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カープレイ試用期間終了後は課金制に

text:Nick Gibbs(ニック・ギブス)

BMWが「OS7」と呼ぶiドライブ用OSを発表してから1年が経過した。しかし初期に購入した顧客らは、一部のサービスの継続に費用を要求され始めている。対象となるオーナーは、AUTOCAR本拠地のある英国の場合「アップル・カープレイの試用期間が終了しました。年間85ポンド(1万1000円)で更新できます」とのメッセージが表示されているはずだ。

われわれはカープレイやアンドロイド・オートなどの装備を無料のものと考えていた。これらのシステムはスマートフォンの機能を車両のマルチメディアシステムに統合するものだが、自動車メーカーはこの機能を有料化しようとしている。

メルセデス・ベンツのMBUX。

カープレイは本来無料ではなく、アップルはメーカーに対して1台あたり45ポンド(6000円)から90ポンド(1万2000円)を請求している。これを支払うことによりこの機能が搭載されているのだが、この費用は暗黙のうちに車両価格に上乗せされているのだ。

BMWのオーナーは追加料金を支払うことによりこの機能を使い続けるかどうかの選択を迫られているのである。メルセデス・ベンツもそのMBUXユーザーに対し、カープレイやアンドロイド・オートを267ポンド(3万5000円)でダウンロード可能な形で提供している。

オンラインのアップデートが普及

一方のアウディは、これらのサービスをEトロンから開始した。初期のモデルには自動的に搭載されているが、今後は安価なモデルにはそれらの機能をオプションとするようだ。

この先駆者となったのはテスラだ。以前からソフトウェアのアップデートや機能追加をwi-fiで行ってきた。最新のアップデートではネットフリックスの視聴も可能となっている。

テスラのインフォテインメントシステム。

「カープレイやアンドロイド・オートやその他のインフォテインメントシステムに関するアップグレードは始まりにすぎません」と語るのはフロスト&サリヴァンでコネクティビティに関するプロダクトマネージャーを務めるクリシュナ・ジャヤラマンだ。

最近のレポートによれば、ジャガー・ランドローバーは最新モデルに搭載される3つの電装モジュールはネットワーク越しにアップデートが可能だという。このシステムはインフォテインメント・ソフトウェアのアップデートを主な対象としており、中期的にはその対象が14モジュールにまで増加するとのことだ。

自動運転機能もサブスクリプション化か

将来的には、例えばサーキット走行の前夜には専用のサスペンションセッティングをダウンロードしたりすることもできるようになる。「今日、自動車メーカーの役割は変化しています」とジャヤラマンは語る。「クルマ自体というよりも、それによって得られる体験を売っているのです」

ジャヤラマンは、自動運転機能などの高価なシステムはサブスクリプション化の対象となりうると語る。「カープレイにかかる費用は90ポンド(1万2000円)にすぎませんが、自動運転機能は数千ポンド(数十万円)もかかるでしょう。これをどう顧客に負担させるのでしょうか」と彼はいう。ひとつの選択肢は長距離走行のときなどに1回ごとに課金する方式だ。

BMWのインフォテインメントシステム。

しかしこの新技術は、リスクもはらんでいる。フォルクスワーゲンは次期型ゴルフにおいて、この「オーバー・ジ・エアー」技術の問題が原因で市販化が遅れているといわれているのだ。

しかし、このコンセプトはもうすぐそこまできている。この方式が気に入らなかったり、その費用を払うことができないのであれば、単純にサブスクライブしないという手もある。