解雇規制を緩和しても、若者の雇用環境は改善されない―労働経済学者、安藤至大氏が語る”今後目指すべき働き方” - BLOGOS編集部
※この記事は2012年04月11日にBLOGOSで公開されたものです
現代社会の問題点を改めて提示する新感覚のインタビューシリーズ「SYNODOS×BLOGOS 若者のための『現代社会入門』」。第4回目は労働経済学者の安藤至大氏にご登場いただきました。雇用の世代間格差を解決するための手段として、しばしば「解雇規制の緩和」が挙げられることがあります。これは、過剰に守られている正社員を解雇しやすくすることで、現在非正規の若者に雇用がもたらされるという考えに基づく主張と考えられます。「解雇規制の緩和」は本当に若者に福音をもたらすのでしょうか？安藤氏に聞きました。※本シリーズは、毎月第2水曜日にSYNODOSに寄稿している論者のインタビュー記事を掲載し、その記事への疑問や異論・反論に対する回答記事を第4水曜に掲載するという方式を採用しています。記事へのご意見は、コメントフォームおよび議論ページにお寄せください。締め切りは4月16日（月）正午とさせていただきます。次回の記事掲載日は25日（水）を予定しております。
真っ当な会社は「中高年の高給取り」を簡単にクビにしたいとは思わない
―改善傾向が見られるものの、若者の雇用環境は非常に厳しいといわれています。こうした状況を打破するための方策として「解雇規制の緩和」が挙げられることが多いと思うのですが、安藤先生はこれには疑問を呈されていますね。安藤至大氏（以下、安藤氏）：私は1998年に大学を卒業しました。その頃もいわゆる就職氷河期でした。当初は大卒で就職しようとしていて、就職活動も一通り経験したので、若者が「今の雇用環境が厳しい」と感じる気持ちはよくわかります。
確かに、会社の中には一見すると「あまり仕事ができなさそうなおじさん」がいたりします。そういう高齢の男性社員を見て、「あの人たちは高給取りだけど働いていない」「あの人たちがいなければ自分たちがもっと雇われるのに」という幻想を抱いてしまうのも非常に理解できる話です。
しかし、この問題については、会社の立場からも考える必要があります。会社としては、今勤めている年長者たちを本当にクビにしたいと思っているのでしょうか。「クビにしたいと思っているに違いない」というのは、外から見た勝手な思い込みかもしれません。そこを確認せずに議論しても建設的ではないでしょう。
ある程度以上に真っ当で業績も好調な会社であれば、長期雇用で社員を雇った場合、その人がそれなりに頑張っているにもかかわらず簡単にクビにするようなことはしません。理由はいくつかあります。例えば簡単にクビになるようだと、それを見た、現在安い給料で頑張っている若い正社員は、「自分も後々同じようにクビにされるかもしれない」と考えるはずです。そうなれば、若い人たちはその会社でしか役立たない知識を身につけようとはせず、転職しても使える技能の習得ばかりに取り組むでしょう。そうなると会社の業績が低下してしまいますね。
もちろん、なかには会社に上手く適応できなくて途中からお荷物になってしまう人もいるはずです。昔は優秀な社員だったのに、技術の進歩についていけなくて、「パソコンなんて使い方がよくわからん」という人もいるかもしれません。しかし、それを安易にクビにすることには様々な弊害があり、仮に法律的に解雇が容易になったとしても、安易な解雇は望ましくないと会社も考えているのです。
これに対して、業績の悪い企業は、クビにするかもしれません。しかし、その場合は、人手が余っているから解雇するということなので、新たに若者を雇うとは思えません。
―好調な会社で、仕事ができない中高年の代わりに、若者が雇われる可能性についてはいかがでしょうか。
安藤氏：そもそも中高年層と若者では、期待される仕事の内容が違います。若者が必要ならば、「使えない」中高年がいるかどうかに関係なく、企業は若者を雇うでしょう。大学受験の合格者のように定員が決まっている場合には、限られた席の奪い合いが発生するわけですが、企業には定員がありません。必要ならば雇います。
また本当に「使えない」中高年がいたとしても、現時点での陣容で仕事がこなせているのであれば、中高年をクビにした後には誰も雇いません。だって新たに雇ってしまったら人手が余ってしまいますから。
外から見ると、会社には「お荷物な人」がいて、解雇が容易になれば彼らがクビになり、代わりに自分たちが入れるのではないか、と思う気持ちは理解できます。しかし、それはおそらく違うだろうということを知っておく必要があるでしょう。
―「解雇規制の緩和」を考える前に、まずは日本の現在の雇用ルールについて説明してください。
安藤氏：わが国では、企業が人を雇う場合には、原則として「３年まで」の期間を定めるか、そうではない場合には、「期間を決めない」で雇うことになります。期間を決めないというのは、法律的には不正確な表現ですが、実態をわかりやすくいえば、「雇う側は、定年までできるだけ面倒を見ます」ということです。この「面倒を見る」という表現は一方的ですが、その代償として「いろいろなことを犠牲にしてでも仕事をしてください」という滅私奉公的な働き方を求めてきたわけです。
