“不適切な盛り土”住民の募る不安 広島市
不適切盛り土で問題となっている安佐南区上安町の産業廃棄物処理場…北側奥には安佐動物公園もあるエリアです。今回、この処理場から700m離れた住民を取材、不安な思いと行政の対応に不信感が募っていました。
川村 凌記者「全体が盛り土ですか?」
今中康昭さん(79)「そうですね、全体が谷を埋めてああいう形になっている。勾配がかなりある。大雨が降らないことを祈るだけですね」
今中さんは自宅近くの盛り土を見つめ 危機感をあらわにします。
今中康昭さん「いつ(崩落が)あってもおかしくない。ただ、雨量が少ないからもってるだけで」
盛り土で思い出されるのは2年前、関連死を含め28人の犠牲者を出した静岡県熱海市の土石流災害。違法に造成された盛り土が崩れ、土砂が周辺住宅を飲み込みました。
この災害を受けて広島県は県内で緊急点検を実施。上安町の盛り土などを「不適切な盛り土」と指摘しました。
上空からこのエリアを見ると、谷を下ったところに住宅が建ち並びます。今中さんの自宅も直線距離で約700m。ハザードマップでもこの一帯に土砂災害の恐れがあると表示されています。
今中康昭さん「(土砂が)道路を走ればもっと範囲が広くなる」
事の発端は安佐南区の山の上にある産業廃棄物処理場。この処理場の一部は「不適切な盛り土」の上に拡張されていて県は崩落の危険性を指摘しています。
今中康昭さん「中に水みちができたやつが流れるうちはいい、抜け道があればその水みちが閉鎖された場合には、中に水圧としてかかってそれが大きな圧力になって…」
県はこの不適切な盛り土について、来月下旬から産廃処理場の敷地を含む5カ所でボーリング調査を行うことにしています。この調査で危険性があると判断された場合、広島市は土地の所有者に対策を要請する方針としていますが現在のところ所有者はわかっていません。
広島市・松井市長「仮に所有者が確定しない場合であっても国の支援策などを含めながら行政が対応することを基本にする構えでいる」
もっとはやく対応してほしい。そうした行政の動きに疑問があるとして県や広島市に何度も質問するため足を運んでいます。
今中康昭さん「今のところはとにかく早く時間をおかずにやってほしい。誰も持ち主がわからんというようなことを言っておいて対策ができるんかね、ふつうはできないでしょ」