Apple『MacBook Air(M2 15インチ)』。小型のマック好きが、15インチの大型マックに乗り換えた理由
6年ぶりにパソコンを買い替えた。
僕の新しいバディ(相棒)はMacBook Air(M2 15インチ)。今年6月に発売されたばかりの新型マックである。
○■11インチや12インチのマックブックを使い続けてきたが、15インチにジャンプアップ
テック系にそこまで明るくはないので、スペックについては簡単な紹介で許していただきたいが、MacBook Air(M2 15インチ)最大の特徴は、エアらしい薄くて軽い筐体ながら15インチの大型ディスプレイを採用していること。
また、2022年6月以降のアップル製品に搭載されている、Apple M2チップという新型プロセッサが使われていることだ。
フリーの編集者兼ライター/コラムニストという僕の仕事柄、パソコンをそこまでハードに使うことはないが、メモリだけはデフォルトの8GBから一段上の16GBにカスタムした。
画像や動画をいじったりはしないけど、編集者の仕事は、入稿用の写真やデザインの重たいデータをやり取りすることが多く、メモリだけは少し増強しておいた方がサクサクとこなせるからだ。
ストレージはデフォルトの512GB(SSDストレージ)のまま。
iCloudと外付けハードディスクを併用しており、先代マックも内蔵ストレージは512GBで十分だったから、ここはカスタムしなかった。
僕はストレスなく仕事をするため、マックは5年ペースで買い替えると決めている。でも前のマックはトラブルも少なかったので、丸6年使った。
新しいマックの購入費は、3年間保証のアップルケアも併せて30万円弱。
決して安くはない買い物だけど、ほとんどすべての仕事をマックでこなしている僕にとっては、このタイミングで絶対に必要な経費なのである。
新しい相棒のMacBook Air。色は黒系の“ミッドナイト”を選んだ
これまで使っていたのは、2017年に購入したMacBook(Retina 12インチ)だった。
こいつは当時の現行マックの中で画面サイズが一番小さなモデル。そしてそれ以前は、もっと小さな11インチの2011年版MacBook Airを使っていた。
つまり僕はこれまで、モバイル性に長けたなるべく小さなサイズであるということを、マック選びの優先項目としていたのだ。
フリーランス野郎だから、編集仕事も原稿書きの仕事も、自宅の自室でパソコンに向かっておこなう。
デスクには22インチの外部ディスプレイを据え付けており、家で仕事するときは基本的にマックの画面ではなく、マックに接続した外部ディスプレイの画面を見ながら作業している。
マック本体のディスプレイは、たまに外で仕事をするときのみに使う非常用なので、持ち歩きのストレスがない小型サイズであることの方が重要と考えていたのだ。
左が今回購入したMacBook Air。右はこれまで使っていたMacBook
○■大型ディスプレイのMacBook Airで仕事してみたら、快適至極だった
10年以上にわたって、「マックは小さいほどエラい!」と頑なに信じできたそんな僕が、考えを180度改め、MacBook Airとしては歴代最大となる15インチモデルを選んだのには理由がある。
ここ数年で、僕の生活と仕事のスタイルが少しずつ変化してきたからだ。
6年前、東京・世田谷区に借りてずっと住んでいる家とは別に、山梨県・山中湖村に家を購入し、二つの家を行ったり来たりするようになった。
フリー編集者&物書きという仕事は、パソコンとタブレットさえあればどこでもできるので、僕はマックとiPadを携え、二拠点を移動しながら仕事している。
しかし東京の家とは違い、山梨の家には外部ディスプレイがない。
また、一人娘が成長して親離れをしてきたことや、徐々に編集よりもより身軽にできる物書きの仕事の割合が大きくなってきたことから、僕は昨年から、車中泊による国内一人旅を趣味とするようになった。
一週間、二週間単位で旅に出ると、その間にも当然、仕事をしなければならない。
こうして東京の自宅以外の場所でマックを開く機会が増えるにつれ、小さなサイズの画面での作業が辛く思えてきたのだ。
大型ディスプレイのMyブランニュー・マックを使いはじめて数週間。
あまりに快適で、ちょっと驚いている。
