「時間の使い方」や「働き方」が変化|コロナ禍でアップデートされた価値観を調査
自宅で過ごす時間が増えたこの1年半。ARUHIとクックパッドが実施した共同調査『料理と暮らし白書2021』の結果をもとに、住まいに関する意識や行動はどのように変化したか、読み解いていきます。第5回のテーマは「コロナ禍による価値観の変化」について。コロナ禍が価値観にどのような影響を及ぼし、生活に変化をもたらしたのか紹介します。
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コロナ禍で最も変わった価値観は「時間の使い方」
新型コロナウイルスの影響で、最も大きく変わった価値観を聞いたところ、「時間の使い方」が最も多く14.9%、「お金について」が13.4%、「家族との過ごし方」が13.1%、「働き方」が11.5%、「余暇の過ごし方」が10.3%でした。
【年代別】男性は「働き方」、女性は「家族との過ごし方」に関する価値観が変化
年齢別に見ると、男女・年代を問わず「時間の使い方」に関する価値観が変化したと感じていることが分かります。
また、男性では「働き方」と回答した人が目立ち、「お金について」の価値観の変化を感じている人も多い様子。メインの稼ぎ手は夫という家庭が多い中、コロナ禍による働き方の変化やそれによる収入への影響は切実な問題であり、価値観の変化に繋がっているようです。
一方、女性は30代以上で「家族との過ごし方」がTOP3入り。外出自粛や保育園・幼稚園の休園、学校の休校、パートナーの在宅勤務などにより、家族とともに自宅で過ごす時間が増えたことなどの影響が考えられます。
【在宅勤務状況別】在宅勤務の経験により「働き方」による価値観が変化
続いて、コロナ禍の影響で最も大きく変わった価値観について在宅勤務状況別に見てみましょう。すると、在宅勤務をしている人は、その頻度を問わず「働き方」に対する価値観が変化していることが分かります。一方、在宅勤務をしていない人は「お金について」の価値観が変化を感じた人が最多。勤務形態はそのままでも、仕事が終わってからの過ごし方として「飲み代に消えていたお金を積立や投資に回すようになった(40代男性)」といった声もあり、コロナ禍をきっかけに資産形成を始めた人もいるようです。
また、働いていない人は「家族との過ごし方」に対する価値観の変化を感じている人が多いことが明らかになりました。
コロナ禍により変わった生活に合わせて、価値観も変化
各回答について、具体的にどのように価値観が変化したか、自由回答で聞いた選択理由を一部紹介します。
「時間の使い方」
・自分の時間が増え、出来ることを増やしたり効率よく料理や掃除をしたりする方法を考えた(千葉県/20代/女性/学生)
・自粛期間で、初めはダラダラと過ごす時間が多かったが、それでは時間がもったいないと感じ、家でも出来る趣味をみつけ時間を無駄に過ごさないように意識するようになった(兵庫県/20代/女性/会社員)
・人と対面する時間が限られてるので、会った人とやりたい事を効率的に行うようになった(静岡県/20代/女性/会社員)
「お金について」
・家にいる時間が増えて水道代や通信費、光熱費がやはり高くなってしまうのでなるべく節約しようと心がけるようになった(東京都/20代/女性/会社員)
・今まで飲み代に使っていたお金は無駄が多かった。貯金をしっかりできるようになった(京都府/20代/女性/会社員)
・以前まではお金を使う対象が旅行や外食、店舗での服の購入など外出を伴うものであったが、コロナの影響で通販やゲーム、動画配信サービスなどにお金を使うようになり、以前よりも値段の差が気になるようになった(富山県/20代/女性/学生)
「家族との過ごし方」
・家族で過ごしたり思い出作りに旅行に行ったりすることができないため、どうしたら良いかを考え、可能な範囲で楽しめることを探すようになった(熊本県/20代/男性/会社員)
・友人と会えない分、家族でどう休日を過ごすか考えるようになった(東京都/20代/女性/会社員)
・子供とよく遊ぶようになった(愛知県/30代/男性/会社員)
「働き方」
・前職がコロナの影響で稼げなくなったので全く違う職種へ転職したこと(岡山県/20代/女性/会社員)
・ずっと接客をやってきたが、コロナの影響で客足が減って勤めてた会社の業績も悪化。働く環境も福利厚生が減り給料も減ったので、接客よりも非接客のデスクワークの方がいいのかと思うようになった(長野県/20代/女性/無職)
・出社形態から在宅勤務に変わった。成果は変わらないため、効率的(東京都/30代/男性/会社員)
「余暇の過ごし方」
・今までは自由な時間がずっと続くと思ってダラダラ過ごしてきた事もあったけど外出などが制限されるようになって特に週末時間を有意義に全力で楽しもうと思った(福岡県/30代/男性/公務員)
