「池袋の地に百貨店を残そう」スト決行のそごう・西武労組がデモ行進
大手百貨店「そごう・西武」の売却をめぐって親会社の方針に反発し、ストに踏み切ったそごう・西武労働組合(寺岡泰博中央執行委員長)は8月31日、西武池袋本店周辺を約1時間にわたってデモ行進し、「池袋の地に百貨店を残そう」などとシュプレヒコールを上げた。
労組関係者によると、参加者は約300人。支援をする旧セゾングループのクレディセゾン労組のほか、高島屋、三越伊勢丹、東急、京王など他の百貨店労組も参加したという。全館休業となった本店前でも労組のメンバーがビラを配り、理解を呼びかけた。
●「お客様にはご迷惑をおかけしている」
デモはサンシャイン60前の東池袋中央公園から出発し、池袋西武前の大通りを背に歩き、東口駅前を一巡。炎天下で「西武池袋本店を守ろう」「池袋の地に百貨店を残そう」と繰り返し、声を上げた。
百貨店としては約60年ぶりという異例のストで全館休業となったことについて、地域の人々に対しておわびをするフレーズも。
「今日一日お客様にはご迷惑おかけして心苦しいですが、この先永遠にシャッターが閉まってしまっては元も子もありません。私たちの思いをこのデモ行進で地域のお客様に伝えていきましょう」(寺岡委員長)
●寺岡委員長「大きな力になった」
労組は雇用などへの懸念から、親会社セブン&アイ・ホールディングスが米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に売却する方針に対して反発、交渉を続けていたが、セブンHDは8月31日午前、方針通り9月1日付の売却を臨時取締役会で決議したと報じられている。
「求めてきたことは2つです。一丁目一番地である雇用の継続、事業の継続です。1年半の間、労使の真摯な協議を求めてきました。しかし7月までは株式譲渡がどう行われるか具体的な中身について明らかにされなかった。最後の武器であるストに至りました」(割石健介副委員長)
「西は広島、北は秋田まで。お店が10個あり、組合員がおります。その組合員、私たちの仲間の声をまずは守りたい。ただしそのうえでは弊社が存続できなければ、組合員の声を守れないわけです」
デモ終了後、寺岡委員長は「百貨店各社や池袋の労組からご賛同も力をいただいて、大きな力になった。励みになった。会社にも十分伝わったのではないか」「臨時取締役会での売却決定は時期尚早で残念」と話した。