このように、原則3年までか定年までかの2択になっているとき、企業はどちらを選ぶでしょうか。これには一長一短の関係があります。１年や3年といった有期雇用の場合、労働者は、会社全体のことや、先のことを考えた仕事をしてくれません。これに対して、定年までという無期雇用にしてしまうと、途中で労働者の技術が陳腐化したり環境の変化によって、担当してもらう仕事がなくなってしまうことが考えられます。
日本の場合、仕事を限定した形で正社員として雇うことはあまりやっていません。調理師免許をもっている人をコックさんとして雇うことはあるでしょう。あるいは、僕は大学の教員ですが、教員を事務員にしますというのは難しいでしょう。でも、こうしたいわゆるジョブ単位の雇用は、日本では一般的ではないのです。
正社員は、仕事の内容を限定しないで雇うことが多い。雇ってからいろいろな仕事を経験させるわけです。大企業ならば、営業から総務へ移ったり、支店に行ったりと、いろいろなことをする。仕事の中身も変われば、働き方も変わる。働く場所あるいは働く時間帯が変わることもあり得る、というのが現状だと思います。そうして能力に見合った職種と居場所を社内で見つけるわけです。そして中小企業ならば、いろいろな仕事を一人で担当することも多いでしょう。
このようなことを前提とすると、「営業で成果を出せなかったらクビだ」というのは乱暴だと思いませんか。正社員は、基本的には「何でも屋さん」として雇ったのだから、その人に適正のある仕事を見つけて上手に使うことは雇う側の責務だと考えても、それほどおかしなことではないでしょう。
つまり正社員として雇うということは、会社側から見れば、雇用保障がある代わりに自由に使える、そして労働者側から見れば自由に使われる代わりに雇用保障があるという取引だったわけです。人によっては、本当は「内勤の仕事の方がいい」と考えていたとしても、「営業に行け」と言われれば職務命令には従う。そういった事態も想定した上で正社員になるわけです。
まあこれは、いわゆる日本的雇用慣行と言われている、大企業での話ですが。労働に関する法律を理解して、かなりの程度は守っている企業の話です。中小との違いについては後できちんとお話ししましょう。
さて、このような契約であることを理解すると、正社員の「解雇が規制」されてきたことの意味が分かります。「あなたのことを企業側にとって都合良く使いますが、その代わりに定年までは出来る限り雇い続けますよ」という前提で雇っているのであれば、いまやっている仕事で上手くいかなかったからと言って、クビにするのは「契約違反でしょ？」「他の仕事を見つけてあげることも必要でしょ」という意味だったのです。なにしろ解雇というのは、一方的に契約を破棄することですから。しかし、それでも関係を切らなければならない場合というのもあります。
―具体的にはどのようなケースでしょうか？
安藤氏：解雇には以下の3種類があります。一つは整理解雇です。時代の変化や技術進歩などの外生的な理由や経営の失敗等により、労働者にやってもらう仕事がなくなってしまった場合に行われます。今の仕事がなくなってしまい、代わりに任せる新しい仕事もない。そのような状態に陥った時に、このまま労働者を雇い続けると、会社自体が倒れてしまう恐れがある。このとき、全員で沈没するぐらいなら一部の人に泣いてもらう。これが整理解雇です。
また、能力不足や病気など何らかの理由で、仕事ができなくなった場合に、その人にはやめてもらう。これを普通解雇といいます。ただし、これは教育訓練や別の仕事を任せてみるなどの十分な取組みを行った上で、それでも最低限の仕事がこなせないような場合に限定されます。なにしろ「何でも屋さん」として雇ったわけですから。
ちなみに整理解雇の場合には人手が余っているわけですから、人を切った後に後任は雇われませんが、普通解雇の場合には、まだ仕事があるので、誰かがその仕事を引き継ぐことになる。これが整理解雇と普通解雇の見分け方です。
最後は懲戒解雇。就業規則などで事前に定められている懲戒の事由に引っかかった場合です。会社の経費の使い込みが発覚した場合や「会社の名誉や信用を著しく傷つける」行為をした場合、例えば犯罪で捕まった場合などですね。ただし「会社のボールペンを家に持ち帰って使っていたから」とか「軽微な交通違反」などを理由として解雇するのはやりすぎでしょう。あくまで、長期的関係を継続できないと考えられる事態が発生した場合の話です。
―それでは解雇規制について教えてください。
安藤氏：解雇は、ルールに則っていれば、行うことができます。禁止されているわけではありません。つまり「ルールに則って」いるかどうかが大事なわけですね。
正社員を整理解雇する場合、実質的には定年まで雇うことを約束しているにもかかわらず、それを途中で打ち切るわけですし、建前としては労働者側にまったく落ち度はないわけですから、「整理解雇が本当に必要なのか」が問われることになります。
整理解雇法理といわれるルールは、整理解雇を規制していると考えるよりも、整理解雇を偽装した解雇を規制していると考えたほうが分かりやすいでしょう。本当は「嫌いだから」とか「あいつの態度が気に食わない」などの理由でクビにしようとしているのに、整理解雇の振りをするのはダメですよ、ということです。
