しばしば入団会見の席ではよく「いかに決断が簡単だったか」、「あまり考えずに決断することができた」というような言葉が耳にされるものだが、しかしながら移籍市場最終日にFCバルセロナから、RBライプツィヒへの移籍が発表されたイライクス・モリバは違った。「バルセロナを後にすることはとてもむずしかった」そう語った18歳のMFは、「クラブというだけでなく、街についてもだ」とコメント。ギニアに生まれ、幼少期にスペインへと渡りエスパニョール・バルセロナで育成されてきた同選手にとって、遠く離れた地でサッカーに勤しむことはまだ未経験のことなのだ。

 だが一体なぜ、「心の中にありつづける」クラブを後にし、RBライプツィヒへの移籍を決意したのか。世界的なトップクラブからは契約延長の提示を受けながらも、それでも断りを入れてまでドイツの新興勢力への入団を決意。それには疑問の声もよせられ、エージェント会社が貪欲であるといった憶測も飛び交う事態に。さらにクーマン監督からは、延長に断りを入れてから起用が見送られるようになっていった。「我慢しなくてはならないことがたくさんあって、そのなかにはただの嘘でしかないこともあった。それでも僕達は冷静さを保ち続けていったよ。決してそれは楽なものではなかったけれど」

 ライプツィヒを選択した理由、それはあくまで自分自身のサッカーキャリアを考えた上で、「ライプツィヒが僕に示してくれたビジョン、プロジェクト、若手選手の積極的な育成方針などに納得することができたんだ。これらの内容からは大いに惹きつけられるものを感じた」と説明。「ただここ数ヶ月は、家族にとっても僕にとっても、もっとも人生で困難な時期ではあったけれども」

 バルセロナ時代でも特に印象的な場面、それはオサスナ戦にて試合途中から投入され、そしてリオネル・メッシのアシストによって生み出された、自身にとってプロ初ゴールの瞬間だ。「僕にとっても家族にとっても、あれは忘れられない瞬間だよ」。そしてそれをライプツィヒでの飛躍により、更に積み上げていきたいと考えている。「ただ絡んでいくだけのMFではなく、時には得点もできるMFになりたいんだ」と強調。身長は185cmと高さを誇り、精力性ももつボックス・トゥ・ボックスタイプの若武者は、バルサ時代に「ブスケツやデ・ヨングから学ぶところがあった」ものの、あくまで「自分のスタイルを確立させたい」と意気込みをみせた。