15インチもの大きさがあると、原稿を書くためデスクトップにワードを立ち上げながら、資料のPDFやウェブサイトを開いてもまったく支障はない。
前のマックはデスクトップが狭かったので、アプリケーションウィンドウでいっぱいになったら、サブの仮想デスクトップを作って操作スペースを確保したり、資料画面をいちいち縮めたり移動させたりしなければならなくて煩わしかったのが、15インチの画面なら、すべてのウィンドウを並べたままでも執筆作業ができるのだ。
また難しいことはよくわからないので感覚的な感想だが、Apple M2チップの働きもなかなか。
そこまで劇的な変化ではなく、以前よりもわずかにサクサク動く程度なのだが、ほんの数秒か0.数秒の違いが、ストレスを大幅に軽減させてくれる。
自宅で作業するときは相変わらず22インチ外部ディスプレイに接続しているが、特にややこしい仕事をする際はMacBook Airのディスプレイも開き、デュアルモニタ体制で臨むことにしている。
もちろん、15インチのMacBook Airは嵩張るので、持ち歩きは以前よりも厄介になったが、大画面での作業の快適さの方が大きく勝っているのだ。
仕事机の上。上はMacBook Airを閉じている。下は開いたデュアルモニタ体制
○■アップル一途になったきっかけは、大学のゼミ室にあった歴史的名機
ところで僕は、いわゆる“アップル派”だ。
前にサラリーマンをしていたときは、仕事では会社支給のWindowsマシンを使っていたが、脱サラ独立後はプライベート用のマックを仕事でも使うようになり、Windowsとはすっかり縁を切ってしまった。
アップル好きになったのは、個人的なパソコン原体験によるものだ。
1969年生まれの僕は、高校を卒業する頃までほとんどコンピュータというものに触ったことがなかった。
もちろんそれ以前からすでにパソコンはこの世に存在していたが、まだまだ普及段階に入っておらず、一部のマニアックな人が使う不思議な道具に過ぎなかった。
はじめて本格的にコンピュータに触ったのは、1989年に入学した大学の情報処理の授業。
臨床心理学を学んでいだので、実験データの統計処理などのためにMS-DOSマシンを使わなければならなかったが、Windows95革命前の世界なので、インターフェイスはもちろん、しちめんどくさい文字を打ち込んでいくCUI(キャラクタ・ユーザ・インターフェイス)。
文系人間の僕はどうしてもJavaだのC言語だのといったコマンドとプログラムの世界になじめず、パソコンを好きにはなれなかった。
ところが、3年生になってから所属したゼミのゼミ室には、情報処理室に並んでいるものとはまったく違う、小さくておしゃれなパソコンがあった。
それがマックだったのだ。
いま思い返してみると、ゼミ室にあったのは歴史的名機として名高いMacintosh Classicだったはずだ。
そのマックで具体的に何をやったかというと、ゲームくらいしか記憶になかったりするのだが、とにかく僕は親しみやすいGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェイス)の「マック」に大きな夢を感じ、めちゃくちゃ心惹かれてしまった。
アップル好きになったきっかけのMacintosh Classic。photo:Eric Chan/flickr
就職して最初の年、1993年の夏のボーナスをほとんどはたいて買った僕の最初のパソコンは、Macintosh LC575だった。
その次は、カラフルなスケルトンで二枚貝のような形のボディデザインが賛否両論だったiBook(G3クラムシェル)を1999年に購入。
それ以降も連綿とマックを使い続け、アップル帝国へ貢ぎ続けているわけなのだ。
多分、アップル好き・マック好きはこのまま一生変わらないだろう。
何しろ僕の心には、あのゼミ室にあったMacintosh Classicとの出会いの衝撃が、いまだに燻っている。
それは、鳥のヒナが孵化直後に初めて見た動く存在を追いかける、“刷り込み(インプリンティング)”のようなものなのだ。
文・写真/佐藤誠二朗
佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000〜2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。 この著者の記事一覧はこちら
