新元号は「令和」。発表と同時に各所が一斉に対応を開始した

写真拡大

 4月1日11時41分、菅義偉官房長官が新元号「令和」を発表した。天皇陛下が生前退位の意向を示されたのは、2018年8月8日。12月1日に退位日が4月30日に正式決定した。以降、改元を巡って、政界や皇室は慌ただしかったわけだが、対応を迫られたのは民間企業も同様だ。発表から1週間。各所の動向をまとめた。

●ITインフラでは万全のサポート体制



 発表当日に早速、新元号への対応を発表したのはアドビ システムズ。Adobe Fontsの「小塚明朝」「小塚ゴシック」「源ノ角ゴシック」の日本語とPan-CJKフォントに「令和」の合字を追加した。新元号合字の文字コードは「U+32FF」。今後、段階的に他のフォントでも追加していくという。

 日本語ワープロソフト「一太郎」や日本語入力システム「ATOK」を販売するジャストシステムは、4月1日に新元号「令和」への対応方法を発表。「一太郎」の文書校正機能や「ATOK」の変換辞書と日付入力支援機能、「JUST Calc」におけるワークシート関数とセルの表示形式で、4月18日から順次新元号が利用できるアップデートを行う予定だ。

 業務や会計ソフトを販売する弥生は、ホームページのインフォメーションで新元号プログラムの提供スケジュールを公開中。クラウドアプリでは4月中に、デスクトップアプリでは4月25日から5月中旬にかけて順次オンラインアップデートを提供する予定だ。

 マイクロソフトは、個人・法人それぞれに各サービスにおける今後の対応予定を発表している。個人ではWindows OSとMicrosoft Officeの自動更新を有効にしていれば、自動的に適用される。手動での更新も可能で方法についてはホームページ上の「日本の新元号対応に向けてWindowsとOffice を準備する方法 」というページで公開している。

 法人向けでは、Azure、Dynamics、.NET、Office、Windowsそれぞれでサポートページをオープン。全てのアップデートに時間がかかる見込みで、マイクロソフトでは、「必要に応じて数カ月後に更新される」とアナウンスしている。

●各所で巻き起こる“令和”フィーバー!



 「令和」が発表されたことを受けて、アナログの世界でも急ピッチで対応が進められている。宮崎県に特化したスケジュール帳「みやざき手帳」を販売している鉱脈社は、新元号の発表とともに、4月始まりの「令和版」を印刷・製本。その日のうちに書店で販売した。初版は即座に売り切れ。増刷が決定しているという。

 ユニークな広告を打ったのは、手帳販売大手の高橋書店。4月4日の読売新聞朝刊に「2019年の手帳は未完成です。」という広告を掲載。既に販売している元号の記載がない手帳を使用しているユーザーに、「ご自身の手で『令和』の2文字と足りない祝休日を書いて、今年の手帳を完成させていただけないでしょうか」とメッセージを発信した。

 タカラトミーが発売する定番のボードゲーム「人生ゲーム」は、新元号ネタを盛り込んだ「人生ゲーム+(プラス)令和版」を4月1日に発表。なじみの「お札」や「職業カード」、コースやゴールという概念を廃止し、フォロワーを増やしてインフルエンサーを目指す現代風のゲームに生まれ変わっているという。発売は6月を予定する。

 発表からわずか1週間で、各方面にさまざまな影響をもたらした新元号。5月1日の改元まで、さらに多くの企業が新時代への対応やビジネスを発表するだろう。令和フィーバーは、まだ始まったばかりだ。(BCN・大蔵 大輔)