普通解雇の場合も、「能力不足だといっても、本当に能力不足なのか？」「いくつかある仕事のどれも任せられないほど能力がないのか？」といった点が問題になります。
整理すると、現在の雇用契約は、3年までの有期か定年までの長期という2択しかない。そして定年までの契約をしたのならば、できるだけ守る。しかし長期の契約を結ぶと、その途中で状況が変わることもあるでしょう。人間も変わるし環境も変わる。したがって解雇という手段が必要になることも認めた上で、それが乱用されないようにルールを定めているのです。
ところで解雇というのは、雇っている側から一方的に契約を打ち切ることでした。一方で、労働者の側から離職することは可能です。労働者にとって、正社員になるということは「定年まで働くことを約束します」という契約を結ぶことではないのです。法律的には2週間前、そして実際は就業規則にもよりますが、普通は一ヶ月前までに申し入れをすればいつでも辞められるという構造になっています。
会社側からしたら「こちらは雇用を保障しないといけないのに、労働者はいつでも辞められるなんて、ずいぶんアンフェアじゃないか」と感じるかもしれません。しかし、「定年まで絶対働き続けます」といった契約が可能だとすると、劣悪な労働環境にわずかな賃金で拘束される労働者が出てくる恐れがあるため、いつでも辞められるようになっているのです。
この労働者側からは簡単に辞められるということは是非覚えておいてください。「お前がいなくなったら、ウチの会社は困るので、辞めるなら金を払え。払わなければ損害賠償を請求する」などということはできません。「他にもっと良い仕事が見つかったので辞めます」という社員を引き止めるためには、さらに良い条件を提示するしかないのです。
多様な契約形態を認めれば、解雇は必要なくなる
―今までお話いただいた、雇用契約が「3年まで」もしくは「超長期（定年まで）」の極端な2択になっているという現状を踏まえて、改めて「解雇規制の緩和」についてお話ください。安藤氏：これまで「解雇規制を緩和したほうが社会のためになるし、実は労働者のためにもなる」ということを、一部の人が主張してきました。僕も数年前までは同じようなことを考えていたのです。
解雇規制緩和がもたらす効果を二つに分けて考えてみましょう。まず正社員として既に雇われている人たちの整理解雇についてです。
先ほども述べたように、整理解雇をする際には規制がありました。整理解雇を偽装しているわけではなく、本当に必要なのだということを証明しなければなりません。また労働者に対して適切な説明を行うことも求められます。
このような手続きが複雑で時間がかかるものであるとき、いま身軽になれば立ち直れたはずの企業が、間に合わずに倒産してしまうかもしれません。そこで、もう少し手前の段階で整理解雇ができるようになったほうが良いのではないか、そのためにも手続きが明確になることが必要だと考えたわけです。
大事なのは、裁判で「これは必要な解雇である」と認められるかどうかについて、予想が立てやすくなることです。そこで例えば一定の金額を支払うことで解雇を可能にしてはどうかといった、いわゆる金銭解決の導入についても議論されてきました。
次に、これから雇われる人たちの問題を考えましょう。これから就職活動をする若者についても、あてはまる話です。
企業が人を採用する際に、３年までか定年までかという二択の構造を前提とすると、今はなかなか正社員を雇いたがりません。高度成長期は、中卒などの若年労働者を「金の卵」などといって、企業が奪い合っていました。失業率もとても低い時代でした。しかし現在は、先の見通しが読めません。また産業構造が変化するスピードが加速したことも、企業が長期雇用の労働者を雇いたがらない理由だと考えられています。
このとき、整理解雇に必要な手続きが明確になり、予測可能性が高まると、今よりも正社員を雇いやすくなり、正規雇用が増えると考えたわけです。もちろん、いままでの正社員よりも少しだけ不安定になるのですが、雇用の増加を評価していました。
同様に、普通解雇についても、解雇を容易にする、というよりは判断基準を明確にすることで、逆説的ですが、安定した雇用が増えるのではないかと考えていたのです。
解雇規制の緩和とは、上手くいけば定年まで続く可能性がある長期雇用を、企業がもう少し選びやすくなるように、ルールを明確にしようという主張です。つまり、一部で誤解されていたような長期雇用の否定ではなく、このままだと長期雇用が失われてしまい、短期雇用ばかりになってしまうため、それを防ぐために考えられた提案だったのです。
しかし、本来やるべきことは、極端な２択という状況自体を変えることではないでしょうか。つまり、中間を認めてはどうかということです。
今では労働問題を専門としている経済学者の多くは、「解雇規制の緩和」という言い方は使わないようになってきました。それよりも、「これからは中間的な雇用形態も認めましょう」「既存の正社員については、解雇の要件を明確にしましょう」という主張にシフトしてきています。
ここで興味深いのは、実は中間的な雇用形態が使える、例えば5年間、10年間といった中期的な雇用契約が可能になると、解雇規制を緩和する必要がなくなる点です。正確に言えば、「解雇規制の緩和」の必要がなくなるのではなく、解雇が必要なくなるので、反対に解雇規制の強化をするべきだともいえます。
