被害女性の「痛い」の声まで気づかず…銃扱ったのは30年以上のベテラン “麻酔銃誤発射”なぜ起きた?住民も「サル捕まらず困った」

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8月29日午後、静岡県富士市内で発見されたニホンザルを捕獲するための麻酔銃を誤って発射し、近くにいた女性に当たる事故がありました。銃を扱っていた業者の男性は、30年以上のベテラン。事故はなぜ起きたのでしょうか。

事故が起きたのは、29日午後のことでした。富士市役所にJR富士川駅近くの道路沿いに「サルがいる」と通報があり、市の職員3人と市から委託を受けている業者が現場に駆け付けると一匹のサルを見つけました。そこで業者の男性が準備をしたのは麻酔銃。しかし、ここで思わぬ事態が起きます。

<富士市環境保全課 鈴木宏昌課長>

「エアガンなので空気のガス漏れを気にしてその作業をしていた時に(引き金に)触れてしまった」

男性が誤ってトリガーに触れると銃から体重15kgのサルに効果がある量の麻酔薬が仕込まれた矢が放たれ、近くにいた女性の左肩に刺さったのです。

富士市によりますと、銃を扱っていた男性は捕獲歴30年以上のベテラン。準備は銃口を人に向けた状態で行われ、女性の「痛い」という声を聞くまで誤発射にも気づきませんでした。女性は一時意識を失いましたが、その後、回復し、夜には帰宅したということです。

まさかの事故に、富士市の小長井義正市長は「大変遺憾であり、被害にあわれた方に心からお詫びを申し上げます」とコメントしています。

この事故で困ったのが地元の住民です。

<山本太朗記者>

「麻酔銃の誤射があったとみれられる現場に来ています。住宅街の裏には山があり、富士市によりますと、今年に入り、サルが頻繁に目撃されているということです」

現場周辺では、家庭菜園の野菜が食べられたり、車のバンパーが傷つけられたりしたほか…。

<住民>

「私の娘が学校に行く途中で、サルと出くわして、目が合ってしまって、サルの方が足をひっかいていった」

富士市ではサルを捕まえようと、29日は朝から周辺のパトロールをしていました。

<富士市環境保全課 鈴木宏昌課長>

「サルは、箱罠には入らないので、麻酔銃を使わなざるを得ないので、県の指導を受けながら、できる限り早く再開できるようにしたい」

いったい、サルは捕まえられるのか。まさかの事故もあり、住民の不安は募るばかりです。