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グループ名の使用禁止などをめぐり、所属していた芸能事務所を訴えたヴィジュアル系ロックバンド「FEST VAINQUEUR(フェスト ヴァンクール)」。この春、東京地裁で事務所側への賠償命令を勝ち取ったが、5月中旬に控訴した。

退所後6カ月間の活動を制限する契約書の条項(競業避止義務)の有効性について争うためだという。

活動できなければ生活は厳しくなるし、それゆえに事務所をやめられないアーティストもいるかもしれない。メンバーたちは「活動制限に意味はない」と主張する。

●経緯

同グループは2010年の結成以来、同じ事務所に所属していたが、18年10月に1年間の活動休止を発表。活動再開に向け、レコーディングなどに着手していたが、翌19年4月に契約解除を申し入れ、同年7月に契約が終了した。

契約が終わると、元事務所からバンド名の変更などの活動制限を求められ、一時はグループ名を省略した「FV」の名義で活動した。

●東京地裁判決

メンバーたちは、契約終了後の活動制限をめぐり、元事務所側に対して計約400万円を求める裁判を起こした。

今年4月28日、東京地裁(柴田義明裁判長)はメンバーたちの主張を一部認め、元事務所側に計約90万円の賠償を命じた。

判決は、グループが同じバンド名で活動しようとしたところ、元事務所がライブ先に対し、「グループ名の商標権は事務所に帰属する」などと通知したことについて、実際には事務所が商標権を持っていなかったことなどから、グループの営業権を侵害するものと判断した。

一方、退所後6カ月は実演を目的とした契約はできないとする契約書の条項については、「この種の条項が具体的事情に関わらず無効であるとの一般的な認識が形成されていたとは認められない」とした。

控訴にあたり、グループは署名サイト「Change.org」でキャンペーンを開始。事務所をやめたあとの活動制限は、自分たちだけでなく、芸能人やアーティストら全体にかかわる問題だと強調している。