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 今シーズンのチャンピオンズリーグ準々決勝の顔ぶれをみた時、およそ20年ぶりに3クラブが顔をそろえたセリエA勢の勢いが、とりわけ如実に感じられるものだといえるだろう。だがこれがすなわちイタリアサッカー界に再び良い時代が訪れる予兆かと尋ねられれば、それにイタリア代表ロベルト・マンチーニ監督は首を振る。「イタリアサッカーが生まれ変わっている、ということではないよ」その言葉通りにこれからのチームの主力を務めるイタリア人選手の割合は非常に少なく、「それがむしろ現実というものだ」と58歳の指揮官はコメント。「何かを変えていかなくてはならない」時期に差し掛かっていると危機感を募らせる。

 ユーロ2021では見事優勝を果たすも、その後のワールドカップではまさかの予選敗退。まるでジェットコースターのような浮き沈みを味わってきたイタリア代表では、現在はマンチーニ監督の下でこれまでにない攻撃的サッカーを展開中。そこで特にフィニッシャーとしてのクオリティを求め、大いに期待がかけられているのがマテオ・レテギ。アルゼンチン出身でイタリアにルーツをもつ23歳は、ボカジュニオールから現在はティグレにレンタル移籍。そこで8試合で6得点をマークしており、「彼は典型的なセンターフォワードで、イタリアに来た頃のバティストゥータを彷彿とさせるよ」とマンチーニ監督は語る。

 後にアルゼンチンの伝説的ストライカーとなるガブリエル・バティストゥータは、1991年に22歳で母国からイタリアのフィレンツェへと移籍。その点からみてもレテギはまだキャリアを歩み始めたところであり、「欧州のサッカーになれるのに、さほど時間はいらないだろう」と指揮官。さっそく昨日のイングランド代表戦では、現在セリエAで独走するナポリの本拠地で10年ぶりに開催された代表戦で、その勢いと期待に応えて得点を決めたレテギ。最終的には1ー2と黒星スタートとなってしまったが、連覇と再建というイタリア代表の挑戦は今はじまったばかりだ。