VLTのMUSE機器で撮影された棒渦巻銀河NGC 1097の中央領域 ※疑似カラー (Credit: ESO/TIMER survey)


この画像は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)のパラナル天文台にある「超大型望遠鏡(VLT:Very Large Telescope)」の分光器「MUSE」によって撮影された、南天の”ろ座”にある棒渦巻銀河「NGC 1097」の中心部分をクローズアップしたものです。


NGC 1097は、地球から約4500万光年先に位置しており、天文学者ウィリアム・ハーシェルによって1790年に発見されました。他にもApg 77、ESO 416-20、LEDA 10488、UGCA 41としても知られており、正面から見た比較的明るい棒渦巻銀河です。また、明るい銀河核を持つセイファート銀河に分類されており、中心には太陽質量の1億4000万倍という超大質量ブラックホールが潜んでいると考えられています。


中心に流れ込むように見える暗いダークレーン(またはダクトレーン)は、超大質量ブラックホールに飲み込まれている塵やガスを示すもので、NGC 1097の伴銀河である「NGC 1097A」や「NGC 1097B」によるものと推測されています。そしてこの画像に写る銀河の特徴であるリング構造は、ブラックホールが周囲の物質を飲み込んだ影響により、短期間で大量の星が誕生している「爆発的星形成(スターバースト)」を表しています。その規模は約5000光年に渡ると言われています。


可視光ではこの様なピンクで美しいリング構造を見ることはできませんが、この画像からイメージするNGC 1097の姿はまさに”宇宙に力強く咲いたバラ”のようですね。


 


Image Credit:ESA/Hubble & NASA Acknowledgement: E. Sturdivant
Source: ESO , Sci-news