僕の新しいバディ(相棒)はMacBook Air(M2 15インチ)。今年6月に発売されたばかりの新型マックである。
○■11インチや12インチのマックブックを使い続けてきたが、15インチにジャンプアップ
テック系にそこまで明るくはないので、スペックについては簡単な紹介で許していただきたいが、MacBook Air(M2 15インチ)最大の特徴は、エアらしい薄くて軽い筐体ながら15インチの大型ディスプレイを採用していること。
フリーの編集者兼ライター/コラムニストという僕の仕事柄、パソコンをそこまでハードに使うことはないが、メモリだけはデフォルトの8GBから一段上の16GBにカスタムした。
画像や動画をいじったりはしないけど、編集者の仕事は、入稿用の写真やデザインの重たいデータをやり取りすることが多く、メモリだけは少し増強しておいた方がサクサクとこなせるからだ。
ストレージはデフォルトの512GB(SSDストレージ)のまま。
iCloudと外付けハードディスクを併用しており、先代マックも内蔵ストレージは512GBで十分だったから、ここはカスタムしなかった。
僕はストレスなく仕事をするため、マックは5年ペースで買い替えると決めている。でも前のマックはトラブルも少なかったので、丸6年使った。
新しいマックの購入費は、3年間保証のアップルケアも併せて30万円弱。
決して安くはない買い物だけど、ほとんどすべての仕事をマックでこなしている僕にとっては、このタイミングで絶対に必要な経費なのである。
新しい相棒のMacBook Air。色は黒系の“ミッドナイト”を選んだ
これまで使っていたのは、2017年に購入したMacBook(Retina 12インチ)だった。
こいつは当時の現行マックの中で画面サイズが一番小さなモデル。そしてそれ以前は、もっと小さな11インチの2011年版MacBook Airを使っていた。
つまり僕はこれまで、モバイル性に長けたなるべく小さなサイズであるということを、マック選びの優先項目としていたのだ。
フリーランス野郎だから、編集仕事も原稿書きの仕事も、自宅の自室でパソコンに向かっておこなう。
デスクには22インチの外部ディスプレイを据え付けており、家で仕事するときは基本的にマックの画面ではなく、マックに接続した外部ディスプレイの画面を見ながら作業している。
マック本体のディスプレイは、たまに外で仕事をするときのみに使う非常用なので、持ち歩きのストレスがない小型サイズであることの方が重要と考えていたのだ。
左が今回購入したMacBook Air。右はこれまで使っていたMacBook
○■大型ディスプレイのMacBook Airで仕事してみたら、快適至極だった
10年以上にわたって、「マックは小さいほどエラい!」と頑なに信じできたそんな僕が、考えを180度改め、MacBook Airとしては歴代最大となる15インチモデルを選んだのには理由がある。
ここ数年で、僕の生活と仕事のスタイルが少しずつ変化してきたからだ。
6年前、東京・世田谷区に借りてずっと住んでいる家とは別に、山梨県・山中湖村に家を購入し、二つの家を行ったり来たりするようになった。
フリー編集者&物書きという仕事は、パソコンとタブレットさえあればどこでもできるので、僕はマックとiPadを携え、二拠点を移動しながら仕事している。
しかし東京の家とは違い、山梨の家には外部ディスプレイがない。
また、一人娘が成長して親離れをしてきたことや、徐々に編集よりもより身軽にできる物書きの仕事の割合が大きくなってきたことから、僕は昨年から、車中泊による国内一人旅を趣味とするようになった。
一週間、二週間単位で旅に出ると、その間にも当然、仕事をしなければならない。
こうして東京の自宅以外の場所でマックを開く機会が増えるにつれ、小さなサイズの画面での作業が辛く思えてきたのだ。
大型ディスプレイのMyブランニュー・マックを使いはじめて数週間。
あまりに快適で、ちょっと驚いている。
15インチもの大きさがあると、原稿を書くためデスクトップにワードを立ち上げながら、資料のPDFやウェブサイトを開いてもまったく支障はない。
前のマックはデスクトップが狭かったので、アプリケーションウィンドウでいっぱいになったら、サブの仮想デスクトップを作って操作スペースを確保したり、資料画面をいちいち縮めたり移動させたりしなければならなくて煩わしかったのが、15インチの画面なら、すべてのウィンドウを並べたままでも執筆作業ができるのだ。
