基本にして究極！本場の「麻婆豆腐」の作り方【料理家 渡辺康啓さんのおいしい旅案内 vol.3】
教えてくれた人
料理家／渡辺康啓さん
鳥取県生まれ。ケータリング事業からスタートし、2007年に料理家として独立。現在は料理教室をメインに福岡を拠点として活動している。著書に『春夏秋冬 毎日のごちそう』（マガジンハウス）、『果物料理』（平凡社）など
豆板醤もラー油も必要なし！素材の旨みを引き出した「麻婆豆腐」
料理家さんに旅先で出会った忘れられない料理と、それにまつわるエピソードを語ってもらう本連載。前回に引き続き料理家の渡辺康啓さんにお話を伺いました。
これまでイタリアや韓国での思い出の味を教えてくれた渡辺さん。今回は、中国の小さな村で食べたという、麻婆豆腐のお話を教えてくれましたよ。
中国の小さな食堂で出会った麻婆豆腐
「中国を旅行したのはちょうど4年ほど前。雲南省にある“古鎮（コチン）”と呼ばれる小さな村を訪ねました。自然いっぱいのなかに古い建物が建ち並ぶ、とても雰囲気のよい観光地でした」
「その村にある小さな食堂で食べた麻婆豆腐が、シンプルなのに奥深い味わいで、今でも忘れられません。味付けは唐辛子と塩、しょうゆだけ。豆板醤もラー油も使わずに、必要最小限の調味料で素材の味を上手に引き出していたんです。日本の麻婆豆腐とはまったく別物でした。
ひき肉ではなく、ブロック肉を刻んで使っていたのも印象的。しょうがやにんにくと一緒に中華包丁でたたくと、肉に香りが移り、味わい深くなるんです」
麻婆豆腐は少し手間のかかるイメージですが、特別な調味料やテクニックを使わなくても、ちょっとした工夫でぐっとおいしくなる料理だと、渡辺さんはいいます。本場の麻婆豆腐の味が、おうちでも気軽に楽しめたらうれしいですよね。さっそく教わった再現レシピをご紹介します！
材料（2人分）
・木綿豆腐……250g
・豚ロース肉……200g
a. にんにく……2片
a. しょうが……1片
a. 塩……小さじ1/2杯
a. こしょう……適量
・紹興酒……20cc
・しょうゆ……小さじ2杯
・塩……適量
・韓国唐辛子（粗挽き）……大さじ1杯
・花山椒……小さじ2杯
・菜種油……大さじ1杯
下準備
・花山椒を鍋で乾煎りし、香りが立ったらすり鉢でつぶす
・木綿豆腐は大ぶりに切って鍋に入れ、水を張って火にかける。沸騰したら5分ほどゆでてザルにあげる
作り方
1. ひき肉を作る
豚ロース肉と（a）をフードプロセッサーにかけて、ひき肉にします。
「一番のポイントはひき肉の作り方。あらかじめ食材を粗めに切ってからフードプロセッサーにかけると、ムラなく仕上がるうえに時短にもなりますよ。
フードプロセッサーがない場合は本場の調理法と同じく、包丁でトントンと叩くように食材を刻んでください」
2. ひき肉と豆腐を炒める
フライパンに菜種油を入れて温め、1のひき肉を入れます。肉から出てくる脂が透明になったら豆腐を入れ、木べらでざっくり崩しながら炒めます。
3. 味付けをする
紹興酒、しょうゆを入れて火を強め、アルコールを飛ばします。韓国唐辛子を加えたら、塩で味を調えます。器に盛り、花山椒をかけて完成です。
「唐辛子は甘味や旨みが強い韓国唐辛子がおすすめ。辛いのが苦手な方は量を調節してくださいね。仕上げに花山椒を加えることで、より本場に近い味わいに。入れるだけで華やかな香りと刺激的な辛さがプラスされますよ」
本場中国の味をおうちでも！究極の麻婆豆腐のレシピ
「この麻婆豆腐はご飯にぴったりの味付けで、毎日でも作りたくなるレシピ。ごはん以外にも、ゆでた麺にのせてジャージャー麵風にしてもいいし、冷やしたピーマンにトッピングしてもおいしいですよ」
ごはんのお供だけでなく、さまざま楽しみ方ができる麻婆豆腐。材料の少ないシンプルなレシピながらも、ひと口食べるとその奥深い味わいにおどろきます。おうちにいながら本場中国のエッセンスを味わえるはずですよ。
取材・文／大瀧亜友美