―中期的な雇用契約を認めれば、解雇そのものが必要なくなるのは何故でしょうか？
安藤氏：なぜ解雇が必要だったかといえば、長期で雇用した場合には、その後に労働者の能力も経済環境も変化する可能性があるため、それに対応する必要があるからでした。しかし、仮に５年や10年単位での契約が可能になれば、「この仕事はこの先8～10年は続くだろう」と思ったら、その人には10年契約を提示できます。そして仕事の内容、会社や業界の先行きなどを勘案して、保証できる期間を明示的に契約したのであれば、「その契約は確実に守りましょう」と言えるわけです。守れる契約にして守らせるということですね。
今までの「3年までか、定年までか」という２択の場合には、本来は５年くらい先までは雇用保証ができたはずの仕事であっても３年までの契約になります。反対に10年くらいしか先が読めない仕事であっても、「まあなんとかなるだろう」と考えて、定年までの契約にするケースもあったでしょう。だからこそ、事情が変わってしまい、途中で解雇することが必要になり得たわけです。
しかし、もっと細かい、多種多様な契約が可能になれば、守ることが可能な契約を結ぶことができるため、解雇する必要性が低下するはずですし、解雇のハードルは上がるはずなのです。
―今は3年までという契約期間の上限があるというのは、それ以上雇うなら正社員にしなければならないということですか？
安藤氏：違います。現在の「3年まで」というのは、期間を定めた雇用契約は原則として3年までというだけで、更新してもよかったのです。しかし、現在国会に提出されようとしている労働契約法の改正案では、有期雇用に対する規制を厳しくし、「最長5年まで」にしようとしています。どのような意味かというと、丸5年同じところで働いた場合、労働者が「自分を無期雇用にしてください」と申請したら、会社は無期にしなければならない、ということです。 ここでは正社員ではなく、無期雇用と言っている点に注意してください。正社員とは、有期ではなく無期であり、派遣ではなく直接雇用であり、そしてパートではなくフルタイムであるという三つの条件を満たしている働き方のことです。したがって、例えば有期で直接雇用のパート労働者が、５年経過したところで申請すると、無期にはなりますがフルタイムになるわけではないため、正社員になるわけではないのです。安定した雇用を望む労働者にとって、一見すると、これは望ましい変化のように思えます。しかし、この改正案には問題点もあります。
企業は、これまで定年までの雇用保障は難しいと思う場合に、労働者を有期雇用として雇ってきました。意地悪をしていたわけではありません。それなのに5年経過した労働者が無期転換を希望したら、無条件で受け入れなければならないとなったら、それは無理だと考えて、4年と11ヶ月でクビにしてしまうだろう、といった点が指摘されています。
今までであれば、3年契約を2回、3回と更新していく方法が可能でした。労働者は正社員になりたい。一方、会社側はそれは無理だと考えている。しかし労働者は今の仕事が好きだし、会社側も働きぶりに満足している。このような関係もあり得たわけです。それが実現できなくなる。
改正案では、6カ月間のクーリングオフ期間が設定されているため、例えば４年半働いてもらった労働者を半年間だけお休みにして、その後に再度雇うことは可能です。しかし少なくとも一定期間は関係が途切れるわけですし、多くの場合は、そのタイミングで関係が切れてしまうでしょう。
これまで、優秀な人がいたら、可能ならば正社員にするという取組みを会社側もしていました。そうしたことにあまり目を向けずに、5年経過すれば、労働者が希望すれば必ず無期雇用になれるとしてしまった場合には、当然副作用があるということも知っておく必要があります。
―若者にとって厳しい雇用環境が続く中で、とりあえず「サボっている中高年層のクビを切れ」という言説が支持を受けるのは、ある種仕方ない部分もあると思うのですが。
安藤氏：と言いますが、「皆さんは本当にそれを見たのですか？」と聞きたくなります。よく言われる「新聞を読んだりソリティアをやったりして暇を潰している社員」が、一般の会社にどのくらいいるのでしょうか。実際には、それほどいないと思います。少なくとも規制で守られている一部の業界を除いては、そんなことをしていたら会社が傾いてしまいます。たくさんいるというのであれば、データを取って見せて欲しい。
そもそも長期雇用の場合には、労働者の貢献に見合った賃金と実際に受け取る賃金が、常に一致しているわけではありません。現時点で受け取っている賃金に見合う働きをしていない中高年層がいたとしても、それは賃金の後払いを受けているだけかもしれません。若いうちから壮年期にかけては、貢献に見合った賃金を受け取っていないが、その後に後払いを受けて、定年までには帳尻が合うといった形の賃金形態が採用されているケースも特に大企業の正社員の場合には多いのです。
このような後払い方式には企業にとってメリットがあります。労働者は背任行為などでクビになると、後払いされるはずだった社内預金分を受け取ることができません。よって頻繁に監視しなくても、真面目に働くことが予想されます。
