26日の債券市場で、先物中心限月6月限は反発した。前日の米債安を受けた売りが先行するなか、現物債に対して機関投資家による押し目買い観測があり、切り返す展開だった。

 日銀の植田和男総裁に対する報道各社のインタビューが26日の取引開始前までに伝わった。植田総裁は物価目標を巡り、持続的・安定的な2%の達成には届いていないとの認識を示したほか、拙速な金融引き締めがもたらすマイナスの影響についても言及した。

 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)に関しては、効果と副作用をにらみ、そのバランスに変化があればYCCの修正はあり得る、などと発言したものの、市場では金融緩和環境が長期化するとの見方が広がり、YCC修正に伴う円債相場の下値不安を和らげた。

 総務省が26日発表した5月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI、中旬速報値)は、前年同月比3.2%上昇した。前年比の伸び率が4月の3.5%から鈍化し、物価上昇が継続することへの警戒感を和らげた。これらを受け、利回り上昇(価格は下落)時を狙って債券を組み入れ、運用成績の向上につなげようとする機関投資家の買い意欲が高まった。

 朝方の先物は軟調だった。米国では週間の新規失業保険申請件数が市場予想を下回った。加えて、今年1~3月期の米国の実質国内総生産(GDP)の改定値は市場予想を上回るなど、同国経済の底堅さが意識され、FRBによる利上げ継続への観測が強まった。米国の長期債相場は下落(金利は上昇)し、長期金利の指標となる10年債利回りは3.8%台まで上昇。2カ月ぶり半ぶりの高水準をつけた。米債安の流れを引き継ぐ形で円債市場では先物に売りが先行した。

 先物6月限は前日比9銭高の148円56銭で取引を終えた。現物債市場で、新発10年債利回りは同0.010%低い0.415%で推移している。一時0.455%に上昇する場面があった。


出所:MINKABU PRESS