また難しいことはよくわからないので感覚的な感想だが、Apple M2チップの働きもなかなか。
そこまで劇的な変化ではなく、以前よりもわずかにサクサク動く程度なのだが、ほんの数秒か0.数秒の違いが、ストレスを大幅に軽減させてくれる。
自宅で作業するときは相変わらず22インチ外部ディスプレイに接続しているが、特にややこしい仕事をする際はMacBook Airのディスプレイも開き、デュアルモニタ体制で臨むことにしている。
もちろん、15インチのMacBook Airは嵩張るので、持ち歩きは以前よりも厄介になったが、大画面での作業の快適さの方が大きく勝っているのだ。
仕事机の上。上はMacBook Airを閉じている。下は開いたデュアルモニタ体制
○■アップル一途になったきっかけは、大学のゼミ室にあった歴史的名機
ところで僕は、いわゆる“アップル派”だ。
前にサラリーマンをしていたときは、仕事では会社支給のWindowsマシンを使っていたが、脱サラ独立後はプライベート用のマックを仕事でも使うようになり、Windowsとはすっかり縁を切ってしまった。
アップル好きになったのは、個人的なパソコン原体験によるものだ。
1969年生まれの僕は、高校を卒業する頃までほとんどコンピュータというものに触ったことがなかった。
もちろんそれ以前からすでにパソコンはこの世に存在していたが、まだまだ普及段階に入っておらず、一部のマニアックな人が使う不思議な道具に過ぎなかった。
はじめて本格的にコンピュータに触ったのは、1989年に入学した大学の情報処理の授業。
臨床心理学を学んでいだので、実験データの統計処理などのためにMS-DOSマシンを使わなければならなかったが、Windows95革命前の世界なので、インターフェイスはもちろん、しちめんどくさい文字を打ち込んでいくCUI(キャラクタ・ユーザ・インターフェイス)。
文系人間の僕はどうしてもJavaだのC言語だのといったコマンドとプログラムの世界になじめず、パソコンを好きにはなれなかった。
ところが、3年生になってから所属したゼミのゼミ室には、情報処理室に並んでいるものとはまったく違う、小さくておしゃれなパソコンがあった。
それがマックだったのだ。
いま思い返してみると、ゼミ室にあったのは歴史的名機として名高いMacintosh Classicだったはずだ。
そのマックで具体的に何をやったかというと、ゲームくらいしか記憶になかったりするのだが、とにかく僕は親しみやすいGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェイス)の「マック」に大きな夢を感じ、めちゃくちゃ心惹かれてしまった。
アップル好きになったきっかけのMacintosh Classic。photo:Eric Chan/flickr
就職して最初の年、1993年の夏のボーナスをほとんどはたいて買った僕の最初のパソコンは、Macintosh LC575だった。
その次は、カラフルなスケルトンで二枚貝のような形のボディデザインが賛否両論だったiBook(G3クラムシェル)を1999年に購入。
それ以降も連綿とマックを使い続け、アップル帝国へ貢ぎ続けているわけなのだ。
多分、アップル好き・マック好きはこのまま一生変わらないだろう。
何しろ僕の心には、あのゼミ室にあったMacintosh Classicとの出会いの衝撃が、いまだに燻っている。
それは、鳥のヒナが孵化直後に初めて見た動く存在を追いかける、“刷り込み(インプリンティング)”のようなものなのだ。
文・写真/佐藤誠二朗
佐藤誠二朗 さとうせいじろう 編集者/ライター、コラムニスト。1969年東京生まれ。雑誌「宝島」「smart」の編集に携わり、2000〜2009年は「smart」編集長。カルチャー、ファッションを中心にしながら、アウトドア、デュアルライフ、時事、エンタメ、旅行、家庭医学に至るまで幅広いジャンルで編集・執筆活動中。著書『ストリート・トラッド〜メンズファッションは温故知新』(集英社 2018)、『日本懐かしスニーカー大全』(辰巳出版 2020)、『オフィシャル・サブカルオヤジ・ハンドブック』(集英社 2021)。ほか編著書多数。 この著者の記事一覧はこちら