あと、クビになる心配がなければ、社員はサボるだろうから、真面目に働かせるためにも解雇が必要だと考える人がいるかもしれません。しかし動機付けの手法として機能するのは、解雇の脅しだけではありません。ボーナスや昇給、昇進、周囲の賞賛など、人は様々な動機に基づいて行動を選択します。また面白い仕事を担当できるか否かなども重要ですね。
解雇の恐れがないから、みんなソリティアで遊んでいるかといえば、現実にはそのような状態ではないわけです。
―年配の方々が、高給をもらいながらソリティアで遊んでいるというのは、一部を拡大したイメージ論の部分もあるということですね。
安藤氏：実際に統計として示されているわけではないですから分かりません。しかし仮にそのような人がいたとして、労働者だけが悪いのでしょうか。会社の側も、長期雇用だということが分かった上で、正社員として雇ったわけです。多くの会社では、アメやムチを駆使して、人材の育成と活用を行っています。それを十分にやらなかった企業が「この人は使えないからクビにしろ！」というのは一方的でしょう。
そして現行のルールでも、配置転換や教育訓練を繰り返した末にどうしてもダメなのであれば、普通解雇は可能です。正社員として雇ったのであれば、企業側にもそれなりの取組み求められるというルールのままで、僕は問題ないと考えています。
―短期か超長期かと二極化している中で、長期雇用を保証されている人が、途中で仕事が出来なくなってしまった場合、そういう人を外に出さないと不公平だという考え方も出来ると思いますが。
長期雇用で人を雇うということは、言葉は悪いですが、宝くじを買うことに似ています。ある人が宝くじを連番で10枚買いました。1枚300円で1等は3億円としましょう。このとき少なくとも10枚に1枚は300円が当たりますが、ほとんどはハズレです。たくさん買えば、3億円は当たらなくても、100万円が当たったりすることもあるでしょう。ここで、当たった場合は換金するのに、外れた場合は「損したから無かったことにしろ。お金を返せ」と主張する人がいたらどうでしょうか。それは通らない要求ですね。
人を採用する場合も同じです。会社を大いに儲けさせてくれた労働者もいれば、結果的にあまり活躍できなかった労働者もいるでしょう。そのようなリスクがあることを承知した上で会社は人を雇うわけです。
ただし、すべての労働者の雇用を守ろうとすると、会社が倒産してしまう場合であれば、全員が沈没するよりはましだからということで、人を減らすことが正当化されるかもしれません。しかしその場合でも、まずは早期退職優遇制度などを使う。それでも、まだ余剰人員が多くてどうしようもない場合には、ルールに則って整理解雇をする。こうしたステップを踏まないで安易に人減らしをしたいというのでは、ハズレくじについて金を返せというのと変わらないのではないでしょうか。
一方で、宝くじと大きく違うのは、売った側と買った側の双方の努力により、当選確率が上昇する点です。そのことを忘れてはいけません。
雇われる側から見た場合には、長期雇用で働くことは、ある面では保険を買うことに似ています。海外旅行に行く際に、空港で保険に入ったとしましょう。盗難に遭うなどの事故がおこるかどうかは事前には分かりません。だから保険に加入するのです。ここでトラブルもなく帰国した人が、事故にあって保険金を得た人のことを責めるのはおかしいわけです。出発時には納得して契約したのですから。そして不公平とも言えません。
同様に、労働者たちの間で、貢献の違いほどには賃金に差がなかったとしても不公平だとは限りません。実際に働きだしてみれば、上手くいく人もそれなりの人もいる。それは努力や能力だけでなく運の要素もあるのです。
既に働いている人たちとこれから働く若者を比較したら、「不公平だ」と感じるかもしれません。それは分かります。しかし生まれる時代は選べないのです。
高度成長期には、郵便貯金の金利が10年定期だと10%を超えていた時期がありました。１%ではなく10%です。うらやましいですね。しかしその当時には携帯電話もありませんでしたし、別の苦労もあったはずです。単純比較はできません。
なお、正社員ならば幸せだとも限らないことにも注意しましょう。長時間労働、転勤や単身赴任の可能性、好きな仕事ができるとは限らない、そして責任が重いなどの苦労もあるからです。
―大企業と中小企業の違いについてはいかがですか。
安藤氏：企業数では99.7%、雇っている人数でいったら７割ほどを占める中小企業では、ここまで説明してきたような「日本型雇用の正社員」とは異なり、正社員であっても雇用保障が強いわけではありません。残念ながら法律に従った適正な働かせ方をしているとは限りませんし、倒産や廃業してしまう可能性も低くないからです。大卒の新入社員が定年を迎えるまで、会社が続くかどうかもわからない。そうしたケースもたくさんあるのです。
そのことに留意すると、解雇規制緩和の効果がうんぬんという話は、大企業で働く３割の労働者の話だと言えますね。中小ではおかしな解雇がまかり通っている。しかし、行政の取り締まりも不十分だし、裁判所に訴えるお金もない。それが現状です。
