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成人年齢引き下げによる「AV出演強要被害」を防ぐための法律「AV新法」の素案がまとまったことを受けて、被害者支援に取り組む団体による有志が5月16日夜、オンライン会見を開き、その内容に賛同する姿勢を示した。

NPO法人ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士は「私たちは、法案作成にあたってヒアリングに参加した団体や実務者とのやりとりの中で、要望や、良い法律にしてほしいと伝えてきた。被害者の尊厳や人権を守り、被害の予防や救済を実現するために必要な法律であると評価している」と述べた。

●伊藤弁護士「新法によって尊厳を回復できる未来が待っている」

今回の法案は、事業者に契約締結における出演者への詳細な説明と契約書交付を義務づけたうえ、契約で定められた行為でも出演者は全部または一部を拒絶できるとしている。

作品の公表は撮影から4カ月の期間をおくものとし、撮影後は出演者に映像確認をするものとしている。

また、作品の公表後1年間(施行から2年間は2年間)は、出演者は無条件で契約を解除することができる。その際、違約金の支払いはない。さらに、事業者は作品の回収を含めた原状回復義務を負う。

規定に違反した事業者に対しては、1億円以下の罰金刑(法人に対する処罰規定)という重い処罰も盛り込まれている。

伊藤弁護士は「何重にもセーフガードをつくって、断れる機会を与えていることは重要です」「かけがえのない救済策であり、尊厳を回復できる未来が待っている」と述べたうえで、被害者保護・救済における内容を「通常の契約法理を越えて、被害者に寄り添った被害救済を規定している」と評価した。

●「性交合法化」との批判に対する回答は

なお、今回の法案をめぐっては、アダルトビデオの「性交」を合法化するのかとの意見が、被害者支援団体や女性の権利団体などから上がっている。

しかし、被害者支援団体が一様に反対を表明しているとする報道は事実と異なるとして、有志らは賛成を強調した。

法案に対する批判、懸念に対して、会見ではさまざまな説明がされたが、その中でも「アダルトビデオ」(性行為映像制作物)の定義が、「性行為を行う人の姿態」から「性行為に係る人の姿態」に改められたことに言及。

「必ずしも性行為をしなくてもよい。擬似でもよし」と会見では説明された。

この法案は成立後、2年以内の見直しも定められている。この規定によって実効的な救済が図られるか検証が必要であるという指摘もあった。

会見を開いたのは「AV出演被害防止・救済法の実現を求める会」のメンバーら。 NPO法人PAPSの金尻カズナさん、一般社団法人Springの納田さおりさんらも会見に登場した。