新発売の2台が採用した上級車クラスの装備は圧巻

 今、軽自動車が熱い。日本独自のカテゴリーとはいえ、各社が熾烈な争いを繰り広げているのだ。何しろ、2017〜18年の2年連続、日本で一番売れたクルマは、軽自動車のホンダN-BOXなのである。

 しかも、軽自動車は「軽自動車だからこそ」と、いち早く、先進安全支援機能を搭載。今では多くの新型車に先進安全支援機能が搭載されている。さらに、デザイン、内装の質感、走行性能、乗り心地、動力性能(ターボ)、さらには先進の通信機能に関しても、下手なコンパクトカー真っ青なのが今どきの軽自動車なのである。

 ここでは、そんな「コンパクトカーなんていらない!?」と思わせるほどのイケてる軽自動車を4台紹介しよう。

1)日産デイズ

 日本の軽自動車の革命! と言えるのが、今春デビューした日産デイズ。日産が初めてイチから作った軽自動車だが、とくにハイウェイスターのセレナを思わせる顔つきの迫力、存在感、ツートーンカラーのスタイリッシュさ、ソフトパッドさえ用いたインテリアのデザイン、質感の高さもさることながら、全車マイルドハイブリッドとなる、ターボモデルの1リッター級コンパクトカーをしのぐ動力性能、走りや乗り心地の良さには圧巻、脱帽だ。そして同一車線内半自動運転機能のプロパイロットまでハイウェイスターに用意。まさに下克上軽自動車である。

 それだけじゃない。新型デイズは専用ナビを付けることで、オペレーターサービスが使え、走行中、ナビの設定や行きたいスポット探しなどをオペレーターにお願いし、設定までしてくれるのだ。さらにヘルプネットにも対応し、エアバッグが展開するような場面では、ヘルプネット専任オペレーターから呼びかけがあり、それに応じない(意識がないなど)場合は、救急、警察、場所によってはドクターヘリの要請まで行ってくれるのだ。運転初心者はもちろん、シニアなドライバーにとって、これほどの安心はない。

 通信機能やヘルプネットはまだ国産車でも高級車、上級車に限られる機能、装備。それを軽自動車に採用した日産の英断には頭が下がる思いだ。ちなみに日産コネクトナビによる通信サービスは無料。ここもまた、うれしいではないか! コンパクトカーではまだ用意されていないことが多いサイド&カーテンエアバッグまで全車標準ともなると、コンパクトカーを選ぶ理由が見つからなくなるぐらいである。

2)三菱ekワゴン&ekクロス

 日産デイズの兄弟車の三菱ekワゴンも、デイズ同様のデザイン、走行性能のレベルの高さを持つ1台。デイズでは上級グレードがハイウェイスターとなるところ、三菱はekクロスという、新型デリカD:5も真っ青な、SUVテイストあるグレードを用意。しかも、デイズでは、プロパイロットはハイウェイスターのみの設定となるところ、ekワゴンでは、ハイウェイスターに相当するグレードのekクロスのみならず、標準車のekワゴンのGグレードにも設定できるところがポイント。

 その顔つきのギラギラした存在感は、コンパクトカーも道を譲る迫力の持ち主。先代ekワゴンはNAエンジンだと動力性能に不満があったが、新型ではNAでもマイルドハイブリッド採用などにより、トルク十分。高速走行もストレスなくこなせる実力を身につけている。ターボモデルなら、一家に一台のファーストカーになりうるほどだ。デイズハイウェイスターとekクロスは、まさにコンパクトカーキラーとなる革新的軽自動車と言っていい。

日本で一番売れている「クルマ」も実力十分

3)ホンダN-BOX

 もちろん、日本で一番売れているクルマであるN-BOXもコンパクトカーを凌駕する部分を数多く持っている。容量系軽自動車ならではの、ミニステップワゴンを思わせる存在感、両側スライドドアによる乗降性の良さ、軽自動車初のACCの装備はもちろん、とくに室内の広さは圧巻。

 なにしろ身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で頭上に240〜260mm(190mm前後するシートスライド位置による)、ひざまわりに最大410mmものスペースがある。ひざまわり空間はコンパクトカーのなかでもっとも広いフィットでさえ275mm。オデッセイで335mmなのだから、デミオ100mm、スイフト160mm、パッソ&ブーン210mmでさえかすんでしまう。

 そして走行性能もばっちり。以前、N-BOXのNAモデルで東京と軽井沢を往復したことがあるが(大人2名+犬2頭乗車+2泊3日の大荷物積載)、関越自動車道を、ACCを使ってスイスイ快適に走り、碓井軽井沢ICから軽井沢へアクセスする、上り坂が延々と続くバイパスさえストレスなく駆け上がれたほど。無論、ターボモデルなら下手なコンパクトカーを圧倒する動力性能、走りの質感さえ備えているのだからびっくり。売れに売れているのも当然と言える商品力の持ち主なのである。

 なお、自動ブレーキ、前後誤発進抑制機能、歩行者事故低減ステアリング、ACC、車線維持支援システムなどを含むホンダセンシングや、夜の安全視界にかかわるLEDヘッドライトをグレードに関係なく、全車に標準装備している点も、メーカーの良心として褒められるところだろう。

4)スズキ・ワゴンR

 日産デイズの良きライバルとなるのがワゴンR。通信機能やヘルプネットは持たないものの、内外装の質感、デザイン性の良さでは軽自動車最高峰。とくに横基調のインパネまわりのデザイン、先進感は圧巻。より新しいデイズを依然、リードしている。

 走行性能もクラスでピカイチ。エンジンは高回転まで回してもスムーズかつ静かで、質の高い乗り心地、矢のように直進する高速安定性も、もう抜群。軽量なボディ、車重を生かし、多くのコンパクトカー真っ青な、軽快で爽やかさとゆとりある走りを味わわせてせてくれるのだ。

 しかもマイルドハイブリッドによるターボの燃費性能はクラストップ、多くのコンパクトカーをしのぐ28・4km/L! 後席ひざまわり空間もデイズの最大340mmに次ぐ320mm。その、コンパクトカーを大きくしのぐ、圧倒的な広さの詳細については、N-BOXの項を参照していただきたい。

 もちろん、価格、とくにターボについては安さ自慢のお手ごろコンパクトカーより高くなるものの、実力は上。どうしても軽自動車の黄色いナンバープレートに抵抗がある人にとっても、今では東京オリンピック特別仕様などの白いナンバープレートも装着可能なのである。

 最後に、軽自動車のコンパクトカーよりコンパクトなサイズを生かした小回り性、駐車性の良さも、軽自動車を選ぶメリットとして忘れてはいけないポイントとなるだろう。