私たちは大企業の話ではなく、中小企業の話を中心に議論する必要があります。そして大企業ではなく、99.7%を占める中小企業をターゲットにした施策を中心にすえるべきなのです。
中小企業には「労働法は知っているけれど、守れるわけないし、守らないのがあたりまえ。自分のところだけ守ったら潰れちまう」と考えている経営者や「そもそも知らない」人もいるのでしょう。
そこで、労働に関する法律は、中小でも守れるようなルールにして確実に守らせる。それが必要でしょう。そのためにも、多様な雇用形態を可能にして、「約束した内容は守る」という当たり前のことを当たり前にするべきです。
―今までのお話ですと、「解雇規制の緩和」よりも「多様な雇用契約を認める」ことが重要ということですね。
安藤氏：期間だけではなく、様々な条件が付いた雇用契約が可能になれば、さらに望ましいといえるでしょう。言葉の定義を確認しておきたいのですが、まず解雇というのは、契約を会社側から途中で一方的に切ることでした。この「解雇」と「契約満了」というのは、完全に別のことです。3年契約を3年目で終えるのは、契約の満了であって解雇ではない。「雇止め」などという言い方もされますが解雇ではない。これが前提です。
その上で、契約が満了する条件として、雇用期間以外にも様々な条件を設定することが考えられます。例えば、新規出店をする場合に、そのお店が撤退する場合には契約が解除されるという条件付の契約を結ぶことが出来ると、より安定した仕事が増える可能性があります。
例えば、復興需要に応えるため、東京の建設会社が東北で支店を出すことになったとしましょう。現在では、支店で正社員として雇うと、その支店が上手く行かずに撤退する場合には、その労働者を東京に配置転換することで雇い続けることが求められます。それならば、おそらく有期雇用として雇うことが選ばれるでしょう。
しかし、支店を閉鎖して撤退する場合には、契約が満了するといった雇用契約を可能にすると、新しい事業所が出来て、現地の人をより安定した形で雇う取組みが増えるのではないでしょうか。このような様々な雇用契約を可能にするべきです。
―経済学者は、解雇規制の緩和を主張しているとは限らないのですね。
そもそも経済学者が言うところの「市場に任せる」ということの意味は、売手と買手が自発的に取引を行った時に、それなりに上手くいく場合には、個別の取引には介入しないほうがよいといった程度のことです。そして法律や市場の整備、所有権や契約の保護、「市場の失敗」の是正、再配分などは、政府の果たすべき役割として重視し、市場と政府の連携を考えているわけです。
ここで市場取引が円滑に行われるためには、その前提条件として、多種多様な取引が可能であることが求められます。雇用契約でも、様々な条件付きの働き方が必要なのです。そして一度契約したなら、出来る限り守る。それが原則です。そして不平等の是正については、税制を通じた再配分や教育訓練を通じた取組みを重視するわけです。
「解雇規制を緩和しろ！」と主張する人の中で、最も極端な人ならば、「いつでも、どんな理由であっても、そして労使のどちらからでも一方的に解消できる関係のほうが望ましい」と言うでしょう。これは解雇規制撤廃の主張です。実は、このような考え方は、市場を活用するという考え方とはまったくの別物です。
解雇規制が撤廃されたとしましょう。このとき会社側が「あなたは明日から来なくていい」といったらいつでも解雇できます。このとき３年までの有期雇用とか定年までの無期雇用を仮に締結していたとしても、何の意味もありません。いつでも解約できるのですから。
つまり、解雇規制の撤廃とは、働く人全員が日雇い労働者になるということです。「今日もクビだと言われなかったし、俺もやめるといわなかった」なら明日も働くという、1日契約をずっと更新し続けることと同じです。明後日のことは分かりません。これは多種多様な契約を可能にするということとは違い、細切れの契約しか許さないということを意味します。
「多種多様な契約を結べるようにしましょう。そして契約を結んだなら、原則として守りましょう」というのが市場取引の役割を重視する経済学者らしい考え方であるのに対して、契約を1種類に限定すると言うのは非常に経済学者らしからぬ発想です。長期雇用しか認めないのと同じく、日雇いしか認めないのも契約を限定することです。したがって、僕のように、契約の多様化と解雇規制の強化を求める経済学者のことを「市場原理主義者だ！」というのは正しいのですが、解雇規制の撤廃を主張するような人に対して「市場原理主義者だ！」と批判するのは間違いなのです。
重要なのは、一社での長期雇用ではなく”常に働く場所があること”
―おっしゃるような「多種多様な雇用契約」が認められるようになった場合には、どのような働き方になるのでしょうか。非常にイメージしづらいと思うのですが。安藤氏：まず細かい契約が結べるようになったからといって、ひとつの会社の中に、「私は3年契約、この人は4年5ヶ月契約、あの人は…えーと何だっけ？」といったように、異なるタイプの契約の人が山ほどいるという状況にはならないでしょう。人事管理が煩雑になってコストがかかりすぎるからです。したがって、ひとつの会社の中では、あっても２～５パターンぐらいに落ち着くでしょう。今でも例えば大企業では、総合職、エリア総合職、一般職、派遣社員といった複数の働き方が共存しているのと同じですね。
