完成度を極めた「Xperia 5 V」はiPhone 15のライバルになる予感
ソニーがXperia 5シリーズの最新モデル「Xperia 5 V(エクスペリア・ファイブ・マークファイブ)」を発表しました。
Xperia 5シリーズは、片手で操作しやすいスリムなボディにハイエンド機能を搭載していることが特徴。5世代目となる「5 V」もそのコンセプトを継承しつつ、基本性能やカメラ、スピーカーがさらなる進化を遂げています。いち早く実機に触れたインプレッションを交えて紹介します。
■片手で操作しやすいコンパクトボディ
ディスプレイは前モデルと同じ6.1インチの有機EL。リフレッシュレートは最大120Hz。HDRコンテンツを鮮やかな色で楽しめる「リアルタイムHDRドライブ」は、明るい場所でも見やすい画質で表示されるよう進化しているとのこと。
▲サイズは154×68×8.6mmで、重さは182g。スリムなので片手での操作がしやすい
▲右側面に音量ボタン、指紋センサーを兼ねる電源ボタン、さらにカメラボタンを搭載
▲上部にはオーディオジャック
▲底部にはSIM/microSDスロットと、USBケーブルの差し込み口を搭載
カラバリはブラック、プラチナシルバー、ブルーの3色。ソニーによると「今回はZ世代をメインターゲットにしている」とのことですが、上品で落ち着いた光沢と磨りガラスのようなサラサラとして手触りは、幅広い世代に支持されそうです。
▲左からプラチナシルバー、ブルー、ブラック
▲左が前モデルのXperia 5 IVで、右がXperia 5 V。光沢を抑え、シックなフロストガラス調になった
■パフォーマンスと電池持ちも向上
プロセッサーには、上位モデルのXperia 1 Vと同じSnapdragon 8 Gen 2(最大3.18GHz/オクタコア)を採用。RAM(メモリ)は8GBで、ROM(内部ストレージ)は128GBまたは256GB(発売する国・事業者によって異なる)。microSD(最大1TB)でストレージを拡張することもできます。
▲プロセッサーは今季最高峰のSnapdragon 8 Gen
バッテリーは5000mAh。前モデルと同じ容量ですが、新しいプロセッサーとソニーの独自設計によって電池持ちが向上。平均的な使い方で1日使っても約50%残るとのこと。
▲充電時のバッテリーへの負担を軽減し、電池寿命を長くする「いたわり充電」にも対応。オンにしておけば、電池の劣化を3年間抑えられる
内部の熱拡散シートの体積を約40%増加し、ヘビーな使い方にも強くなっているとのこと。ゲームも動画編集もライブ中継も、なんでも来い! という仕様です。
▲ゲームを快適に楽しむための「ゲームエンハンサー」も進化
■新世代センサー搭載のデュアルカメラが3つの画角をカバー
最大の進化ポイントはカメラ。従来モデルは3つのレンズを搭載していましたが、Xperia 5 Vは超広角(1200万画素/16mm)+広角(4800万画素/24mm)の2眼に。広角カメラに「Exmor T for mobile」という新世代のセンサーを採用し、2倍ズーム(48mm)での撮影時には4800万画素の中央の1200万画素を使う仕組み。つまり、広角カメラでは広角(24mm)と望遠(48mm/光学2倍相当)の2つの画角で撮影できる趣向です。
▲前モデルでは3眼だったカメラは2眼に。だが、カメラの存在感は強くなっている
▲フォトダイオードとトランジスタを2層に配置し、それぞれを大きくすることで画質向上が図られた新世代センサーを搭載
▲前モデル比でセンサーサイズが約1.7倍になり、暗い場所での撮影性能も向上。暗い箱に収めたぬいぐるみを撮影した作例。左がXperia 5 IVで、右がXperia 5 V。細部まで鮮明な画質で写るようになった
ポートレート撮影で、一眼カメラで撮ったような美しい “ぼけ” を写せることも魅力。AIやソフトウェアの進化によるもので、被写体と背景の境界線の精度が向上し、人物は明瞭に写しつつ、背景に奥行きが感じられるぼけを演出することができます。
▲従来よりも大きく滑らかなぼけを写すことが可能
撮影には、デジカメライクに設定できる「Photography Pro」アプリを使いますが、最も簡単な「BASIC」モードで「ポートレート」を選択するだけで、この新しいぼけを体験可能。ぼけの度合いも調整できます。
▲従来モデルと同様に、デジカメライクに設定できる「Photography Pro」アプリで撮影する。縦向きでのユーザーインターフェイスにも対応
▲「BASIC」モードで簡単に背景ぼかしを楽しめる。被写体が人物でなくても有効
▲Xperia 1 Vから搭載された、デジタル一眼カメラ「α」譲りの「クリエイティブルック」にも対応
新しい機能として「Video Creator」アプリもプリインストールされています。動画や静止画を選ぶだけで、音楽付きのVlogが自動で編集されるというスグレモノ。Xperia 5 Vで撮った画像は、4K/120fpsで撮った動画を含めて何でも編集でき、別のカメラで撮った素材も取り込めます。クリップの長さは自由に設定でき、フィルターによる色合いの調整も可能。試用機に入っていた画像で実際に作ってみましたが、ソニーらしくかっこいい感じの動画ができました。
▲手軽にVlogを編集できる「Video Creator」は、動画系のSNSのユーザーには重宝しそう
■内蔵スピーカーには新型アンプを搭載
Xperia 5シリーズは音響性能にも定評があります。横向きにした状態でディスプレイの左右にスピーカーを配置し、音が前方に広がる「フルステージステレオスピーカー」を搭載しています。
▲ディスプレイの左右から音が均等に広がるスピーカーを搭載
Xperia 5 Vでは、さらに新しいアンプを搭載し、より高い駆動とノイズ低減を実現。楽器やボーカルの強い音をつぶれることなく再現し、繊細な音もクリアで聴こやすくなっているとのこと。
▲ダイナミックかつクリアな音を生み出す新型アンプを搭載
実際に前モデルのXperia 5 IVと聴き比べさせてもらいましたが、今回の進化は誰にでもすぐにわかる明瞭さに。楽曲によっては、ヘッドフォンを使わなくても、立体的なサウンドに包まれるように感じました。
▲Xperia 1/5シリーズは、新モデルが出るたびにスピーカー性能が進化しているが、今回はアンプが新しくなったため進化の幅が大きく感じられた
なお、ワイヤレスイヤホンで聞く場合は、ハイレゾ音質を楽しめるLDACに対応。一般的な圧縮音源をアップスケールする「DSEE Ulmimate」も搭載。オーディオジャックを備えているので、お気に入りのヘッドフォンで聴くことも可能。高音質をそのまま出力するために、アンプや回路設計、オーディオジャックの内部にまでこだわっているそうです。
■まもなく発表されるスマホのライバルになるかも!?
まだじっくり使ったわけではありませんが、Xperia 5 Vはカメラの進化が著しい印象。細かい設定が要らないBASICモードで夜景もポートレートもきれいに撮れるようなので、iPhoneの好敵手となりそうな印象。スマホで音楽を聴いたり、映画を観たりすることが多い人にも満足度が高い1台になりそうです。
▲端末カラーに合った純正のスタンド付きケースも発売。縦向き、横向きのどちらでも立てられる
>> ソニー「Xperia」
<取材・文/村元正剛(ゴーズ)>
村元正剛|iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、さまざまな雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの編集にも携わっている。
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