・余暇の時間の過ごし方を多様にするためにある程度お金をかけることも大切と思えるようになった(東京都/20代/女性/学生)
・行楽地にいけなくなり近くで遊ぶようになった(東京都/30代/男性/会社員)
いずれの回答からも、コロナ禍を機に変わった生活に合わせて価値観を見直し、制限のある毎日の中でなるべく工夫して過ごそうとしている様子がうかがえます。
3人に1人が、コロナ禍を経て生活にプラスの変化を実感
新型コロナウイルスの影響による外出自粛などを経て、生活にプラスの変化が生じたか聞くと、33.0%の人が、プラスの変化が「あった」と回答。「なかった」の29.6%を上回りました。
若い世代を中心に、プラスの変化を実感
性別・年代別で見ると、コロナ禍の影響で生活にプラスの変化が生じたと回答したのは、男性が約30%なのに対し、女性は約35%。また、男女とも若い層のほうがプラスの変化を実感していることが分かりました。
在宅勤務をしている人のほうがプラスの変化を実感
在宅勤務状況別に見ると、在宅勤務なしの人が28.3%なのに対し、在宅勤務ありの人は45.3%と、在宅勤務ありの人のほうがプラスの変化を感じていることが分かりました。在宅勤務の頻度別に見ると、週5日以上の人が42.9%、週2~4日の人が45.7%、週1日以下の人が48.1%と、在宅勤務の頻度は問わず、プラスの変化を感じている人が多い様子がうかがえます。週に1日でも在宅勤務の日があると、暮らしにポジティブな変化をもたらすことが分かります。
家族との関係や仕事面など、コロナ禍によるプラスの変化とは?
具体的にどのようなプラスの変化があったのか、自由回答で聞いた選択理由を一部紹介します。
「家族との絆がより深まるきっかけに」
・家族で過ごす時間が増えたのでコミュニュケーションを取る時間が非常に増えた(北海道/40代/男性/その他)
・子どもと一緒に遊ぶ時間が各段に多くなった。また、子どもの遊びについてもより関心を持つようになり、一緒に楽しめる趣味が増えた。また、妻と色々と話をする時間も増え、家庭のこれからの事についてより深く考えるようになった。(大阪府/30代/男性/会社員)
・家族と過ごす時間が増えたことで妻や子ども達と以前よりも会う時間が増えた。また、ガーデニングをしたり料理を家族で一緒にしたりすることで、有効な時間を過ごすことができている。共同ですることにより、家族の絆が強くなったと思う(大阪府/40代/男性/会社員)
「家族の意識改革や教育のきっかけに」
・おうち時間が増え、いつもは私ばかりがしていた家事に夫が協力的になった。今まで夫は、料理を作るのも苦手でほとんど何もしてくれなかったが、手伝ってくれるようになった。(福岡県/20代/女性/会社員)
・家庭菜園を娘と一緒に行うことで、土と触れる時間や植物・生き物に触れる時間が取れ、教育的にプラスに働いていると思う。朝早くに起きる生活習慣も身についた。DIYに注力することで空間に合う家具を作れるようになり、家に対する満足度が高まっている。(愛知県/20代/男性/会社員)
「働き方が変化」
・平日の通勤がなくなったことで通勤による疲れやストレスから解放されたことはものすごくプラスになっている。また、通勤に費やしていた時間を他のことに割けるので普段の生活の中でもやりたいことが多くできるようになった(埼玉県/30代/男性/会社員)
・自宅で仕事をするようになり、今まで仕事から帰ってくるまで知らなかった子供たちの行動がわかるようになった。子供たちとの会話が増えたと思う。通勤をしなくなったことで、本来は通勤時間で消費される時間で他のことができるようになった。例えば、こまめな掃除とか今までになかったことで生活環境として良くなったと思う(神奈川県/40代/男性/会社員)
・去年初めて出産した頃に新型コロナウイルスが流行り始め、旦那が出勤から在宅ワークに切り替わった。一人で育児をこなすより、家に旦那が居てくれるだけで精神的に安心でき、何かあればすぐに協力を求めることができた(神奈川県/20代/女性/専業主婦)
コロナ禍による生活の変化により、気づきを得た人や新たなことを始めるきっかけとなった人が多く、時間の使い方が変わることで「今までできなかったことに取り組めるようになった」という声も目立ちました。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大を理由に制限をされた生活を、不自由だと考えている人は少なくないでしょう。その一方で、ウィズコロナの暮らしを経験し、時間の使い方などを見直した結果、生活にプラスの変化を感じている人もいます。今回の調査結果を参考に、あらためて今後の暮らし方について考えてみてはいかがでしょうか。
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