の由来ですが、諸説あって、当時から人気のあったコミック『ポパイ』に登場した、次元を行き来できるユー・ジン・ザ・ジープというキャラクターから取ったという説や、U.S.ARMY PRESSに連載されていたコミックに登場する兵士の愛犬の名前という説もあります。

 

■キット製作

先にも紹介したように、キットはエンジンをはじめ細部までウイリスMBの特徴的なラダーフレームやエンジンが精密再現されています。とは言うもののパーツ数は少な目で、ビギナーでも作りやすいキットと言えます。

製作はラダーフレーム→足回り→エンジン→外装といった具合で、実車を組んでいるイメージで進めていきます。

カーモデルではフレームやエンジンはそれぞれの製作パートで塗装を進めていく必要がありますが、今回はミリタリーモデルと同様に、組めるところ組んでから塗装する(ミリタリー仕様ではほとんどオリーブドラブで塗装されている)ので、フレーム、足回り、ボディは組み上げて下地塗装として、錆止め色となるオキサイトレッドサーフェイサーで塗装しています。

▲1/24スケールのカーモデルとして見るとパーツランナー2枚と少なめ。シンプルではあるが実車の構造をフルディテールで再現している

▲デカールは負傷兵を運ぶアンビュランスなど豊富に付属する。塗装図もカラーで分かりやすい

▲製作は特徴的なラダーフレームからスタート

▲続けてエンジンを製作

▲少ないパーツで直列4気筒エンジンを再現。補機類もよくできている

▲組み上げたフレームにエンジンンを仮組み状態。エンジン前側は大型のラジエターシュラウドを取り付ける

▲ボディパーツ。そのままだとパーツ裏側の突き出しピン跡が目立つので、丁重に研磨しておくこと

▲ダッシュボード周りはシンプルそのもの。メーターは塗装で再現する必要がある

▲組み上げたボディにエンジンとフレームを仮組み

▲ボンネットと、ウインドフレームは可動できる

▲ウイリスMBの顔ともいえるフロントグリルは別パーツで再現される

▲組み上げた各パーツはオキサイトレッドのサーフェイサーで下地塗装

▲ホビコレ仕様の本キットにスペシャルパーツとして付属しているサーフボード(ロングボード)。ノード固定具も付属。自由に塗装して楽しみたい

■ゴムタイヤは使わない

キットにはプラ製のタイヤに加えてゴム製のタイヤが付属していますが、これは使用しません「ゴム製のタイヤを使った方がリアルに仕上がるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ミリタリーモデルの場合、あまりメリットがありません。ゴムだと塗装ができません…。できなくはないですが、塗料が簡単に剥がれてしまうためオススメできません。ウエザリング塗装もしかりです。またプラ製タイヤの方がトレッドパターンはシャープに再現されているので塗装でリアルに仕上げることができます。

▲左が本キット、右はタミヤ製1/35ウイリスMB。ミリタリーモデルの1/35と比べるとやはり大きいと感じられる

 

■塗装でオリジナル感を楽しむ

今回キットには、サーフボード(ちょっとオールドスタイルのロングボード)が付属しています。車体色はオリーブドラブではなくても良いと思います。ミリタリーテイストなオリーブドラブ塗装も魅力的ではあるのですが、シチュエーションでカラフルなカラーに塗るもアリですね、もちろん使い込んだクルマということで、ガッツリと錆や汚れを再現して…、あとできれば、フィギュアを組み合わせたいですね。いろいろ幅が広げられそうです。

ということで、今回はここまで!

どんなボディカラーなるのかは乞うご期待です!

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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