この記事をまとめると

■安全装備などは生産ラインでしか装着できない、メーカーオプションとされてきた

■しかしいま、状況が変わりつつある

■トヨタやダイハツのオプションを例に挙げて解説する

かつてのメーカーオプションの定番が後付けできるようになってきている

 完成車の生産ラインでしか装着できない、メカニカルなものがメーカーオプション、フロアマットやドアバイザーなど、納車後もディーラーで気軽に装着できるアクセサリーとも呼べるものがディーラーオプション。それが新車販売業界では定説といっていい状況が長く続いたが、変わろうとしているかもしれない。

 いまクルマ好きの間で話題沸騰なのが新型プリウス。その新型プリウスがKINTO(トヨタの個人向けカーリース)の新しいサービス、KINTO Unlimitedの対象第一号となっているが、このKINTO Unlimited対象のプリウスではブラインドスポットモニター、パノラミックビューモニター、ステアリングヒーターの後付けが可能となっている。

 販売現場で話を聞くと、「KINTO用のプリウスには、あらかじめ配線が施されているので後付けが可能となっていると聞いております」と説明してくれた。もちろん利用者個々で後付けするというわけではなく、KINTO利用者は自分の使っているクルマのメンテナンス窓口として自宅最寄りなどといったトヨタ系正規ディーラーを指定できるので、そこでの作業となるようだ。この流れがKINTOだけでなく、トヨタ系正規ディーラーで販売する車両にも広がっていく可能性は高いのではないかと筆者は考えている。

ダイハツもブラインドスポットモニターの後付けが可能!

 ダイハツではすでに後付け用のブラインドスポットモニターがディーラーオプションとして用意されており、ブラインドスポットモニター(車線死角領域の検知)だけでなく、リヤクロストラフィックアラート(後方接近車両の検知)、ドアオープンワーニング(ドア開閉時の後方検知)といった予防安全機能も備えている。もちろん、ブラインドスポットモニターも標準装備化すればいいのかもしれないが、そこは各メーカーがユーザーニーズをどう捉えているかの違いもあるし、実際そこまでいらないというユーザーも存在するので一概に標準装備化すべきともいえないのが現実である。

 ちなみにディーラーオプションというと、内外装のアクセサリーやオーディオ&カーナビがメインと思いがちだが、実用装備も充実してきている。たとえばダイハツ・タントのアクセサリーカタログを見ていると、ペダル踏み間違いの原因にもなる足の開きを補正する運転席用の安心ドライブサポートクッションや、空調操作パネルの日本語表記ラベル、ランバーサポートクッションなど、軽自動車ユーザーで目立つ高齢ドライバーへ向けたようにも見える実用的な用品も充実していた。

 メーカーオプションとされた装備のディーラーオプション化が進む背景は、もちろん納車後に「つけておけばよかった」と思うユーザー対策という面もあるが、仮にKINTO Unlimitedのようにメーカーオプションだったものの後付けラインアップが拡大すれば、完成車生産時のオプション設定削減になるので生産コストの削減にもつながるだろう。また長い目で見れば、セールスマンとのPCなどを介した対面ではなく、購入希望者の端末入力メインで進んでいくKINTO申し込みのようなオンライン販売の本格普及に備えたものにも筆者には見えている。