木星の衛星は全部で数百個あるかも? 研究者は次世代の観測手段に期待

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木星探査機ジュノーが撮影した木星(Credit: Image data: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS, Image processing by Kevin M. Gill)


太陽系最大の惑星・木星。1610年にガリレオ・ガリレイが発見した衛星の数は4個でしたが、現在までに79個の衛星が確認されています。この400年で既知の衛星の数は20倍近くに増えたことになりますが、ある研究グループは、木星には全部で数百個の衛星が存在するかもしれないと考えています。


ブリティッシュコロンビア大学のEdward Ashton氏らのグループは、ハワイのマウナケア山頂にある「カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡(CFHT)」によって2010年9月8日に取得された観測データを分析した結果、木星と同じような速度で移動する25.7等級までの天体52個を検出しました。このうち7個は「ヘルミッペ」や「エリノメ」といったすでに存在が知られている木星の不規則衛星(※)であることが確認されたといいますが、残る45個は直径800mほどの未発見の不規則衛星である可能性が高いとしています。


※…惑星の自転方向とは逆向きに公転する逆行衛星や、傾いた楕円形の軌道を周回しているような衛星


観測技術の向上により、近年では木星や土星を周回する小さな衛星が数多く発見されています。木星の衛星79個のうち12個は2018年7月に、土星の衛星82個のうち20個は2019年10月に発表されたばかりで、そのうち幾つかについては命名キャンペーンも開催されました。


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研究グループによると、今回用いられたデータは1平方度(満月およそ5個分)の範囲を観測したものであり、検出された45個の天体が実際に木星の衛星だと仮定した場合、直径約800m以上の衛星の推定数はおよそ600個に達するといいます。ただし、今回検出された45個の天体はまだ木星の衛星だと確認されておらず、断定するには追加の観測が不可欠です。


Ashton氏は、ヴェラ・ルービン天文台などの次世代の観測手段による再発見への期待をSky & Telescopeに寄せたコメントにおいて言及しています。研究をまとめた論文はThe Planetary Science Journalに受理されており、Ashton氏らは9月21日から10月9日にかけて開催されるEuroplanet Science Congress 2020において成果を発表する予定です。


 


Image Credit: Image data: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS, Image processing by Kevin M. Gill, licensed under CC by 3.0
Source: Sky & Telescope
文/松村武宏