例えば、ファミレスであれば店長と副店長は長期雇用の正社員、残りは学生のアルバイトや主婦のパートだったりしますね。これが店長は正社員、副店長は、このお店がある限り契約が続くけれど、閉店する場合は契約が切れるといった契約になることが考えられます。その代わりに野心的に出店することが可能になる。
このように変わると、本部が「このお店は儲からないから閉めたい」と思ったら店舗限定で雇用されている副店長さんは、明日から仕事を失ってしまう。だから「ケシカラン」と考える人もいるでしょう。しかし店舗数の増加に伴い仕事が増えることは評価すべきですし、新しい働き方を活用する過程で、おそらく納得感の高い契約形態も普及するはずです。
例えば次のように条件ならばどうでしょうか。「お店を閉める場合には６ヶ月前までには告知します。その後に店長は他の支店にいくか、本部で働くか分かりません。副店長はこのお店限定という契約なので、次の仕事を探してください。ただし告知した段階で仕事量を６割に減らします。４割の時間を使って、職探しをしながら働いてください」といったルールです。
そんなのありえないと思われるかもしれません。しかし、条件が悪いと、その仕事に応募する人は少ないでしょう。仕事を選択する際には、給与ももちろん大事ですが、それだけではなく、仕事の大変さや職場の雰囲気、そして仕事の安定性など、さまざまなことをパッケージとして比較した上で選ぶわけです。労働条件の改善のためには、企業間で行われる労働条件引き上げ競争を成立させる、そして活性化させることが必要です。そのためには景気が上向きになること、そして同業他社の雇用条件が広く知られていることも求められます。
僕がいままでどのようなキャリアを歩んできたか。興味がないかもしれませんが、まあ聞いてください。まず22歳で大学を卒業して、それから大学院に5年間行きました。博士課程を終えると、1年契約の研究員として採用されました。半年経った段階でそこは退職し、次は政策研究大学院大学というところに教員として採用されました。今は六本木にありますが、その当時は新宿区にありました。ここでは、「余程のことがない限り5年は雇います。実績と貢献度合いによっては正規の教員になれるかもしれません」という条件でした。そこで1年半働いた後に、いま所属している日本大学に移ったのです。ここは正社員としての採用です。
自分がやったから「これが当たり前だ」などというつもりはありませんが、今後はこのような働き方が増えていくのではないでしょうか。
大卒でいきなり全員が正規の仕事に就けるというわけではなく、最初は1年契約の仕事になるかもしれない。そこをもう1回更新してから、5年契約になる。この段階で30歳近いわけですが、そこでもう1度更新するか、他の会社でさらに長期の仕事を探すかを考える、といったように、徐々に雇用期間面でも給料面でもステップアップしていくような形が一般的になると思われます。
場合によっては、定年までの安定なんていらないから、高い給料が欲しいという会社の選び方もあるでしょう。会社側も「定年まで保証しなければならないのであれば年収400万円しか払えません、しかし５年契約であれば600万円まで出せます」ということもあり得ます。こうした様々な契約を自分のライフステージあわせて選ぶ。結婚して子どもが出来た場合は、リスクをとらずに400万円でとりあえず安定した仕事をする。そしてより良い条件の会社が見つかれば転職も検討する。
もちろん、結果として一つの会社にずっと居続けることも悪くない選択です。しかし、定年までの雇用保障があったとしても、会社の業績が悪くなったら給料が下がるわけですし倒産するリスクもありますから、「これなら５年間契約で年間600万円を貰っておいた方が得かな」などとを考えて仕事を選ぶわけです。
私は雇用が不安定なのは嫌でした。だから先ほどお話ししたように、少しずつ条件が良いところに移ったのです。その際には、いきなり正社員として採用されることだけを目指して就職活動をしたわけではなく、仕事が途切れないことも重視しました。だから任期付の職から、いきなり正社員は無理でしたが、それまでよりも長い任期の職に移ることができたのです。
有期雇用の場合は、働きながら次の仕事を探すことも重要です。契約が切れてから次を探すのではなく、同時並行で仕事を探す。それにより結果として仕事と収入が途切れないこと、また徐々に待遇が上がることを目指す。当然、失業給付を受け取ることや、公的職業訓練を受けることなどを経由しても良いのです。そしてある程度の年齢までに安定した長期の仕事を見つけるといった働き方を、それほどの苦労をしないでも皆が得られることをゴールにする方が、皆が正社員になることを目指して、実現できないよりも望ましいのではないでしょうか。
―とはいえ、現状で若者が不公平感を感じているのは事実です。若者は、今の状況にどう立ち向かうべきでしょうか。
安藤氏：不公平については、生まれた時期によって、就職活動時に好況か不況かといったことの影響を受けます。就職先の数も求人数も違うでしょう。
