JSTのベンチャー出資が好調、民間投資を呼び込んだ目利き力
04年の国立大学法人化前後の大学発VBブームでは、研究者側と経営者・ベンチャーキャピタル(VC)側のなじみの悪さが問題になった。同事業は大学人の不安を解消するよう設計されている。出資は総議決権の2分の1を超えない範囲。役員派遣はしない。JST同事業チームはVB・VCのプロなど約12人だが、投資先の会議での発言は中立的。JSTが産学連携などで関わる事業会社を、VBの顧客として紹介する点も魅力だ。
一方、民間VCがうれしいのは、JSTの技術の目利き力だ。そしてVBの初期の支援をJSTが手がけた後なら、上場利益などでビジネスを回すVCも出資しやすい。この結果、「VCの出資を促す“呼び水効果”は予想以上になった」(白木沢理事)という。
東京大学など4国立大の出資事業では、子会社のVCが主体で、民間VCと競る面がある。今春から多くの国立研究開発法人で可能になったVB直接投資は、利益相反に注意がいる。それだけにJSTの中立性は大きなポイントだ。
2―3年内の上場を準備するVBも出てきた。BツーB(企業間)のモノづくり系は生産設備を整備する段階で事業会社のM&Aも視野に入る。どんなJSTらしさが発揮されるか注目されそうだ。
(文=編集委員・山本佳世子)
