住まい探しでは、まず間取り選びに迷う人は多いのではないでしょうか。たとえば、同じ2人暮らしでも夫婦やカップルで住むのと友人と住むのとでは、適した間取りが異なります。そこで今回は、2人暮らしに最低限必要な広さや、2人暮らしにおすすめの間取りと特徴について解説します。ぜひ参考にしてください。

2人暮らしで最低限必要な広さ

はじめに、二人で生活するために最低限必要な広さを把握しておきましょう。住生活基本法には、「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」という二つの指針が示されています。住生活基本法は、国民の豊かな住生活の実現を目的として2006年に施行された法律です。最低居住面積水準と誘導居住面積水準の違いは次のとおりです。

・最低居住面積水準:健康で文化的な住生活を営むために必要不可欠な住宅の面積に関する水準
・誘導居住面積水準:多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準

これによると、2人暮らしに最低限必要な居住面積(最低居住面積)は30平方メートルとされています。30平方メートル前後では1Kや1DKの間取りがほとんどなので、ストレスなく生活するには、誘導居住面積水準の55~75平方メートルを参考にするとよいでしょう。55平方メートル以上になると、2LDKや3DKの間取りが中心となります。

参考:住生活基本計画における「水準」について|国土交通省

2人暮らしの人がよく選ぶ間取り

実際に2人暮らしをしている人は、どのような間取りを選んでいるでしょうか。SUUMOによる20~30代の既婚男女を対象としたアンケートでは、次のような結果になりました。

※参考:夫婦の住まいと生活 じっくりレポート 2021|株式会社リクルート

個室が欲しいと考える場合、必然的に2DK以上の間取りを選ぶことになります。加えて、家族での団らんや人が訪ねてきたときに対応できる、ゆったりとしたリビングのある間取りが好まれていることがわかりました。

間取りも気になるところですが、最も重視すべきは家賃です。基本的に部屋数が増えるほど家賃は高額になります。3部屋以上ある間取りを選ぶ人が比較的少なかったのは、家賃が関係しているのかもしれません。

2人暮らしにおすすめの間取りの特徴と選び方

ここからは、2人暮らしにおすすめの間取りについて特徴や選び方を解説します。

1K・1DK

画像:PIXTA

1Kや1DKは、キッチンスペース+1部屋がある間取りです。ワンルームと違いキッチンと居室とが分かれているのが特徴です。ちなみにキッチンスペースが4.5畳(約7.4平方メートル)未満なら1K、4.5畳以上8畳(約13.2平方メートル)未満の場合は1DKと表記されます。

1Kや1DK物件のメリットは家賃を抑えられること、デメリットはプライベートが確保できないことです。二人の生活リズムが違う場合など、ストレスを感じることが多いかもしれません。1Kや1DKの間取りは1人暮らし専用とされている物件も多く、2人暮らしはできないものもあるため、注意してください。

1LDK

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1LDKは、リビング・ダイニング・キッチンを兼ねた広い空間に加えて独立した1部屋がある間取りです。キッチンスペースが8畳(約13.2平方メートル)以上ある場合に、1LDKと表記されます。

1LDKでは寝室を確保できることがメリットです。生活にメリハリがつけられますし、人が訪ねてきた際はリビングでゆっくり過ごしてもらえます。ソファーを置くスペースもあるので、好みのインテリアが楽しめるでしょう。ただし、それぞれの個室は持てません。1K・1DKと同じく、生活リズムの違いがストレスになりがちです。

2DK

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2DKは、ダイニングキッチン+2部屋の間取りです。居室が2部屋以上の場合、6畳(約9.9平方メートル)以上10畳(約16.5平方メートル)未満のキッチンスペースをDKと表記します。キッチンスペースにコンパクトなダイニングテーブルは置けるものの、ソファーセットなどを置くには手狭かもしれません。

2つの部屋をそれぞれ個室にできるため、カップルや夫婦だけでなく、友達同士や兄弟姉妹での2人暮らしにもおすすめです。間仕切りを開放すればLDKとして使用できる物件もあり、ライフスタイルに合わせた使い方が楽しめるでしょう。1LDKや2LDKと比べて家賃が安い物件が多いこともメリットといえます。

※参考:公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会「特定用語の使用基準」

2LDK

画像:PIXTA

2LDKは、2つの部屋に加え10畳(約16.5平方メートル)以上のLDKがついた間取りです。2人暮らしには十分な広さの間取りで、長く住むことを想定して新婚生活を2LDKでスタートさせるカップルも多く見られます。夫婦2人のうちはそれぞれに個室を持つことができますし、子どもが生まれたら1部屋は夫婦の寝室に、1部屋は子ども部屋にするなどの柔軟な使い方ができます。

ファミリー向けに設備を充実させた物件が多いのが特徴で、その分家賃が高くなりがちです。賃貸で住む場合は、家賃が生活費を圧迫しないか検討しましょう。住宅ローンを利用して購入する場合には、返済し続けていけるかを慎重に判断することが大切です。

2人暮らしで3LDK以上が必要となるとき

2人暮らしには2LDKの間取りで十分と考えられますが、ライフスタイルによっては3LDKが向いていることもあります。ここでは、間取り選びの参考として、2人暮らしで3LDKが必要になる状況や理由を紹介します。

自宅で仕事をしている

2019年4月に始まった働き方改革や、2020年以降のコロナ禍の影響により、テレワークを導入する企業が増えました。仕事部屋として1部屋を確保すれば作業に集中できますし、オンラインミーティングのときにも生活感のある室内を見られずに済みます。

3LDKの間取りであれば寝室に加えてそれぞれの個室兼仕事部屋が確保できるでしょう。アトリエなど広い作業スペースが欲しいときも、専用の部屋があると便利です。

将来的に子どもが欲しい

マイホーム購入を検討する若いカップルは、2人暮らしでも3LDKを選ぶことが多いようです。

広いLDKのほかに独立した部屋が3つあれば、子どもが生まれて家族が増えても快適に過ごせるでしょう。大人2人+子ども2人が暮らすのにちょうどいい3LDKは、ファミリー向けマンションに多い間取りです。物件の選択肢が多く、自分たちに合った住まいが見つかりやすいといえます。

なるべく長く住みたい

あまり引っ越しをしたくないと考える場合も、家族の人数の増減に対応しやすい3LDKがおすすめです。子どもが生まれたときや親の介護が必要になったとき、部屋数にゆとりがあれば慌てて引っ越す必要がありません。

都市部の3LDKは高額な家賃の物件が多いですが、郊外に行くと手頃な価格の戸建てが見つかります。マンションなどの集合住宅では生活音がトラブルになりがちなため、子どもをのびのびと育てたい場合は、郊外の戸建ても選択肢に入れるとよいでしょう。

まとめ

2人暮らしの居住面積としては、最低30平方メートルがあれば可能とされています。ただし、ストレスなく生活するには55~75平方メートルが目安になるでしょう。

人気の間取りは2LDKですが、それぞれの生活リズムや二人のライフスタイル、支払える家賃などによっては1LDKや2DKが適していることもあります。二人が暮らしやすい住まいを選ぶために、この記事で紹介した間取りの特徴などを参考にしてください。