現在、公務員の採用を絞るという話が出ています。しかし景気が悪い時期にそれをやってしまうと、いままでであれば公務員として採用されていたはずの人も民間企業に就職しようとするわけです。結果として就職がより厳しくなります。
本来、公務員の採用というのは、景気が悪い時にはたくさん雇う。そして景気が良いときには民間企業の求人も多いでしょうから、少ししか雇わないようにするべきです。ところが、そのまったく逆をやろうとしているわけですから、これは問題です。
僕は、今は公務員の採用を増やす時期だと思います。職探しが難しい時期だからこそ、優秀な人を雇いやすいわけですし。公務員を減らすことで一時的に国の支出が減ったとしても、それにより無職の若者が増えてしまい、将来的に稼得能力が低い人を増加させる結果になってしまったら、そちらの方がお金がかかる。今こそ仕事を作るのが国の責務でしょう。
「仕事を選ばなければ、働く場所はいくらでもある」という人もいます。しかし、そんなアホは無視してください。中高年層でそのようなことを言う人もいるわけですが、本人が正社員になれたのは、単に高度経済成長期で景気が良かったからという可能性を理解できていないのです。条件が向上していく見通しがない仕事には就きたくない。それはあたりまえのことです。仕事があれば何でも良いわけではありません。
ただし最初から「自分らしい仕事」というのは、なかなか見つかりません。有名ではない企業で有期で働くことになれば、おそらく自分がイメージしていた姿とは違うでしょう。こんなはずじゃなかった。そう思うはずです。
しかし大企業でホワイトカラーの正社員になったとしても、配置転換を通じた適職探しは行うのです。すぐに自分に合った仕事に就くわけではありません。だから、いわゆるブラック企業でなければ、少しくらいは不満があっても、フルタイムの仕事に就職できるならしたほうがいい。友達に自慢できなくても良いのです。何年かその仕事を続けることによって条件を改善させること、そして不満があるのなら、次に景気が良くなったタイミングで、より良い企業に転職することを目指してはいかがでしょうか
またジョブカフェや大学の就職部なども使ってみる。相談するのは恥ずかしいなどと思うかもしれませんが、そんなことは気にしても仕方がありません。相手も仕事なのですし使えるものは使いましょう。たくさんの人の相手をしているので、一人一人のことをそれほど覚えていないと思えば、気が楽になります。
自分が会社の社長だったら、中途採用をする際に、どのような人を雇いたいか想像してみてください。その時に、「仕事が見つからなかったので、気が向いた時だけアルバイトをしていました」という人と「あまり条件が良い仕事ではなかったけれど、ちゃんとフルタイムで働いていました」という人のどちらを雇いたいかといえば、当然後者です。フルタイムの仕事をしていたということは、朝ちゃんとおきて、働いて給料をもらう。そして同僚とコミュニケーションしてきたということだからです。
採用時の最後の決め手は、この人と一緒に働きたいと思えるかどうかです。しかし、その人がしてきたこれまでの経験も重要です。「私は～ができます」と口で言うことは簡単ですが、それを信頼してもらうのは難しい。そこで何か実例を示すことができれば仕事に一歩近づきます。そんな時に、他人を納得させられる「ストーリー」があると便利です。
これは「意識が高い」と揶揄される学生がやっているような取組みをしろということではありません。ある程度は流れに身を任せつつ、進学や就職、昇進や転職といった人生の節目では将来の方向性についてしっかりと考える。周りの人に相談もする。そして必要な時にはある程度は頑張る。そんな普通の人が、安定した仕事を得られる社会にしたいと思うのです。
―本日はありがとうございました。
プロフィール
安藤至大（あんどう むねとも）： 1976 年東京生まれ。日本大学大学院総合科学研究科准教授。04年東京大学博士（経済学）。政策 研究大学院大学助教授等を経て05年より現職。専門は契約理論、労働経済学、法と経済学。著書に『脱格差社会と雇用法制―法と経済学で考える』（日本評論社、2006年）、『雇用社会の法と経済』（有斐閣、2008年）（いずれも共著）など。Twitter：@munetomoando
冒頭でも紹介したように、本シリーズでは、読後にユーザーが感じた意見に対する解答記事の掲載を予定しています。コメント欄や議論ページを通じて、寄せられた意見・異論・反論を基に次回のインタビューを実施しますので、議論への積極的な参加を期待しています。
「SYNODOS×BLOGOS 若者のための『現代社会入門』」
・"景気対策としてインフレを起こせ"―飯田泰之氏の語る"デフレ脱却の処方箋"-1月11日・経済成長で"足の引っ張り合い"をしなくてよい社会を目指せ～飯田泰之氏インタビュー回答編～-1月25日
・「日本のセーフティーネットはスカスカ」―『困ってるひと』著者・大野更紗氏が語る社会保障の“現実”-2月8日
・命の重さを"印象論"で語ってはならない～大野更紗氏インタビュー回答編～-2月22日
･晩婚化の原因は"いい男"が減ったから―筒井淳也氏の語る日本人が結婚しなくなった理由-3月14日
・希望する数だけ子どもが持てる政策の手当てを！～筒井淳也氏インタビュー回答編～
