縄文時代の人間も、猫が好きだった...? どう見てもニャンコな出土品が超かわいい
福島県立博物館(福島県会津若松市)では2019年9月7日から11月17日まで、企画展「あにまるず ANIMAL × Zoo ―どうぶつの考古学―」を開催している。
縄文時代〜古墳時代の動物造形品や骨で作られたアクセサリーを展示しているが、ツイッターではそこで展示されているある出土品が注目を集めている。
それがこちらだ。
縄文時代にこれを作るって...(画像提供:福島県立博物館、所蔵:郡山市教育委員会)
楕円形の土台に小さな三角が2つ。その名も「ネコ形土製品」だ。
これは縄文時代の遺跡から発掘されたもの。写真を投稿したツイッターユーザーのken-nano(@kennano2)さんは「縄文時代の人にコレを作る感性があることにほっこり」とツイートしているが、たしかに縄文時代のものとは思えない。
顔はなくのっぺらぼうだが、フォルムが現代的というか...どこかキャラクターチックなネコちゃんだ。
ほかのユーザーからも、
「本当に猫だとしたらマジパネェ発見かもですね」
「かわいいは正義は昔からだったのかな?」
「縄文時代、既に猫を飼っていた可能性が」
といった驚きの声が寄せられている。
展示物の説明は「ネコ形」となっているため、これはネコでない可能性もある。
そもそもネコって縄文時代からいたのだろうか...。Jタウンネットは10月2日、福島県立博物館に話を聞いた。
縄文時代に「オオヤマネコはいた」
ネコ形土製品は郡山市内の遺跡から発掘され、普段は市が所蔵しているもの。今回の企画展に展示するにあたり、福島県立博物館の学芸員が選んだという。
福島県立博物館の企画展にふらりと立ち寄り。縄文時代の人にコレを作る感性があることにほっこり。 pic.twitter.com/sXZGFgYAop
— ken-nano (@kennano2) 2019年9月25日
これに「ネコ形土製品」と名前を付けたという学芸員によれば、実際は「ネコかどうかはわからない」とのこと。遺跡から出てくるものの中には何か分からないものもあるといい、今回の企画展ではそういう不思議なものも含めて展示している。
これもそのうちの一つで、動物かどうかも、何のために作られたものかも分からない。学芸員は、
「パッと見てネコっぽいものがあったので、ふざけてってわけじゃないですけど、『こんなものもあるけど皆さんどういう風に見えますか?』という感じで展示しています」
と話している。
ネコかどうか定かではないが、たしかにネコに見える。学芸員はこのような形の出土品は「出てきたことがない」といい、珍しい形のようだ。
「これがネコだとしても顔だけじゃないですか。顔だけ切り取った造形品ってないんですよ。大体は胴体がくっついてたり、顔だけだと土器にくっついてたりするんですけど、そういうのとはちょっと違うので」(学芸員)
ここでツイッターでもいくつかあがっていた「縄文時代にネコはいたのか」という疑問についても聞いてみた。
近年では、弥生時代の環濠集落遺跡である長崎県壱岐市のカラカミ遺跡からイエネコの骨が発掘され、これが日本最古とされている。もし「ネコ形土製品」が本当にネコであれば、縄文時代にネコがいたという大発見になるわけだが...。
「縄文時代にはオオヤマネコがいるんですよ。これはたまに発掘されます。縄文時代にネコがいたかいないかでいうと、オオヤマネコはいたということになります」(学芸員)
ネコ自体は縄文時代にもいたという。しかしオオヤマネコと人間の関係は明らかになっていないようで、
「めったに出土しないので分からないんですよね。狩りの対象でもないと思うんですけど、弥生時代の遺跡からはまったく発見されないので、縄文時代で絶滅したんじゃないかとも言われています」
とのことだ。
もしこれがネコだとしたら、縄文時代の人はこれを見ながら癒されてたりしたのだろうか。それともネコ好きの誰かへのプレゼントだったのだろうか。想像するとなんだか親近感が湧いてくる。
ネコ好きのみなさん、ぜひ足を運んでみては。