9・11テロの記念碑に「タリバン」と落書き…SNSには憤怒の声
落書きされた記念碑(写真:グリーンビル保安官事務所)
アメリカを襲った同時多発テロから20年たった9月11日、現地では多くの人々がテロの被害者を悼み、平和を祈願した。その一方、サウスカロライナ州では、有志によって建てられた記念碑が卑劣な「落書き」の被害にあった。
同州グリーンビル郡保安官事務所の発表によると、犯行がおこなわれたのは現地時間の9月12日の朝だ。監視カメラの映像に残された犯人は、黒い帽子に白いシャツを着た白人男性で、グレーの車に乗っている。車から降りて記念碑に向かうと、男はスプレー塗料で「TALIBAN」と落書きしたのだ。
イスラム主義勢力「タリバン」は、9・11テロを引き起こした過激派テロ組織「アルカイダ」と深い関係にある。アメリカ政治に詳しいジャーナリストがこう話す。
「9・11テロの後、アメリカはアルカイダのメンバーを隠しているとして、即座にアフガニスタンのタリバン政権を攻撃します。『不朽の自由作戦』と名付けられた作戦により、わずか3カ月でタリバンは崩壊するのです。
ところが、それから20年たった今年、アメリカ軍の撤退にともない、タリバンはあっという間にアフガニスタン全土を支配下におさめてしまった。
これは、ほとんどのアメリカ人にとって、言いようのない虚しさや徒労感を感じる事態でしょう。しかも、タリバンの復活で、再びアルカイダが動き出す可能性も指摘されているのです」
実際、9月15日のブルームバーグは「アルカイダが1年か2年以内に、再びアメリカでテロ攻撃できるようになる可能性がある」と報道している。こうした状況を考えれば、今回の記念碑への落書きが、アメリカ人の神経を逆なでしたことは想像にかたくない。
実際、SNSには、数多くの怒りの声が寄せられた。
《犯人をカブールに追放しろ。悲惨さを思い知らせてやれ》
《奴らがどんなに頑張っても、古き良きアメリカの精神を変えることはできない》
《これは国に対する反逆だ。私はそれに対する罰が何かを知っている!!》
落書きされた記念碑は、2つの石柱を1000本の星条旗が囲むかたちになっている。石柱は、テロの標的となったワールドトレードセンターを、星条旗はテロによって死亡した人々を表しているという。
落書きは、記念碑を管理している地元企業によって綺麗に洗い流された。同社のフェイスブックには「私たちの愛国心を破壊するためにスプレーで落書きされたが、ダメージは最小限で済んだ」と書かれている。実行犯は現在もまだ逃亡中だ。
写真:グリーンビル保安官事務所